人類史上初が軽すぎる日本の怖さ

フクシマの、処理水(「汚染水」となぜかいわなくなった)海洋投棄のことである。

電気事業連合会からの巨額広告料収入があるからか?また、政府広報の巨額広告料収入があるからか?むかしは、「聞屋」といって蔑まされた記者稼業が、ふたたびあやしい存在になってひさしい。

もっと政治向きに穿ってみれば、電力労連がNHKとかの労組と結託しているのか?ともおもえるのは、その報道内容のほとんどが、「ウソ」で、国民の目を事実からそらす努力をしているからである。

物質文明のひとつの極致が、原子力発電である。

二度も「核」の空中爆発をくらってえらい目にあった日本人がいう、「世界初の暴挙」があることを忘れて、今度は自ら「世界初」を決定して実行した。

あたかも、ヒロシマに刻まれている、「安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから」に対して、被害者の日本人があやまちを冒したようで書き換えるべきではないのか?の正当な意見に、広島市は詭弁を弄しているから、参照されるといい。

こんなことがまかり通るから、フクシマの人類史上初がたいした議論にならずに、あるいは信用できないけど、マスコミが実施する社会調査で、支持者が6割もいるような恥を恥とも思えぬ国民になったのである。

広島市の見解のとおりなら、二度目となる今回の海洋投棄は、わが国の意思なのだから、攻撃された受身とはぜんぜんちがう、かえって重大な「あやまち」ではないか?と、広島市長は広島市民たる岸田首相に抗議をして当然なのに、これをしないのは、ダブルスタンダードである。

そんなわけで、中国がわが国水産物の禁輸を決めて、わが国の水産物輸出の42%を失うに至った。

この数字の中に、広島県の水産物も含まれる。
ことは、福島県の漁協だけの問題ではないのだけれど、こんな事態を日本政府と与党はほんとうに事前に予想しなかったのだろうか?

さきに「ありき」を決めてしまって、あとはひたすら実行するのみ、というのは、あまりにもストレートで単純すぎる。
単純な受験脳が仕切る、エリートの崩壊だとしかおもえない。

まずは、外交的な敗北があげられるのだ。

海産物が市場からなくなって、困るのは中国人だ!という言い分も、子供じみている。
なんであれ、外交カードを相手に渡したことにかわりはなく、今度は解禁したばかりの渡航制限復活もいいだした。

24日付、ニューズウィークによると、もしや、あちらの原潜が台湾海峡で沈没したかもしれず、その汚染はフクシマ海洋投棄の比ではない。
これを隠す、絶好の口実を相手に与えた、という意味でも、外交カードなのだ。

「廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約」通称、ロンドン条約は、わが外務省のHPでは、「同条約は,水銀,カドミウム,放射性廃棄物などの有害廃棄物を限定的に列挙し,これらの海洋投棄のみを禁止していた。」と解説している。

つまり、条約違反が疑われるのである。

さらに、この条約の前提に、「海洋法」がある。
「海」は誰のものか?を規定しているのだけれども、「みんなのもの」と結論づけている。
世界の大陸につながっているのが海だからで、汚すな、という具体的ルールがロンドン条約だ。

政府が「お墨付きを得た」という、IAEAは、上の条約を管轄してはいない。

人類が経験した、メルトダウンを伴う原発事故は、過去3度ある。
スリーマイル島とチェルノブイリ事故につづいて、フクシマとなったが、どれもこれまでは、「陸上での処置」をしてきた。

このたびの日本政府の決定は、人類初めての海洋投棄となったのだ。

事故から12年以上が経過して、タンクが足らないというけれど、水のまま保管するだけなのはどういうことか?
コンクリートで固体化する方法がどうしてとられないのか?がわからない。

つまり、物理的方法論の前に、わが国はこの12年以上、この事故を国内問題としていたのに、今回、国際問題に拡大したのである。
しかも、自分たちの意思でだ。

さらに、あたかもトリチウムだけだ、とウソをついている。
東電の発表で、ALPSを通過した「処理水」には、セシウムやらストロンチウムやらも含まれている。

世界の原発を見渡せば、どこもかしこも、トリチウムを含んだ排水を放出しているという、無責任な報道もある。
これは、熱交換器を通じて蒸気を冷やすのにつかった水が、トリチウム化するからで、フクシマのように、デブリに直接触れた水とは意味がちがう。

だから、セシウムやらストロンチウムが入っているのである。(環境省
トリチウムの半減期は、12.3年。
セシウムは、セシウム134の半減期は約2年、セシウム137の半減期は約30年。
ストロンチウムは、28.8年だ。

ついでに書けば、デブリとは燃料棒が溶けてしまって、周りの構造物も溶かしたために溜まったもので、どんな成分なのか?はいまだにわかっていない。

どちらにしても、薄めたから大丈夫だ、という理屈は、バリバリの文系か知能が低いひとにしか通じない。
いよいよ、小学校の理科での授業が面倒になったのである。

理系脳の子供に、薄めたから大丈夫は通じっこない。

悪魔的な宣伝部隊からしたら、6割と、かくも支持者が多いことに満足していることだろう。
しかし、この愚かな支持者達は、「仕方がない」という理由のはずだから、仕方がない人生を歩むはずだといえば、他人事になってしまう。

ところが、国内問題から国際問題になったことの重大性にも気づかない阿呆だから、思いもかけない海の彼方の国から、どんなイチャモンがつけられるのかも想像できないないのだろう。

もちろん、「風評被害」を作り出しているのも、政府だ。
ぜったいに正確なデータを公表しない。
日本の漁業を潰して平気の平左なのは、もう「票田」ではないからである。

これに真っ向対抗するような外務省なら、とっくに反対表明してしかるべきなのだった。

さては、日本観光で寿司や刺身を食べることの危険を外国人観光客にも擦り込んだ政府が、インバウンド増大のためと称する観光庁予算を倍増させるのは、もう狂っている。

歴代最長の外務大臣経験者の岸田氏をして、国際問題になったことの重大性に気づかないのも不幸だが、やっぱり国民のおおくが阿呆丸出しなのが問題なのであった。

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