維新との連立合意文書に、「J-DOGE(政府効率化局)の発足」がある。
この項目が、だれの発案かもわたしはしらないが、なんとも巨大なテーマを織り込んだものだ。
できるわけがないから入れた、というなら維新らしいのだが、よくも自民党側が了承したとおもうのは、おなじく、できるわけがないから、だとすれば、それはそれで自民党らしい。
共同声明も、共同記者会見もなかった日米首脳会談の歴史上初であったので、トランプ氏とどこまで「J-DOGE」についての意見交換ができたのかも不明のままである。
むろん、本当の「DOGE」を率いたのは、イーロン・マスク氏だから、実務ではマスク氏の助言があればさらにいい、ということになるのであろう。
しかし、わたしのサラリーマンとしての経験で、もっともキツかったのが、「社内(管理会計としての)予算・決算制度」の構築であったことから想像するに、政権が替わったから総理がやるといえばなんでもできる、という単純な問題ではない。
一企業でも面倒なのは、管理会計としての「会計基準」を設けることから話がはじまるからである。
そのための用語に、「制度設計」があるけれど、既存の制度と並行して二重手間にならないようにするには、あれこれとやるべき事務が山ほどあるのである。
それをたとえ範囲が一般会計だけでも「国家予算・決算」レベルで行うには、総理が「命令すればできる」レベルではない。
現実に、トランプ政権2.0が即座にできたのは、バイデン政権の4年間をしっかり準備に使えたことにあるとかんがえられる。
さらに、アメリカ人はシステム化をするのが得意なので、政府の会計分野にもかなりのデジタル処理が普及していたという基盤も、わが国とは条件がちがう。
それが、国民にも「デジタル政府」としてのサービス提供があることでわかる。
わが国は、意味が不明の「デジタル庁」があって、むりやり「マイナンバーカード」を普及させるのに四苦八苦しているレベルで、当然ながら提供サービスの質も量もちがいすぎる。
結局、イーロン・マスク氏が指揮を執りながらも、DOGEが採用した若いハッカーたちを使って、各省庁の予算システムに合法的に侵入し、そのムダを暴いたことでの大成果だったことをかんがえれば、日本でこれとおなじことができるのか?と問えば、ムリ、という答えになるだろう。
すると、政府の各省庁からそこまで優秀ではない人材(でも一応はキャリア官僚)が集められて、本省に残った抵抗勢力と闘わされるはめになるしかない。
逆に、J-DOGEで頑張ると、本省からにらまれて将来不安な人事の報復を受ける恐怖との闘いとなるから、だれも真剣にJ-DOGEの仕事をする気がないことからのスタートになると、かんたんに想像できるのである。
しかも、政府のムダ削減=コバンザメ化したNPO法人やらへの補助金縮小、というきわめて単純な「式」での計算が成りたつから、自民党のあらゆる「族議員」が黙ってはいない、というわかりやすい抵抗も予想の範囲にある。
すると、現実的な方法は、当面やった感をだすものと、来年度予算以降へのメスの入れ方というふたつの問題に、これを補助する「決算」のいまと並行したムダあぶり出しの方法論を実施しないといつまで経ってもできない相談になる。
実務では、決算(実績)に対しての、予算組み、になるからである。
しかし、芯から腐りきった日本政府の事務方は、これだけ「減税の財源がない」と株主たる国民にはいいつつも、来年度概算要求では、全省庁が「増額予算」としている無責任が糾弾されないなかで生きているのである。
この意味で、アメリカとわが国の決定的なちがいである、予算編成権が「議会」か「財務省」かに問題の本質議論が移るしかなく、「財務省解体デモ」をするくらいなら、予算編成権を国会に移行させる法案をかんがえないといけないのである。

