むかし、日立が自社のカラーテレビを宣伝するのに、「キドカラー」(1968(昭和43)年から1970年代)をキャッチフレーズとしていたものだ。
まだ子供で「周期表」をしらなかったわたしは、「キド」の意味がわからず、だれかの苗字だとおもっていた。
さいきんなら、「レアアース」というようになったものの、「レアカラー」では商品名としてやっぱりピンとこない。
日立は、テレビのブラウン管の内部にユウロピウム(63番)やテルビウム(65番)などの「希土類元素」を蛍光体材料として採用したことをいいたかったわけである。
これで、「赤」の発色がよくなったので、青白くない自然な「ひとの顔」を表現できたのだった。
「レアアース」とはなにか?について、「信越レアアース」のHPが参考になる。
地球上の元素としては、あんがい「希」ではなく大量にあるのだが、その分離が大変(環境汚染問題も含む)なので「希土」になっている。
このため、環境規制を恣意的に操作可能な「全体主義国家」が原料供給源として世界で9割のシェアをもつようになっている。
これが、国際政治問題になる。
「THE CORE」がこの問題を取り上げて解説している。
とくに産業界がほしいのは、高性能磁石(レアアース・マグネット)としての、「ネオジム磁石」である。
この磁石が、強力な「磁気回路」を可能とするので、いわゆる「ハイテク機器」のほとんどに採用されている。
ために、「国家安全保障問題」に直結する。
原材料が特定国の「独占」下にあるので、困ったときの人類がおもいつくのは「代替法」という原理が発動する。
それで、地上にある採掘可能なエリアを探査し、安全な分離法を開発する、という二段階が同時に起きるのである。
2028年が、どうやら独占を崩す元年となる。
よって、あと1年から2年間の「つなぎ期間」をどうするのか?となるが、それがまた、国際的な国家安全保障と直結しているのである。
たとえば、今年6月に上にあげた「信越レアアース」が福井県に新精錬施設を建設することがニュースになった。
国(経産省)からの助成金を全体予算の半分ほど得ながら、具体的な場所や稼働時期が「非公表」というのも、国家安全保障上の配慮、ということであろうか?
素人でも、独占国以外からの原材料の確保時期と稼働時期をあわせてのスケジュール管理がされている、とわかる。
民間企業が投資する、とは、利益があがる、ことを前提とする当然があるからである。
であればこそ、いま独占状態にある全体主義国家として、できることは限られる。
徹底的な嫌がらせをするか、現状よりも好条件をだして取り引きを継続させるか?の二択となる。
むろん、好条件によっては、新規投資が赤字になるので計画の中止もありえるから、一種、強力な阻止戦略ともなる。
だが、どうやら、前者、を選択しているようである。
これは、好条件をだして相手の赤字を誘導する、という損得勘定ができないことの結果とみることができるし、あるいは、赤字でも国家安全保障のかんがえから事業継続するにちがいない、とかんがえていることからの決定だとかんがえられる。
つまり、どちらも、自由経済を考慮していない、ことがわかるのである。
しかして、トランプ大統領の米中会談における「日本への輸出禁止を解く要請」とは、発明しながらもネオジム磁石の国内製造を放棄したアメリカにとっての大問題となっているからである。
なぜにアメリカが自国生産を放棄したのか?を問えば、リカードがいう外国生産の「比較優位」という損得勘定からのことで、このときのアメリカは国家安全保障上の問題を意識していなかった、か、それでも赤字を嫌った、という意味である。
ようは、国家統制経済ではない自由経済の結果、なのである。
だから、自由経済の本質を理解しない、国家統制経済の下での常識では、上に書いた「後者」を選択できないのである。
ここから、わが国の経済産業省が、多額の補助金をだすことの意味はなにか?を考察すると、基本的に補助金は、「渡しきり」だから、国庫への利益還元を条件とするものではない。
しかし、ただより高い物はない、という原則にしたがえば、「信越レアアース」は、経済産業省のOBを未来永劫受け入れないといけないのではないか?と疑う。
ようは、他人のカネ(国家予算)によって、肥えようという豚のような存在なのであるが、それがまた、あたかもわが国の国家(経済)安全保障だというから、全体主義国家から「再軍備」の批判をもって輸出禁止の理由付けに利用されているのである。
おそらく、自民党は、こうして利用されることをしっていてやっている。
そこで、あくまでもたとえば、であるが、信越レアアースには、補助金がゼロでも国内に新規投資をするのか?を問いたいし、投資戦略にアメリカでの新規工場設置の選択はなかったのか?が気になるのである。
鳴り物入りで「USスチール」を買収した「日本製鉄」の成功をどうみるのか?を横目にしたときの比較である。
ついでに、2028年は、アメリカ合衆国大統領選挙の年である。

