「花祭り」をやり過ごす仏教国

明日、4月8日は、「花祭り」。
しかしながら、わが国では、とくだんなにも話題にならない。
お釈迦様の誕生日を、一般人が大々的に祝わない。
国民の多くが、「仏教徒」ということになっているのに、どういうわけか?

ときは、いまから2600年以上まえにさかのぼる。
詳しくはわかっていないので、3000年前という説もある。
なんにせよ、まちがいなく「キリスト教」より古い。
イエスの誕生をもって、「西暦」がはじまっている。

言葉では、インド・ヨーロッパ語族があるように、インドとヨーロッパは同系の言葉を用いているので、飛行機も自動車もない時代に、深い交流があったことの証拠である。
国連が採用する6つの公用語のうち、この語族に「含まれない」のは、中国語とアラビア語だ。

つまり、「英語」、「フランス語」、「ロシア語」、「スペイン語」が、インド・ヨーロッパ語族にあたる。
もっといえば、「ギリシャ語」、「ラテン語」もそうなので、「イタリア語」に「ポルトガル語」や「ドイツ語」もだし、ほぼアラビア文字をつかうイランの「ペルシャ語」も仲間である。

源流が不明のわが「日本語」は、もちろんこの系統にはない。

イエス・キリスト誕生のおり、東方の三博士がやってくるエピソードが『マタイによる福音書』にあるけれど、それはどちらから?と問えば、おおかたペルシャから、ということになっている。

古代ペルシャには、人類初の経典宗教、ゾロアスター教がうまれている。
「拝火教」として有名だけど、血縁主義をとるためにすっかり現代イランでは、イスラム教シーア派という、こちらも「預言者ムハンマド」からの血縁を重視した宗教家たちが国家を運営する国になった。

オリンピックの聖火リレーがはじまって、既定事実化もはじまった。
ギリシャのオリンピアで太陽光から火を採取する儀式の意味は、火はプロメテウスが神々の元から盗んできたものとされる、「神聖」さの象徴だからである。

前に書いたように、これは、ゾロアスター教が西に広まった痕跡であるし、極東のわが国には、「密教」儀式としての「お焚き上げ」になっている。
火によってできる、「明」と「暗」が、「善」と「悪」の二元論になったのだから、現代の人類にも多大な影響をのこしているのである。

そんなわけで、仏教の影響はキリスト教にも波及したのは、その古さからすれば当然である。
そして、後からやってきたキリスト教の影響も仏教は受けるから、われわれは入り交じった状態を「常態」だとおもっている。

葛飾は江戸ではなかった。
そこに、寅さんゆかりの「帝釈天」がある。
しかし、柴又は帝釈天の門前町だから、おいちゃんの団子屋が商売できた。
その帝釈天の境内に、付属のルンビニー幼稚園がある。

ルンビニーとは、お釈迦様生誕の地をいう。
いまはネパールにある村で、当時は「ルンビニーの花園」といわれた。
出産のため実家へ帰る途中、ここで生まれた。
そして、母の摩耶夫人(まやぶにん)は、7日後に滅している。

誕生してすぐ、立ち上がって指を上下に指し示して、「天上天下唯我独尊」と述べたとある。
すると、実母との死別は、この言の後ということである。

もちろん、漢字での記述は後世、中国に伝来してからのものだ。

釈迦にとっても、人間だれでも、生母なくしてこの世に存在しないけど、その生母は、はげしい「陣痛」をともなって出産するのが、動物として延々と繰り返してきている人間のいとなみである。
これをしみじみ、「臨生受苦の恩」という。

だれしも母に頭が上がらない、最大の理由がこれだ。

そして、はなはだ誤解されているのが、「唯我独尊」の意味である。
キーとなるのは、「我」という字にある。
漢字に翻訳された経典で、釈迦が自身のことを指すときは、「吾」の字をつかう。
すると、この「我」とは誰か?

「我々」のことである。
ようは、「人間」のことを指す。
では、「独尊」とはなんのことか?
「尊」には、「崇高な尊い使命」という意味がこめられている。

これに、「独」=「ひとつ」というのだから、たったひとつの使命・目的が人間にはある、という意味である。
独りよがりで、自分はえらいのだ、というのが、はなはだしい誤解であることがわかる。

さらに、「天上天下」とは、宇宙のことだ。
宇宙でのたったひとつの目的を人間はそれぞれ平等にもっている、ということになる。

もちろん、生まれたばかりの赤ちゃんが立ち上がって言った、という史実はないだろうけど、そういう教えを生涯にわたって貫いた、といえば、かくいう伝説があって不思議はない。

千年にひとり、万年にひとり、というひとが出てくることは、あり得ることだ。

ルンビニーの花園だから、「花祭り」なのである。
たまには、仏教徒になってみてもバチはあたらない。

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