ぞろぞろの不祥事の共通点

おわらないどころか,どんどん出てくる,といった感があるのはどうしたことか?
台湾の鉄道事故のように死者までが発生すると,設計ミスがただちに事故とは関係ない,といっても「信用」に傷がつくことはいなめない.

ちょっとまえ,社会インフラを輸出しよう!が政府のキャンペーンにもなって,各国に鉄道車両が輸出されたが,国ごとにことなる安全基準にあわせてつくるノウハウが,ながく日本国内「だけ」でやってきたノウハウとマッチせず,納期のおくれから生じる違約金負担で,とうとう老舗の川崎重工が赤字に転落し,鉄道車両製造事業の継続すら社内議論されているという.

なんのことはない,「ガラパゴス化現象」のはなしであった.
わが国のあらゆる分野で,この「ガラパゴス化現象」が起きている.
アマゾンの書籍検索で「ガラパゴス化」を入力すれば,多岐にわたる,ではすまされない状況がわかるだろう.

民間だけでなく,「公」の分野においても,しっかり「ガラパゴス化現象」は起きている.
霞ヶ関でも,県庁所在地でも,村役場でも.さらに,「学校」にもまん延しているだろうから,他人事ではぜんぜんない.
わたしたちの生活をおおっているからだ.

たとえば,上記の本は,世界的ベストセラーになった,学校教育のあたらしい方向性,についての教科書である.
世界はすでに,むかしの工場労働者の大量供給に対応するための画一化された教育方式をみなおして,「学習」に重心をシフトさせている.

それは,本人の「学習」でもあり,組織の「学習」でもある.
だから,以前このブログでも書いた,発見的教授法も,その流れのなかにある.
そして,ここで重要なのが,ゴール設定と設定したゴールからの演繹思考という論理である.

残念だが,われわれ日本人に,ここでいう「論理的思考」が,かなり欠如しているとかんがえている.すなわち,「目的合理性の欠如」だ.

「ちいさなことからコツコツ,コツコツ」は,いまでも美徳とされている.
しかし,この方法は,けっして目的合理性があるやりかたではない.
正しくは,「目的達成のために,ちいさなことからコツコツ,コツコツ」でなければならない.
「目的達成のために」を省略してはならないのだ.

すると,ガラパゴス化現象がみられる分野での問題点は,以下のとおりになる.
・「目的」を明確化せずに自己目的化して,ただ従来どおりのやり方を漫然と踏襲している.
・設定している「目的」が,そもそも的外れである.

これは,「マネジメント」の問題である.
ここで,マネジメントを「経営」と訳してはいけない.
マネジメントとは,「組織の目標を設定し、その目標を達成するために組織の経営資源を効率的に活用したり、リスク管理などを実施する事」だ。

「経営資源」とは,「ヒト」,「モノ」,「カネ」,「情報」,それに「時間」をさす.
もっとも重要なのは,「ヒト」である.主語になるのはかならず「ヒト」だからだ.
「ヒトがモノを」,「ヒトがカネを」,「ヒトが情報を」,「ヒトが時間を」コントロールする.
いま問題の,「ハラスメント」も,ヒトの存在が組織には必須な「ヒトがヒトを」で発生するものだ.だから,ヒューマン・リレーションズをどうすればいいかが,誰にでも問われるのだ.

また,「リスク管理」を,「リスクは回避するもの」と理解してはいけない.
「リスク管理」とは,「リスクはコントロールするもの」という意味で「管理」なのだとかんがえなければならない.
「リスク」は,「利益の源泉」でもあるから,「回避」ばかりする日本企業の儲けがなくなった.

さて,ここまでは頭で理解できる.
しかしおおくの分野で,この「問題」が解決できないのに理由があることまで踏み込まないから,いつまでも,どこまでも同じ過ちを繰り返すのだ.
すなわち,「学習しない組織」がまん延状態になってしまっているのがいまの日本だ.

つまり,このような「学習しない」状態から抜け出すには,なんらかの行動を起こすひつようがある.
そのためには,組織構成員を「学習するひと」に変えなければならない.
しかしそれは,「本を読め」という命令では達成できないものなのだ.

「頭」だけではなく,「体」もつかう.
これをふつう「訓練」という.

わたしたちは,きちんとプログラム化されたメソッドとしての「マネジメントの訓練」を,ほとんど受けた経験がないままに,組織を運営させられている.
それは,大企業のトップも,高級官僚も,政治家も,まったくおなじである.

人生のなかで,社会への準備段階としての「学校(小中高大)」における段階的訓練.
入社後の社内訓練や職業訓練.
これらを見渡して,一度もないか希薄である.

ただし,一部企業では熱心にマネジメントの訓練を実施していて,こうした企業では不祥事が発生しにくいのは当然である.
かつて,日本の製造大企業は,こぞってこれを実施していたが,バブル期をピークに減少した.
一世代,30年の時をかけて,企業内部のマネジメント力が衰亡したのだろう.

どうやらこのことが,さいきんの不祥事の原因ではないかとうたがうのである.

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