ベトナム留学が自慢になった

わが国のIT業界のことである。
世界のIT最先端技術を研究しているのは、なんといってもシリコンバレーだ。
シリコンバレーとは、事実上「スタンフォード大学」の街である。

アメリカ合衆国には、国立(連邦)大学がない。
あえていえば、陸軍士官学校のような軍の幹部養成校ぐらいがそれにあたる。
州立大学が日本の各県にある国立大学にあたるのだろうが、一部の大学をのぞけば、そのほとんどが職業訓練校的な存在である。

だから、ふつうは「私立大学」である。
さて、その授業料は?といえば、おおよそ700万円/年である。
上述した一部の有名州立大学も、これとかわらないのは、日本のように憲法違反(89条)がうたがわれる「私学助成金=税金の流用」がないからである。

アメリカがつくった憲法だからか、日本の役人は多くの条文を無視するか都合のよい解釈をして、とっくに骨抜きにしている。

このブログの読者なら、しつこい、といわれるかもしれないが、民主主義国の憲法とは、国家=政府を規制する国民からの命令書だから、守らなければならないのは、国民ではなくすべての役人である。
ただし、勤務外の役人も国民にもどるから、公務中の役人だけが憲法を守る義務を負う。

日本国憲法第89条「公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。」

ということで、「公の支配に属しない」教育事業には公金は出せないから、「公の支配に属する」ことで、「合憲」にした。
これが、文部科学省の役人による許認可権という利権の「合法的」な理由になった。

正々堂々と国が、私学にもおカネ(税金)を与え配分するから、とうとう、日本の私学はこのおカネをもらわないと、経営が成りたたなくなった。おカネをもらうために、授業料をさげろと命じられてさげたからである。

すると、役人の配下に成り下がるものかと頑張っても、授業料の安いライバルに学生の人気があつまるから、頑張るのをやめて、こんどは一番もらえるように努力した。
それで、おそろしく歪んだ競争の結果として、日本の大学は、授業料が「安い」のである。

この見返りが、役人のいうことを聞くことになったから、建学の精神まで絵にかいた餅になってしまった。それで、偏差値順という序列だけができた。
それでも懲りずに、大学まで無償化するという政府与党は、他人の子どものために税金を払えと国民にいっているのとおなじだと気がつかないふりをしている。

年に700万円もするということは、生活費をふくめれば1,000万円かかるから、親にとって4年で4,000万円は確実な出費となる。また、自動車がないと生きていけないから、自動車の購入費が加算される。
とどめは、アメリカの有名私立大学の授業料は、もっと高いことだ。

留学生がアルバイトで収入を得ることをゆるしているのも、日本ぐらいで、アメリカでは許可されない。
ただし、日本の大学とちがって、アメリカの大学はそら恐ろしいほど授業前に指定された学術書を読破しないと授業に出席すらできない。つまり、アルバイトにうつつをぬかす時間がないのだ。

そんなわけで、日本人の留学生は「珍しい」ということになった。
ここにも、わが国の国力が「衰退」していることを認めることができる。

それで、圧倒的に有利になったのは「共産国」で、国家が率先して留学させている。
トランプ大統領は、中国人の留学生を大幅に規制しはじめたが、ベトナムからの留学生はそのままだ。

こうして、わが国のIT企業にとって、コストがかかるアメリカ留学ではなくて、ベトナム留学を選択するようになってきた。
アメリカで学んだベトナム人から、最先端技術を学ぼう!ということになって、自社から何人ベトナムに留学させたかが、業界内の序列に影響しているのだ。

じっさいに、ベトナムに進出した日本企業で、日本人駐在員の人件費がいちばん「安い」という状態になっていると前に書いた。
先端技術を駆使する、若きベトナム人が最高額の賃金を得ている。

一方で、日本に出稼ぎにやってきたベトナム人が、日本で奴隷のような労働を強いられている。
その理由は、人件費を安くしないと儲からない、というかんがえが、バブル崩壊以来「常識」になってしまったからである。

そのうち、日本でのうらみをベトナムで敵討ちされるようになるだろう。

それにしても、競争論理を利用して単価をあげる努力をしているのが共産国で、平等論理をとにかく理想とするのがわが国だから、どっちがどっちだかわからなくなってきた。

このかんがえ方のちがいが、繁栄か衰退かの分岐点なのである。

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