バスで河津桜を観てきた

何年ぶりかわからないが、バスツアーに申し込んで「河津桜」をはじめて観てきた。
季節ものの観光地には、いきたい気持を萎えさせる「混雑」がつきもので、マイカーがあっても躊躇してきた。

たまたまのタイミングで、地元ローカル旅行社のバスツアーがあったので申し込んだという経緯である。

「観桜」ということでいえば、死ぬまでに奈良県の吉野の桜は観てみたいとおもいつづけてはや何年。日帰りできる距離でなし、ましてや、宿もふくめ、その混雑ぶりを想像するだに気が引けて、とうとういまだに実現していない。

河津桜にかんしては、ちょっとむかしに旅番組で特集されていて、そのときの旅人は、加藤茶と左とん平、そして若手の女優の三人という設定だった。

みごと満開の桜並木を愛でながら歩いていると、加藤茶が「あと何回この光景をみられるのかなぁ」とポツリと言った。
若い女優は吹き出してわらったが、左とん平の目は真剣だった。
その左とん平も、もういない。
あらためて、御大二人のきもちがわかる歳になったと実感した。

沼津から天城をこえて河津にでて、それからは相模湾沿いを小田原に向かうコースだ。
「半島」の「半分は島」という略語をかんがえなくても、道路事情がいいことはない。

平日で順調にみえた道路が、河津の手前で渋滞になったのは、なんと道路工事による片側車線規制のおかげだった。
よほどの緊急工事なのだろう。そうでなければ妨害行為かともおもえるが、他県ナンバーがおおいから、個人客もかなりの数になるはずだ。

「駐車場」は、町をあげての盛況で、「シルバーセンター」紹介のみなさんが誘導係としてはたらいていた。
おびただしい数の「係」が配置されているから、乗用車なら一日700円、大型バス3000円の駐車料金も、人件費でおおかた消えていくかとおもえた。

これが、世に言う「イベント疲れ」なのだろう。

同乗した女性客が、「ここに住んでいる一般人には迷惑千万な『桜祭り』でしょうね」といったのは、言い得て妙ではあるが、その迷惑の原因に自分もなっている。

河津桜は、オオシマザクラ(大島桜)とカンヒザクラ(寒緋桜)の自然交配種として命名されたいわれどおり、緋桜のDNAがあるので、うすいピンクのソメイヨシノにくらべてずいぶんと赤みがつよい。
それに、ゆっくりと開花するので、葉もいっしょにでる特徴がある。

赤と緑のバランスが、なかなかにきれいなのである。
この「派手さ」が、好みなのか、中国系の観光客がたくさんいた。
さいきんはどこにいってもみかけるとはいえ、なかなか熱心に写真撮影していて、おもわず「牡丹好き」ゆえの共通点をかんじた。

河津川の堤防土手に植樹されている。
なので、土手にさまざまな露天がならび、まるで夏場の縁日のさきどり状態なのだが、ゆっくり休める場所はすくない。
そんなわけで、立ち食いや、歩きながらの「ながら食い」になる。

こんなところに日本の貧しさがあるといえばそのとおりなのだ。
それは、投資をしない、という意味である。
一方、観桜客も、それでよしとする無頓着がある。

だから、提供者・消費者双方の合意で成り立っている。
みごとな調和的貧しさ、になっている。

たまたまかもしれないが、白人客よりも犬連れがめだった。
べつに白人がすばらしいと言いたいのではないが、かれらの貪欲は、景観と飲食とに、快適性をもとめる。
こうした場所に、かならず「ちゃんとした」オープンエアーの店舗をつくるのは、そうした欲求がつよいからだ。

犬についても、犬を着飾ってやるのではなく、人間社会に適応した「しつけ」が完了していることが「自慢」であり「常識」なのだ。
それは、けっして虐待ではなく、落ち着いた気分でいられる犬に育てることが、人間の義務だとするかんがえによる。
だからこそ、公共交通機関に犬と乗れたり、公共施設に一緒にいけるのだ。

しかし、日本人のペット・オーナーには、そうしたかんがえが浸透しているとはいえない。
「観桜」の場で、犬どおしのうなり声があちこちでするのは、歩行者にとっても迷惑なのだ。

すでに昨日で「満開」におもわれたから、今週末の混雑は今シーズンのピークになるだろう。
運転手の立場からすれば、バスツアーで行くべき場所だ。

参加者たちはおおむね高齢者だったが、その慣れた行動に感心もした。
狭い車内での手荷物を、シートにかけられるフックの普及率は8割ほどであった。
立ち寄るポイントの売店に、こうしたグッズがないのは、こうしたお店の店主たちがバスツアーの客になったことがないからだろう。

車内で配布されたツアー案内は、おもに4月催行のものばかりだが、年金の受給月にあわせているのだろう。
この場での申込みには、ポイント特典が追加される仕組みにもなっていた。

なるほどが満載の現場がわかる。

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