目的合理性と仮説

JAXAが月探査機を着陸させたが、「成功」と報じたマスコミを素直に信じるわけにはいかない。

もちろん、マスコミを信じるという手順は、はじめからないけれど、目的があっての成功という関係になるので、先ずは、なにが目的だったのかを確認しないといけない。

そこで、JAXAのページに行ってみると、次のことが書かれている。

SLIMは、「月の狙った場所へのピンポイント着陸」、「着陸に必要な装置の軽量化」「月の起源を探る」といった目的を小型探査機で月面にて実証する探査計画です。実証する技術は、月探査のほか、比較的重力のある天体の探査への基礎にもなるため、将来の太陽系科学探査の要求に応えることができます。

しつこいが、同じページ下にある「目的」では、

SLIMは、具体的には以下の二つの目的を達成することで、将来の月惑星探査に貢献することを目指しています。

  • 小型の探査機によって、月への高精度着陸技術の実証を目指す。
  • 従来より軽量な月惑星探査機システムを実現し、月惑星探査の高頻度化に貢献する。

とあって、冒頭の文にある、「月の起源を探る」が抜けているし、微妙にニュアンスが異なっている。

さてそれで、太陽電池の不具合は、着陸時にエンジンがひとつ何らかの理由で脱落し、姿勢が90度傾いてしまったので、太陽から陰になったようだが、29日、日光があたるようになって再稼働できたことがニュースになった。

所長は当初60点の出来といっていたが、目的のひとつ(高精度着陸)はクリアして、二つ目が?なのに、なんとなく10点を加えたということだろうか?
それとも、「月探査」を目的に加えて、なんとか調べられることに10点としたのかは不明である。

JAXAも役所(内閣府・総務省・文部科学省・経済産業省が共同して所管しているあやしさがプンプンする)なので、目的をハッキリさせないことが、なんだか文系の香りを醸し出しているのである。

なにしろ、なんでもありの内閣府には、「ムーンショット目標」なるちんぷんかんがある。

じっさいに、「SLIM」というプロジェクトの目的はなんなのか?
当然だが、軍事転用できることは明らかである。
今回の打ち上げには、「H-IIAロケット47号機」が使用されている。

当初「失敗ではない」と強弁した、H3ロケットについて、文部科学省は、驚くべき「原因」を報告書にして開示した。
「宇宙村」と揶揄されていたことの、内部証明でもあったのだ。

つまるところ、ぜんぜん新技術を信用しないで、30年前の部品を「信頼性があるから」として採用し続けたこともここで、明記、できたのは失敗あってのことで、すこしだけ文系官僚の意見を排除できたとも読める。

同じパターンを繰り返す、文系官僚は、「原子力村」でもしでかしているにちがいないし、三菱重工を倒産危機に追いやった経産官僚の、「スペースジェットの失敗」もなんだか似ているのである。

そんなわけで、一般国民にはなんのために国費を投じているのか?についての説明が果たされないのは、内閣府・総務省・文部科学省・経済産業省が共同所管していることのいかがわしさという「仮説」でもって、騙されないようにしないといけないのである。

これらの役所が、「純粋科学の発展のため」ということ自体が、もう目的合理性に合致しないからである。

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