重曹水健康法で重曹生活

世の中には、さまざまな「健康法」があるし、それにともなう高価なグッズもさまざまある。
しかも、むかし習った、古代エジプト最期の女王クレオパトラ(7世)のように、あるいは、おなじく「不老不死の仙薬」を求めつづけて、水銀中毒で亡くなったという伝説がある秦の始皇帝のように、世は健康ブーム真っ盛りになって久しい。

健康のためなら死んでもいい。

これをまじめに追求すると、神経が衰弱しそうになるのは、世の中の「もの」への「安全性」が疑われるようになったからである。
食品はもちろん、住宅建材にまで「疑い」が生じて、「ホーム・シック」が「シック・ハウス症候群」にまでなった。

それと同時に、もとからあった日本人の潔癖性がより病的な心情となって、商業主義のマスコミがこれを煽ったからなおさらである。
すなわち、どれと特定できない「複合的」なことが原因になって、とにかく・なんとなく、信じるものが救われる社会になった。

これを、「宗教」といわないでなんというのかしらないけれど、日本人は「無宗教」だと、これもまた根拠なく「信じている」から、はなしがこんがらがるのである。

「重曹(じゅうそう)」は、むかしからある薬品で、「ふくらし粉」ともいっていた。
洋風にいえば、「ベーキングパウダー」だ。
料理番組が真っ盛りだったころ、「なんだふくらし粉か」と母がつぶやいたのを覚えている。

カナダの公共放送(CBC)が制作し、世界37ヵ国で放送された『世界の料理ショー』(1974年4月から79年9月まで、東京12チャンネル)は、確か土曜の夕方に放送されていて、みたこともない調理器具やら、きいたこともない「香辛料」に、最後に紹介されるレシピをみても、さっぱり味の想像すらできなかったことをおもいだす。

  

さて、重曹とは、重炭酸曹達(NaHCO3:炭酸水素ナトリウム:ナトリウムの炭酸水素塩)のこという。
水に溶かすと微アルカリ性を示し、加熱すると二酸化炭素と水を放出して炭酸ナトリウムとなる。

重曹水健康法は、重曹の水溶液を「飲む」だけという「健康法」だ。
コップ一杯、200ccの水で1gの重曹を溶かして飲む。
このとき、重曹は「食用」、「食品添加物」のをつかうこと。
洗濯用とか、清掃用だと、重曹だけでなく洗剤が混じっていることがある。

人間のからだは弱アルカリ性であるのが「平常」なのだが、からだに悪い物質を食べたりすると、「酸性に傾く」のである。
重曹は、体内にもあるふつうの成分だから、酸性になったからだを中性にもどすのではでなく、アルカリ性にまでする「効果」を期待する「健康法」なのである。

化学式にナトリウム(Na)があることからわかるように、この水溶液は「しょっぱさ」を感じるし、塩としての換算をすれば約274mg、また食塩1g中のナトリウムは393mgだから、ナトリウム量で換算(274/393)すると、1gの重曹は食塩0.7gに相当する。

もちろん、「原子量」から計算する方法がもっとも正確ではある。
100%純度の重曹の「中身」がわかる。
これは、天然温泉の脱衣所などに掲示されている「温泉成分表」から、入浴剤をつくろうとしたときの方法とおなじになる。

気に入った温泉の「温泉成分表」を撮影して、休憩所なりでその成分を計算してみると、なかなかに楽しいのである。
スマホがあれば、原子量も「モル質量」換算もすぐに検索できる。

重曹が水に溶けるのは、20度の水100gで9.6gまでだから、これを超えると熔けないという特徴もある。
それでもって、ペースト状にして、これを顔のしみ抜きにつかう。
10分もパックすればよい。

入浴剤にするなら、コップ一杯ほどの粉末量で人工アルカリ温泉になる。

微アルカリといっても、アルカリ独特のぬめりがあるから、飲むとなるとやや飲みにくいかもしれない。
それで、なぜか「クエン酸」を投入して、柑橘系炭酸水のようにして「愛飲」しているひとがいる。

どうして「炭酸水」になるかといえば、それは、「化学反応」がおきたからだ。
クエン酸の「酸」と反応して「二酸化炭素」がでてくる。
もとが、CO3なので「重」をつけて表現している。

HOOCC(OH)(CH2COOH)2 + 3NaHCO3 → C3H4(OH)(COONa)3 + 3H2CO3
クエン酸+炭酸水素ナトリウム→クエン酸ナトリウム+炭酸
炭酸 H2CO3 は不安定な物質なので、すぐに水 H2O と二酸化炭素 CO2 に分解され、このときジュワーッと「泡」がでる。

そんなわけで、からだをアルカリ性にもどすために飲むものを、飲みやすいからと中和して炭酸水にしたら、なんのための「健康法」なのかわからなくなる。
けれども、これを奨めるひとがいるのは、化学反応の意味がわからなくなっているからだろう。

またまた、中学生や高校生にバカにされることを、大のおとながやっている。

学習塾の信頼をえたいという経営者なら、おとなのための化学とか、おとなのための物理とかも、特別授業としてネットにアップさせれば、子どもに勧めてくれるかもしれない。
なにせ、おとなが月謝を払うのだから、親の攻略こそが経営に重要な要素となる。

そうやって動画を観ていくと、なるほどなぁ、をみつけることができる。

それでもって、こんなものを飲むもっとも重要なことは、健康を害する物質がふつうにあふれているからで、重曹水健康法は対処法にすぎないことだ。

「食と健康」は、現代の巨大な問題だけど、それは「化学知識」の問題なのである。

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