3月30日、ピート・ヘグセス氏と中谷元氏は、双方で硫黄島を訪問後、東京・防衛省で初の会談を行った。
ヘグゼス氏は、名門プリンストン大学(文学)の出で、州兵の将校としてアフガニスタンとイラクに駐留した経験者ではあるが、いわゆる「将官」にはまったく手が届かなかった。
一方、中谷氏は防大卒(理工学専攻)ではあるが、4年だけの任官・勤務であったため、最終階級は2等陸尉であった。
トランプ氏の人事は、アメリカという大統領制のために、閣僚人事は国会議員を中心に選ぶ「議員内閣制」とはちがって、広く民間からも選べる多様性が担保されていることに特徴があることを活かして、「適材適所」に徹した選択をしている。
米軍をマネジメントするトップとして、軍務経験よりも「文官」としての才覚を優先させたとかんがえられる。
対して、わが国は基本的に「議員内閣制」なので、重要ポストほど議会経験の長さが重要視される傾向となるし、自民党なら派閥バランスがもっとも重視される。
よって、ド素人でも大臣になって、これを官僚がコントロールすることを「よし」としているから、流れに任せるだけのことが平然とおこなわれてもどうにもならない。
もちろん、自民党やらはソ連共産党や中共のように、政府に指示命令するのは「党」なので、党のなかにある「部会」の了承が大臣といえども無視できないことでの国家運営をしている。
この意味で、わが国はやっぱり「ソ連型」の政体なのである。
管理職を経験したひとなら気づくだろうが、部下は上司に似てくる傾向があるのは、毎日接する上司との時間で、だんだんと無意識のうちにその上司の言動を真似ているからである。
だから、パフォーマンスつまり効率のよい組織は、管理職教育=管理職の心得などの教育、を優先させることに熱心に取り組んでいる。
専門知識は、当然あるはず、とされるからでもある。
ちゃんとした管理職ばかりの企業が、たいがい目論見通りの結果を出すのは、部下を正しく導くことができるから、仕事に遺漏がないためである。
トランプ氏の企業経営者としてのリーダーシップ(指導力)については、彼の40代の頃から有名であったから、30代にはパターン化に成功していたことがうかがえる。
それはもちろん、子供時分からの天賦のものかもしれないが、それだけで「若き不動産王」とアメリカでいわれるものではない。
つまり、大不動産企業たる「トランプ・オーガナイゼーション:The Trump Organization」の運営にかかわる管理職も、相当に訓練されていると容易に想像することができるのである。
このことは、日本企業よりもずっと困難なことだ。
なぜならば、社員ひとりひとりのバックグランドが、はなから多様化しているアメリカと、一応まだ一律的な日本とのちがいがあるためだ。
なので、「(強引な)牽引力」だけがリーダーシップではなくて、「自主的に行動させる」こともリーダーシップにおける重要な要素だと、トランプ氏は熟知しているはずなのである。
そんなわけで、ピート・ヘグセス氏は、上に書いたように州兵やらグアンタナモでの軍歴はあっても、将校としての幹部教育ではなく、プリンストン大学とハーバード大ケネディスクールでの公共政策修士をもつ「文官」であることがあんがいと重要だ。
FOXニュースのキャスター時代にトランプ氏に見出されたエピソードは、ニュース中でのコメントにトランプ氏が注目していたからのことである。
さてそれで、トランプ氏のキャラクターは、日本人にはあんがいと「京都人のいけず」だと書いた。
英語が理解できれば、トランプ氏のしゃべりは、根っからのニューヨーク・ヤンキーのべらんめえ調だという定説があるが、その比喩の用い方は、いかにも「京都」なのである。
つまり、あの「いけず」なのである。
わが国の偏向したマスコミは、日・米防衛相会談でのヘグセス氏の発言を、意識的にかどうかはしらないが、「かつてないほどに日米同盟が強固だと強調した」とまんべんなく報道している。
これは、日本の戦後初のあからさまな「反米政権」としての評価に対する、トランプ用語でのいけずな発言である。
つまり、「かつてないほど日米関係は弱い」と言っているのである。
しかも、在日米軍の強化についての原計画を破棄しているのが、ヘグセス氏の判断だ。
ようは、日本は日本を自分で守る、という原則論が裏にあるのは、トランプ政権1.0時にトランプ大統領が安倍首相に言ったのと何ら変わっていない。
だから、「台湾海峡を含む、この地域における抑止力の必要性について議論をするのを楽しみにしている。日本は中国共産党の軍事侵略を抑止する上で不可欠なパートナーだ、とも語った」というのは、ボールは日本側にあるということそのものだし、親中・媚中の動きは十分にしっているぞ!それでどうする?どうしたいのだ?という詰問なである。
これがまた、「日本(自衛隊)は、前戦に立つ」という、左翼が騒ぐ反応となっている。
かつて安倍晋三氏が、「台湾有事は日本の有事」と言ったことも引き合いに出して、左翼界隈は「台湾がどうなろうと(日本は)関係ない」という。
しかし、大問題なのはアジア経由でやってくる海運物資は、ぜんぶ「台湾海峡を通過」しているので、有事=海峡封鎖、ともなれば日本や韓国は数日で干上がるのである。
だが、ヘグセス氏がなにを言おうが、防衛省を下にみる外務省は、おそらく無視する。
防衛大学校卒業の中谷氏の小物ぶりは、生徒募集が厳しい少子化のおり、防衛大にとって困りものであろう。
しかし、もっと困りものは、将官クラスのOBたちがこぞって発言した、ウクライナとロシアの分析がおおはずれしたことにある。
正しかったと歴史が示すのは、元陸将で西部方面総監だった用田和仁氏と、元陸将補の矢野義昭氏のふたりしかいない。
これは、防大出身者ばかりの自衛隊現役幹部にとって、大事件だろう。
よせばいいのに、将官クラスのOBたちの見立てが大コケしているのを目の当たりにしたら、不安になるのが人情というもので、階級を絶対視する組織にあっては、中堅や下士官クラスに「考えるな」と命じるしかない。
どんなに軍備があっても、指揮する人材がいなければどうにもならないと証明されたのが、ウクライナ軍の総崩れであって、そこまでやらせた英・仏は、とうとう自軍の直接派遣=参戦まで決めたというニュースが3月30日に走った。
4月1日はエイプリルフールだが、とにかくこの異様な英・仏を止めないと、人類は第三次世界大戦(WW3)を嫌でも経験させられる。
狂ったヨーロッパは、狂女フォン・デア・ライエンを中心にして、英・仏の狂乱がつづく。
「司法の武器化」が世界で炸裂して、プーチン大統領も「ル・ペン有罪」に正当なコメントを発信している。
日本では、国会で「外人不起訴」についての質問に、法務大臣が支離滅裂答弁を議事録に残した。
止める側はもはや一国、アメリカ・トランプ大統領にかかっているのである。