不気味なマスクの着用

風邪のシーズンだ。
インフルエンザは空気感染する伝染病だが、いわゆるふつうの風邪はじっさいに治す薬はない。
どちらも、ウイルスが原因の病気であるが、それぞれ種類がちがっている。
風邪ウイルスは、種類が豊富なのが特徴らしい。

ウイルスというのは,生物なのか生物ではないのか?
この議論は、生物の定義とはなにか?につながる。
つまり、生きていること、の定義だから、裏返せば、死んでいること、の定義にもなる。

ベストセラーになった、福岡伸一『生物と無生物のあいだ』(講談社現代新書、2007年)は、まさに「生命の神秘」が語られていた。
しかし、はなしはつづいて、中屋敷均『ウイルスは生きている』(講談社現代新書、2016年)がさらに奥深くわけいっている。

 

発表当初、噴飯物といわれた、「インフルエンザ・ウイルス宇宙飛来説」も、いまでは最先端で注目される研究分野になっている。
吉田たかよし『宇宙生物学で読み解く「人体」の不思議』(講談社現代新書、2013年)がある。

インフルエンザ・ウイルス宇宙飛来説は、シベリアにたくさんいる渡り鳥に入りこんで、それが「渡り」によって南にはこばれ、飛来した渡り鳥→鶏、鶏→豚、豚→人間という経路なのではないか?というはなしだった。
それで、パンデミックだった「スペイン風邪」も、温かい地方からはじまる、という説と一致する。

だったらスペインやラテン系の国々で、防御のためのマスク着用が風習になりそうなものだが、ぜんぜんなっていない。
ましてや、世界の常識からすれば、マスク着用という風習そのものがほとんどない。

話題のPM2.5という汚染物質によって、東アジアではマスク着用がはじまっている。
しかし、ちゃんと防御しようとしたら、簡易型のものでは効果がうすい。
マスクにも、基準となる規格があって、最高レベルは外科手術用になる。

しかし、マスクには、それ以外の効果があって、どちらかというとこちらの方が着用のインセンティブになっているのではないかとおもわれるのは、吐息からの湿度を得て喉を潤わせること、さらに、化粧なしのスッピンをカバーできることだ。

すなわち、じぶんの顔を隠すことができる、文字どおり「マスク」という機能がでてくる。

マスクを着用すると、別人格になれる。
あるいは、正体不明、になる.
それで、ヒーローたちもマスクをつけるのだ。

日本なら、「能」から郷土芸能まで、戦後は、「月光仮面」や「仮面の忍者 赤影」など、別人格になったり、「異能」さを仮面の着用が象徴する。
お祭りの夜店にある仮面も、「祭り」という非日常の境界に入りこむためのアイテムだったのではないか。

先日、男性の「髭」にかんする裁判での判決が大阪地裁であった。
かんたんにいえば、無精髭はいただけないが、現代的に整えている髭であれば自由、ということだ。
現代的とは、歴史上の武将や明治の元勲たちのようなデザインではない、ということ。

使用者が労働者に、「業務上の身だしなみ規定」を提示してこれを守らせることは合法である。
しかし、ベースには「個人の自由」があるということを失念してはいけない。
社会通念上のマナーやエチケットに合致していれば、命令やそれを理由とした本人に不利な人事評価をしてはならない、とかんがえればよい。

だから、身だしなみ規定を守らないひとには、早期に勧告して納得してもらうことが重要になる。
それで、もっとも効果があるのが、「採用条件」とする方法である。
採用決定前に、本人の了承を得るのである。
雇用契約の条件の一部にする。

わが国は一般的に、マスク着用が「異常」とはされない社会になっているが、だからといって、採用面接でマスク着用をしたまま、では不採用になってもしかたがない。

第一に、面接官という初対面のひとに自分を買ってもらうのが目的だから、自分をみせなくてはならないという目的に合致しない。
顔をださない、というのは、顔を隠す、ということだからである。
もちろん、挨拶としても、初対面でマスクを着用したままなら、マナー違反になる。

ということは、面接官側がマスクを着用したまま、というのもありえない。
面接者という応募者に、会社を代表して面接されるのも面接官だからである。
将来、もしかしたら同僚になるかもしれない面接官の顔が見えない会社に、就職をきめるのは勇気がいる。

およそ接客業で、マスク着用したまま、というのがゆるされるものか?など、ちょっと前ならかんがえる必要もなかっただろうが、いまはちゃんとかんがえておかないといけない。
医療機関や食品衛生では別だが、接客の最前線でのマスク着用は、ナンセンスなのである。
公共の交通機関の職員に、マスク着用を散見するが、「髭」よりよほど深刻な問題だ。

ウイルス対策なのであれば、会社はマスク着用を容認するより、機能性が認められている製品を支給してマスクにかえるべきである。

マスク着用の習慣がないおおくの国で、マスクを着用したまま、ホテルにチェックインしようとしたら、断られる可能性がふつうにある。場合によっては強制退去させられても文句はいえない。
理由はふたつ。
・顔を隠しているのは、「犯罪者」をうたがわれるからである。
・衛生のためならば、本人が「伝染病に罹患」しているとうたがわれるからである。

どちらも、日本の旅館業法でも数少ない宿泊拒否理由として合法だ。

よほどの事情がないかいかぎり、公共の場にマスク着用をしたままで出かけるのは、「不気味」なことなのだ、と認識したい。
外国人をあいてにする接客業なら、これは「基本」である。

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