ガソリンには産直安がある

産地直送だから安い。
これはなにも一次産品だけのはなしではない。
ガソリンだって産直があるのだ。

石油製油所は、かつて全国にあったのだが、わが国産業の衰退と需要減で製油所の能力があまる事態になってきた。
そこで、石油元売り各社の「事業再編」が必須となったのはしかたがないとして、なぜかこれに経済産業省という役所が口をだすのがわが国の特徴である。

どうしてこういうことに役所が口をだすのかといえば、民間の事業者間では決められない、という決めつけがあるからだ。
それで、過当競争になれば、共倒れして、国民がこまるというふうにかんがえているらしい。

おおきなお世話である。
過当競争になって得をするのは国民だし、共倒れしないように調整するのが株式会社の宿命である。

株主をさしおいて、役所が廃統合を命令する、ということが、どうして株主たちから訴えられないのか、こちらの方が不思議である。
公正取引委員会は、経産省を独禁法違反で取り締まるべきで、そのまま解散させるがよろしい。

さて、そんなわけで、ビジネスをしらない役人が、どういう根拠かしらないが製油所の製油能力にまで文句をたれて、全国に数カ所の製油所を残して、あとは廃止がきまった。

わたしが住む横浜市には、かつて原三渓という粋人がいて、三渓園という庭園を本牧の海岸につくったが、ちょうど小学低学年のころに、この海岸を埋めたてて、国内最大級の製油所(石油コンビナート)をつくったから、庭園の借景には無粋な煙突がみえるようになった。

廃止になるなら、その後の利用はどうするの?
まさか海岸に戻すわけがないから、借景だけが改善されるかもしれない。

関東だと、千葉港の製油所が生き残ったのは、きっと成田空港に航空燃料を供給するための基地でもあるし、ここからパイプラインで成田まで直送供給しているからだろう。

だから、千葉の製油所近辺のガソリン価格は成田あたりまでかなり安い。
たまに横浜から成田にいくと、その安さに驚くものだ。
慣れれば、なるべく多く千葉で給油できるように調整するのは、ややせこいが、これは人情だ。

ついでに、横浜港よりずっとあとに整備された千葉港は、入港した船舶への燃料供給も、製油所からのパイプラインをとおすから、タンクローリーで運ぶ手間がない。

そんなわけで、横浜港よりもずっと安い値段で重油の給油ができる。
リッターで40円ほどもちがうから、ちいさな船舶でもキロリットル単位での給油をすれば、あっという間に万単位の差になるのだ。

もちろん、横浜港の船舶給油所は、タンクローリーによる供給体制のままだから、運送手間賃が加算されている。
本牧の最大規模の給油所にも、横浜港へのパイプラインはなかったらしい。

すなわち、横浜港の燃料供給が千葉港より高価なことの負担は、ぜんぶわれわれ最終消費者が負担しているという意味になる。
まったくもって、とんでもない話なのだ。

なお、羽田空港は海に面しているので、タンカーが接岸して航空燃料を供給しているが、その数、60隻/月というから、長い目でみればパイプラインが有利ではないか?投資をケチって、どことなく、貧乏くさいのである。これは、輸送業者への実質補助金提供ではないのか?

船だって、燃料がなければ運航できないから、どうしてパイプラインが用意できなかったのか、くわしいひとの説明を聞いてみたい。
こんど、横浜にLNG(天然ガス)の船舶供給基地をつくるというのは、重油の失敗のあだを取り返そうという魂胆か?それとも、輸送会社への配慮か?どちらにせよ、最終消費者の負担になることだ。

ただし、例によって、LNGは環境にいい、という妄想がセットだから、世界でLNGを燃料にする船舶がどれほど普及するのかはわからない。
おなじ理屈なら、原子力船がもっとも環境にいいはずだが、けっしていわないというダブル・スタンダードがある。

ちなみに、LNGを燃やして動かす船舶はいまは全世界でたったの200隻でしかない。
きっと「LNGファシズム」の風がこれから吹くにちがいない。
日本政府はまた、この分野に税金をそそぐのだろう。

そうかんがえると、どうせなら内陸の山梨県や長野県にも、パイプラインで石油やLNGを供給すれば、どうなるのかが気になるところだ。
ちまちまと国道をタンクローリーで運ぶのとでは、ずいぶんなコストの差になりそうではないか。LNG船への投資より、ものになりそうだ。

山梨県知事には、是非、国からの予算をこの分野でぶんどってきてほしい。
エネルギーコストの削減で、県内産業をてこ入れしたらいかがか?

関西でおなじ状況がいえるのは、岡山県である。
倉敷にある石油コンビナートがそれだ。
だから、岡山県のガソリン価格も、全国的に安価なのである。

移住するなら、千葉か岡山が有利のようにおもえる。

横浜はとうとう産直の有利を発揮せずに操業を終わりそうだ。
いったいなにをしていたのか?
というよりも、どんな規制があったのか?
ただ、東京のベッドタウンとしてだけで人口は増加したから、いまさらではあるが。

市民に恩恵をあたえることは、けっこう重要なことなのだが、搾り取ることしかかんがえない「役人の性」が、とにかく邪魔をする。

たまには、産直のガソリンを入れに、遠出の旅でもしてみてはいかがだろうか?
これも、ひとつの「産業ツーリズム」なのである。

けだし、千葉のひとも岡山のひとも、そんな恩恵を得ているとは露ともしらないかもしれない。

地元は過小評価されるものだ。

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