安芸高田市政&議会の全国拡散

こないだ書いた、安芸高田市の若い市長が中心になっている軋轢は、市の公式YouTubeチャンネルで、1ヶ月で前編が116万回、後編が57万回、併せて170万回以上再生と、人口3万人ちょっとの地方自治体としては異例の記録を叩き出している。

これに便乗してか、地元、「HOME広島ニュース」(テレビ朝日系)も、100万回再生を連発して、全国放送並みのヒットとなっている。

翻って、奈良県宇陀市では、市長(たまたま出身校が京大と安芸高田市と同じ)が、駅前施設を巡る市議会議員との対立から、議員の一般質問への回答を拒否する事態となって、「全員協議会」が、異例の公開・録画・放送されるに至っている。

ただし、「宇陀新聞社」のYouTube再生回数は、上と同様に1ヶ月での数字だが、こちらはずっと地味で、前半が1600回、後半が2000回弱の再生回数である。
なお、こちらも、人口3万人ちょっとの市である。

安芸高田市は、市長がガンガン発信しているアクティブなのに対し、宇陀市は真逆のパッシブだから、野次馬の見物としては、確かに圧倒的に安芸高田市の方が面白い。

宇陀市と対立に至った議員は、弁護士の指示なのか、パッシブを貫いているので、業を煮やした同僚議員たちが、いろいろ発言しているけれど、要領がつかめないのである。
そんなことからか、コメント欄にも投稿がないのは、なんのことかよくわからないために、滅多な書き込みができないのだろう。

その他、YouTubeに、全国各所の自治体の「お粗末」が動画になっているのを散見するようになったのは、わたしの視聴分析アルゴリズムのおかげか?
ただし、再生回数では、宇陀市にも及ばない地味さばかりで、その興味のなさに興味が涌くのである。

そこで、わが横浜市はどうなのか?例によって野次馬根性が顔を出したので検索したら、全国最大人口370万都市の議会中継動画は、昨年暮れの「令和4年市会定例会第4回」で、ダイジェスト版というのがでてきた。

再生回数は24日の本稿執筆時点で、1708回だ。
人口で宇陀市の123倍以上ある、横浜市にして宇陀市に劣る実数を、統計学者の現職市長はどのようにかんがえているのか?

たぶん、興味もないのだろう。

しかしながら、予算のかけかたがNHK並みだと一目でわかるのがその贅沢なナレーションやらプロの仕事で、職員が淡々と定点で録画しています、というスタンスではぜんぜんない。

また、市議会は、「みんなの横浜市議会 子ども向け学習動画ができました編」という動画を1年前にアップしている。
議長、副議長、議会広報会議委員らの登場で、クイズ形式で学習動画をPRする企画だ。

それが、同様に、1498回の再生数なのである。

これは、市民が観ているのか?それとも市外の専門家が観ている数が多いのか?
どんなに画像や音声の質をあげたりしても、市民が興味を示さないのは、やっぱりつまらないからである。

なお、上に挙げた横浜市の公式動画は、どれも、「コメントはオフになっています」とあって、書き込みそのものも拒否しているのである。

もちろん対照的に、書き込みもアクティブなのは、安芸高田市の方で、そのほとんどが市長への応援になっている。

確かに、理詰めの市長の瞬間芸に昇華しているロジカル・シンキング能力は圧倒的だ。
また、メガバンクでアナリストだっただけに、統計の職業専門家に対して統計素人の議員が挑んだ無惨は、議員の無謀な勇気だけが目立って、吉本喜劇のような展開になるから、見物人が拍手するのも頷ける。

ただし、この拍手は、誰向け?かと問えば、なんだか無惨な議員向けだと思いたくなるのは、とっくにキャラ化してしるからだ。
これらのキャラが立った議員が一般質問に登壇すると、妙に期待が膨らむからで、もちろんこの期待を裏切ることはなく、あくまでもトンチンカンな芸を披露するのである。

市長にどんなに論破されても出てくる、あくまで上から目線でものを言う根性は、まことに恥知らずなので、視聴者を飽きさせないのである。
ただ不気味なのは、これらの御仁たちが、どうやらヒール・キャラであることすら自覚していないことへの驚きで、それがまた怖いもの見たさの「見せ物化」になっている。

なんだか、猫が捕らえたネズミをいたぶるような感じがして、一方でたまに市長への批判があるのは、そのサディスティックな残虐性に対する不快感にちがいない。

二元体制はそもそも対立関係にある、という正論に、なぁなぁに慣れた議員も新聞社もついていけない。

ただし、形式上は対立関係にある通りだが、知恵として収束を図るというのも、あながちぜんぶがまちがってはいない。
それが許されるのは、二元体制下での当事者双方が全員(首長も議員も)、正しい職務倫理のもとにある、という前提がある。

いま、我われが目にしている二つの市の軋轢は、この前提が崩壊した姿なのであり、横浜市は最初から「ありません」と表明してくれているも同然だから、市民と市が分離して存在するようになっている。
あとは国と同様に、「マフィア化」するしかないのである。

地方がこれだから、中央たる国も崩壊する。

それが、フクシマ汚染水の海洋放出問題で、当事者を無視して実行責任を担っているのが、淡路島を選挙区とする大臣様なのだった。

反対する漁民たちは、淡路島を訪問して、この議員の無謀を島の有権者に訴えたのだろうか?

こうしたことを飛び越えて、隣国から正論をかまされるわが国の国家としての「自治」はどうなっているのか?を改めてかんがえたいものである。

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