50年ぶりに低い失業率

1969年以来だから、ぴったり50年、半世紀ぶりに低い失業率を達成したのは、現代のローマ帝国、アメリカ合衆国である。
「栄光の60年代」をかざる数字は、どのようにしてできたのか?
それは、民主党なのに減税をやったケネディ大統領の遺産だった。

世界には「景気」にかんする二つの価値観がいまでもある。
「インフレ」対「失業」だ。

大恐慌の発信地でもあるアメリカ人には、時代をいうときに「恐慌前と後」という感覚が根強い。
これは、日本人にとっての「戦前・戦中と戦後」とでわけることに似ているが、戦勝国なのではなしが大恐慌までいくのである。

「先の大戦」といったとき、京都人が「応仁の乱」というほどの「時間感覚」ではないけれど、各国ごとの「時代感覚」はちがう。

もちろん、戦後の日本をおそった経済混乱は、戦時国債の紙切れ化にともなう一大インフレで、最高600%程度だったといわれている。
ドイツ人は、第一次大戦の敗戦で「真性ハイパーインフレ」を経験した。このときの最高は一兆倍ともいわれている。

喫茶店に入店したときのコーヒーの値段が、店をでるときに二倍になっていたなどという逸話はまだあまい。
パン一個の値段が、100マルク!でもすごいけど、これが一年後にいくらになったか?

教科書に、紙幣をリヤカーに積んで買いものにいく風景や、薪のかわりに炉にくべる写真がのっていた。
薪を買うより紙幣の方がよく燃えて、安かったからである。

そんなわけで、なぜか第二次大戦の戦勝国は「失業」を優先的に怖れて、敗戦国は「インフレ」を優先的に怖れる傾向をもっている。
戦勝国の英米で70年代におきた、「スタグフレーション」が深刻だったは、景気が悪いのにインフレになった。

国民に政府が、とにかく職をあたえようとしたら、市場に貨幣がふえてインフレになったのだ。
これを退治すべく登場したのが、サッチャーとレーガンであった。
コンビを組んで、似たような自由化を主とする経済政策を推し進めた。

真逆をいったのがフランスのミッテラン社会党政権で、どちらが優位なのかと当初は論争にもなったが、時間とともにミッテランもサッチャーとレーガンのやり方をマネしたから、もう論争にもならなかった。

世界の工場として絶好調だったわが国は、苦しむ英米を上から目線で眺めていた。
もちろん、世界の工場の役目が永遠につづくものと信じて疑わなかったからだ。これは、おなじ敗戦国のドイツもおなじだった。

そんなわけで、西側経済の牽引車は、日本とドイツという機関車の「重連運行」だったのを、まさに「自慢」していたし、国際会議でも英米が日独にけん引されることを望んだのである。
いまからすれば、機関車よりもモーター車を複数もつ電車のほうがずっと効率的だと、だれもおもわない不思議があった。

レーガン減税で息を吹き返したアメリカと、あいかわらずの強い日本に対抗するために、ヨーロッパが「徒党を組んだ」のが「EU」である。
これで、西側に三極構造ができたのは、東側の経済を無視できたからでもあった。

それで、経済の強いドイツが域内貿易で一人勝ちの大儲けをしたら、大損した南の国々が破たんしそうになった。
ドイツの凋落はここからはじまる。旧東ドイツへの負担だけではすまなくなった。

日本の凋落はもっと深刻で、頼れる者がいないからと、あろうことか政府に頼ったので、自滅の道を確実に歩んでいる。
サッチャーとレーガンが頼った「ハイエク」を、日本人はほとんど読んでいない不思議がある。

経済学部の入試に数学を要しない「文系」がふつうなのは、かつてわが国で経済学とは、「マルクス」のことだったからである。
いまでも、数学を要しないのは、教授たちが楽をするためだとうたがっている。

やたら数学ができる学生がいたら、かんたんに論破されてしまうかもしれない。
けれども、経済は、ほんとうは人間の営みだから、数学モデルの限界があるのではなかろうか?ともかんがえる。

もちろん、モデルの限界をしるための数学がひつようだ。

かつて、サミュエルソンという天才が、数学を駆使してつくったモデルに経済学者たちが驚嘆したのは、その意味で「いい時代」だったのではないか?

残念なのは「マルクス」にいったひとたちで、完全に「文学」か「宗教」の世界にはいったままでてこない。
間の「哲学」が欠如しているから、やっぱり「理屈」にならないのである。

50年ぶりの低い失業率は、こんどはトランプ減税の効果である。

いったいいつ、わが国で「減税」が議論されるものか?
「マルクス」にいったひとたちの与党いがいの党にも、ぜんぜん期待できない。

けっきょく、政治なんだなぁ。
国民の資質のちがいにちがいない。

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