「二対一ルール」の恨み

トランプ氏を起訴した司法省の言い分を支持して、「起訴を免れたいなら検察と取引して、24年大統領選挙から降りればいい」といったのは、MSNBCで左派の輝ける論客でもあったキャスター、レイチェル・マドー(Rachel Maddow)氏の発言である。

対する、トランプ起訴に反対する大物ひとりが、あのハーバード大学で合衆国憲法を半世紀にわたって教えていた、アラン・ダーショウィッツ(Alan Dershowitz)教授だ。
このひとは、みずから民主党支持者と断りながらも、トランプ氏への一回目の弾劾裁判で弁護を引き受けた実績がある。

それは、憲法学者としての矜持でもあった。

しかしいま、教え子たちのおおくさえ、憲法を無視してでも、なにがなんでもトランプ氏を逮捕せよというアメリカ法曹会の趨勢があると憤慨しながら指摘している。
その怒りの著作、『Get Trump』は、なんと一般書店での取り扱いが拒否されて、アマゾンで入手できるだけの貴重品になっている。

ただし、創業者にして会長の、グローバル全体主義者、ジェフ・ベゾス氏からしたら、取り扱いたくないかもしれないけど、A.I.が引き受けたのだろう。
なので、残念ながら、アイン・ランドの著作同様に、邦訳もないのは、日本側のグローバル全体主義者たちが「ださない」と決め込むからだ。

今回の起訴について、自身が黒人で、民主党から共和党に転向した作家、キャンディー・オーエンズが語っているのを、山中泉チャンネルが邦訳をつけている。

そこまでしてトランプ氏が、エスタブリッシュメントたちに嫌われるのはなぜか?
逆に、そこまでして、黒人やエスニックらからも支持されるのはなぜか?
にもかかわらず、2020年選挙で(民主党の不正以外で)勝てなかったのはなぜか?

これを、参政党創立メンバーのひとりだった、渡瀬裕哉氏がその著作『税金を下げろ規制をなくせ』(光文社、2020年)で書いている。
それは、トランプ政権が「まじめに(政治を)やったら、2年で(全部を)達成してしまった」からだと。

なにを達成したかといえば、当初の「公約」のことである。

なんと、トランプ政権は、たった2年で、選挙公約をぜんぶ達成してしまった。
それで次のやることリストが不明確になって、抽象的な「MAGA(Make America Great Again)」しかいわなくなったので、選挙に負けたのだと分析している。

この指摘は、図星だ。

だが、トランプ氏の最大の功績を、日米とも、あるいは、欧も含めた全世界が認識できていないという。
もちろん、認識できない理由は、マスコミがこれを決して書かないからだ。

それが、「二対一ルール」の設定と実行だった。

トランプ氏の優れた経営者としての知恵は、彼自身を大富豪にしたが、彼はこれを、「国家運営」にあてはめたのである。

「新しく規制をつくりたいなら、古い規制をふたつ廃止しろ」が、それだ。
わが国の、「立法爆発=規制強化」の真逆なのである。

レーガン時代の減税よりも強力な「減税策」を実施しただけでなく、この強烈な「規制緩和」で、アメリカ経済を絶好調に導いたのである。
しかしながら、それをたった2年でやり遂げたから、中間選挙で民主党に連邦下院を奪還されて、後半の2年はがんじがらめにされたのだった。

この民主党のがんじがらめ政策が、あたかもトランプ氏の無能と関連づけることに成功して、つまりは、アメリカ国民を欺くことに成功して、民主党のバイデン政権がなったということだ。

絶好調の経済にしたのに、中間選挙で民主党が勝ったのは、予算削減と規制緩和のダブルパンチで、補助金を削られて、公金チューチューができなくなったひとたちからの恨みを買ったからである。
それでもって、バラマキの民主党バイデン政権がなったのである。

しかし、公金チューチューに縁のない一般人に、コロナ不景気と資源インフレがダブルでやってきて、生活の痛みで目覚めたひとたちが共和党に投票したのが、昨年の中間選挙の結果だった。
それで、トランプ政権後半の2年とあわせた4年間の民主党の「不正」とその前のクリントン時代からの巨大な「不正」が、いまあからさまになってきたから、とうとう「憲法を無視した起訴」という状況にまでなったのである。

つまるところ、破れかぶれなのは、民主党バイデン政権の方なのである。

しかしながら、どの国でも公金チューチューはおいしいから、この利権を守る意味での「保守派」は、文字どおりの「必死の抵抗」をするのである。

なんでもかんでもスケールが大きいのがアメリカだから、公金チューチューのスケールも日本のようなチマチマではない。
なにせ兆円単位なのだから、この攻防戦は激しくなるのが当然となる。

敢えて厳しくいえば、トランプ氏は善意の紳士にすぎたから、公金チューチューのネズミ退治が中途半端だったのである。
広島・長崎ばかりか、ジェノサイドを平然とやる、民主党の悪魔的行動を真似できなかった痛恨がある。

しかし、トランプ氏はやっぱりそんな根絶やしまではできないひとなのだろう。

いまさらだが、トランプ氏の大統領就任演説と、リバティ大学(バージニア州リンチバーグにあるキリスト教福音主義の私立大学)卒業式での演説をいましみじみ観れば、その有言実行ぶりがよくわかるし、「憤怒の鬼神」にはなれないのだとおもうのである。

これが、ドナルド・トランプ氏の最大の弱点なのである。

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