ただのピエロだった

今月、選挙後の札幌市議会での議長選出をめぐる「混乱」についてかいた。

事前の会派間の談合で、新議長候補を決めておきながら、「選出」にあたっては「無記名投票」をする慣習に異議をとなえた長老議員が、臨時議長として「立候補制」を突然いいだして持論を曲げなかったのが「混乱」の原因だった。

これを「議会改革」というひとがいないことを不思議だとかいたのだが、とうとう張本人が27日の議会で「土下座」して「詫びた」というから、これはこれで尋常ではない。

この行動は、当日、懲罰委員会の設置が議論されることになっていたからだという。そして、「懲罰」には、議員の身分をうしなう「除名」まであるから、これを回避するためのパフォーマンスではないかとのみかたもあるという。

そして、例によってこの議員を擁護する報道機関の論調はなく、「市民もあきれる」といって本人を責め立てている。
わたしはいま、横浜市民のひとりだから、札幌市には関係ないが、まことに「残念」なはなしである。

今回の土下座と議会双方が「残念」なのだ。
どうして「土下座」したのか?
ことの発端の、「議長選出方法」についての議論を深める努力がみえてこないことがいちばんの「残念」で、議会の外の市民に向けた説明もあったのかなかったのか?がわからない。

「土下座」によって、単なる「思いつき」になってしまったことも「残念」だ。
すなわち、この議員の行動を「非難する側」にみずから与してしまった。
これでは、議会改革の蟻の一穴ではなく、ただのピエロであると告白したも同然だ。

いっぽう、議会の側の「勝利」とはなにか?
楽ができる慣例を「守った」(保守した)ということだけで済んだということではない。

むしろ、「外れ値」のように跳ね上がった存在は、懲罰委員会にて「懲罰」してくれる、という権力むきだしの牙を市民にみせびらかした。
これに、マスコミも同調して、「除名」をちらつかせるのは、脅迫ではないか?

選挙で選ばれた、という身分だから議員資格はおもいのだ。
それを、慣例を破ろうとした、ということで、どんな「懲罰」がありうるのか?
対象の議員は、慣例を破ろうとした、のであって、破ってはいない。
混乱のあげく、臨時議長を解任されたから、本人の主張である「立候補制」はできなかったのである。

つまり、ことの経緯をトレースすれば、多数の慣例を維持したい派は、臨時議長解任すら当初できなかったのであって、すなわち、9時間も議会ジャックされたのは、会議のすすめ方をしらないひとたちが多数の「議員」であるという意味にもとれる。

もしかして、このような議事進行の事例がないから、議会事務局=政令指定都市である札幌市役所が、総務省の担当官に相談の電話をいれて、どうしたらいいかを検討して、その回答をえることにようした往復時間ではないか?

これが、札幌市議会の慣習を守ったということだとすれば、呆れるほどの堕落した議会である。
だから、市民が「あきれる」というのは、どちらのことなのかという「主語」を省略してはならない。

さて、これで構図がみえてきた。
つまり、議会のやくわりが形骸化している、という姿で、巨大化した行政による支配が確立しているのである。

だから、なんど選挙をおこなおうが、だれが議員に当選しようが、行政の大勢に影響はない。
もちろん、だれが市長になろうが、でもある。

フィリピンでは、ドゥテルテ大統領の長男が国会議長に「立候補」したら、父である大統領が辞任するといって話題になっている。

つまるところ、この国の地方自治体すら、民主主義ということにはなっていない。
中国人の党幹部が憧れるのが日本である理由である。

しかし、これは「自分たちで決めたこと」への覚悟がないことを意味するから、だれか(役人)に決めてもらうことの居心地のよさでもある。
日本人の役人は、中国人のように乱暴・乱雑な命令はしない。
おなじ内容でも、もっとゆるやかにかつ緻密に実行するから、住民が気がつかない。

気がついたときには、もうすっかり実行されていて後戻りができないのである。
こうして、えんえんと行政が自分できめた施策をおこなうから、議会もなにもぜんぶが「決めたこと」というかたちがあればよい。

だから、わが国に「電子政府」はこない。
行政のちょっとした手続きすら、電子化されたのは通信手段だけであって、「向こう側のひと」が、手作業で処理している。
つまり、テレビの中にホンモノの人間がいる状態なのだ。

なぜプログラム化されないのか?
「裁量」という部分が、計算式にできないからである。

なんのことはない、議会も住民も、役人からすればみんな「ピエロ」にすぎないのだ。

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