過小報道の港湾ストライキ

ストライキが実施されることじたいが珍しくなったいま、ほとんど報道されないのはどうしたわけか?
しかも、22年ぶりという港湾ストライキは、長びいているから国民生活に影響がないはずはないのにだ。

ついうっかりすると,わたしたちは「島国」にすんでいることを忘れて、なんでも自給自足している錯覚におちいることがある。
簡単にいえば、わたしたちの生活物資のほとんどが、海のうえを船でやってくるのである。

「1000年間お祈りしたら、石油がでた」と、アラブ人がいっていた。
油田の探索技術と掘削技術の二つの技術がたいそう進化して、中東アラブの独壇場だった「油田地帯」が、地球上に分散してみつかった。

それでもなお、中東周辺で不穏なうごきがあると、原油価格が高騰するのはかわらない。
その原油をのせたタンカーが日本をめざすには、マラッカ海峡をすり抜けてくるしかない。

そのあとの海域の珊瑚礁を埋めたてて、領有権をいいだした国が困りものだとおもうのは、なにも日本人だけではない。
それを、「はるか遠い場所でのことだから日本には関係ない」といいはなって、訂正・撤回もしないひとが衆議院の予算委員長をつとめている。

スキャンダルで与党を責め立てるのが存立基盤になった野党のひとたちは、この発言を問題にしないから、なにをしたいのかその不純な怪しさだけが国民にインプットされるばかりだ。

しかし、与党とて、このような人物を要職に就けるのだから、なにを基幹価値としているのか怪しいのである。
そんなわけで、地方選挙で野党が勝って与党が負けても、大勢には影響ないから、国民はまんざらバカではない。

さて、マラッカ海峡を無事にすり抜けたなら、わが国を直前に、台湾海峡をすり抜けなければならない。
地図で見れば、なにもわざわざ狭くて大陸にちかい側を通らずともよさそうにおもえるが、そうは問屋が卸さない。

台湾という島の、東側、すなわち太平洋の荒波は「荒波」なんてものではない。
悪魔が宿る「三角波」のメッカで、とても危険で航行できない。
それが、中台関係に米日がからむ「台湾海峡」なのである。

だから、台湾海峡がもしも「封鎖」という事態になると、その北側に位置する港はどこも、東南アジア・中東・アフリカ・ヨーロッパ方面からの物資が遮断されることになる。
そこには、上海も、韓国も、極東ロシアもふくまれる。

当時のアメリカ人の青年トラックドライバーが、港での荷役作業にうんざりして、「コンテナ」を発明した。
おなじ規格の「箱」を運べばいい、と。
それなら、陸も海もそのまま運べて、荷役作業が機械化できる。

アメリカ政府(州政府だった)の役人は、この青年のアイデアを実現するのに奔走して、国内での実験をやった。
これはいける。

アメリカ人が立派なのは、それを「州」のものにせず、すぐさま民間に「どうやればいける」のかや、「実験での課題」を公開して、投資をうながしたのである。

日本では、港湾の整備は「自治体」のしごとだったが、県境や市境という「境界」で、管轄が分かれてしまって効率がすこぶるわるい。
もちろん、こうした制度をつくったのは「国」だから、アメリカ政府のように民間にわたすのか、とおもいきや、その真逆をいく。

つまり、国家管轄という、もっとも効率がわるい方法がえらばれたのである。
それで、横浜港、川崎港、横須賀港は、国土交通省関東整備局京浜港湾事務所がうけもっている。

ほんとうは、東京港と千葉港も一緒にしたかったのだが、東京都港湾局の猛烈な反対で頓挫した。

横須賀港は、いまでも軍港の色が濃い。
それで、横浜と川崎の港をみわたせば、目立つのはコンテナばかりである。

ベイブリッジの東京側から横浜側の左手には、灯台型をした「横浜港シンボルタワー」なるものが立っている。
ここへは、市営バスでもいけるが、内部は展望台になっている。
すぐ隣のコンテナヤードでの荷役作業をながめていると、時間を忘れる。

キリンのようなガントリー・クレーン、コンテナをそのまま夾んでうごかす特殊車両、それに大型トレーラーが、お行儀よく順番待ちをしている。
どの箱をどの順番で、どの位置におさめるのか?
いまでは、コンピューターが三次元での処理をする。

それで、ストをしているのはこうした「大手」さんの従業員だ。
需要がなくならないばら積みや、はしけをもちいた運搬方法の会社では、労働組合がないからストはない。

これが、もしやニュースにならない事情かもしれない。

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