4月28日、ドイツのメルツ首相が語った、「アメリカのイラン攻撃について、ヨーロッパは聞いていなかった」に、翌29日、トランプ大統領は反論し、在独米軍の削減について、「検討している」と述べた。
それからたった2日後の、1日、アメリカ戦争省は、在独米軍の約35,000人のうち5,000人を撤退させると発表し、その期間を半年から1年で完了する、と発表した。
あたかも、メルツの失言に対抗したようにみせてはいるが、トランプ政権1.0で、1万2,000人規模の削減を推進してたものを、バイデン政権が撤回していたので、今回の5,000人は意外にも「少ない」のである。
これぞ、トランプ大統領の「いけず」である。
一方、プーチン大統領とイランのアラグチ外相は、27日にサンクト・ペテルブルクで会談している。
本ブログで書いてきたように、いよいよロシアが予定通り「仲介」に登場した。
そして、上に挙げた29日、珍しくプーチン氏からトランプ氏への1時間半の長電話となった。
ちなみに、戦争屋のEUは4月23日に、「第20次ロシア制裁パッケージ」を採択し、ロシア外務省は4日後の27日には対抗措置を発表している慌ただしさがある。
なので、本稿冒頭のメルツ発言は、ロシアの対抗措置に対しての「当てつけ」にちがいない。
そして、トランプ大統領は、1日、議会に対して「対イラン終戦宣言」文書を提出し、大統領権限による軍事行動の60日期限を遵守しているのである。
むろんこれは、プーチン氏との電話会談の成果であって、アメリカは見返りにロシアへはドイツ駐留米軍の削減で応えている、とみる。
ただし、どちらも事前に決まっていたことを実行に移しただけであろう。
すでにヨーロッパの各国は自国の防衛費予算を増額する方向で動いていて、ドイツもそこから外れないが、まさにトランプ大統領の要求どおりのことをはじめているのに、防衛費増額理由を、アメリカが信用できないため、と書きたてるのが悪意のあるマスコミのお家芸になっている。
トランプは、「(防衛の)タダ乗り」を批判しているのである。
すると、わが国はどうなのか?
前にも書いたが、わが国では、「条約」として扱われている、「日米地位協定」に、アメリカ軍の経費負担についての条項があって、そこには、「アメリカが全額負担する」とある。
無法者のように演出はしているが、法の遵守に厳しいトランプ政権2.0だから、このことを識っているので、ヨーロッパとは分けてすぐさま対日問題にしないのであろう。
逆に、なんらかの方策がとっくに策定されているが、発表と実施のタイミングを計っているだけとかんがえられる。
敗戦国の悲哀を共有すべきドイツの話題が、わが国でほとんどないのもおかしなことなのである。
ではどんなシナリオなのか?を邪推すれば、イラン=中共の締め上げがどうなるのか?によるのだろう。
今月のトランプ大統領訪中で、米・中がどのような「手打ち」をするのか?
中共にとって袋小路のような情勢に、ひとつだけ出口を設けたのがロシアであった。
まるで、追い込み猟(漁)の網にみえる。
アメリカが追い込んで、ロシアが仕掛けた罠に一網打尽とする米・露協働のイメージである。
それで、あたかもトランプが中共を逃がした風情(失敗したかのよう)で、6月のプーチン訪中による中・露蜜月の演出に、まんまと世界が騙されることとなるのだろう。
だが、習政権は、すでに詰んでいるとしかみえない。
いまや中共は、世界で拠り所とする国がないのである。
頼りのはずのヨーロッパは、力尽きているし、国連も機能不全で、アフリカ諸国を借金漬けにして得るはずの「一票」も無意味となっている。
ようは、過去30年以上の外交努力(戦略)が、事実上の崩壊をみせているのがいまの中共苦境の原因なのである。
それだから、嗅覚が鋭い国は、中共離れをはじめている。
たとえば、4月14日に、アメリカと「主要防衛協力パートナーシップ」を締結したインドネシアがそれだ。
ただし、同国の領海・領空を米軍が自由行動できる協定には及ばなかったのは、情勢を「見極める」ためであろう。
ならば、わが国は、なにを「見極める」のか?
2日、鈴木宗男参議院議員が、緊急で、憲法記念日の3日よりGWを利用してのロシア訪問を発表した。
ロシアには9日の、「対独戦勝記念日」の大イベントがあるから、スケジュール調整が大変らしいが「窓口がある」ことは極めて重要であることはいうまでもない。
議員としての訪露で、「政府特使」でも「総理特使」でもないところが、外務省に抵抗できない自民党の迫力に欠けるものの、この肩書きの「軽さ」にも戦略があると(淡いが)期待したい。
山が動きだしている。

