「柿渋染め」をやってみた

こないだ書いた「柿渋染の最終購入」で、オマケとしてプレゼントされた「柿渋原液(100㎖)」を使って、染め用のリネン生地ストールをまずは染めてみることにした。

YouTubeで染め方の解説を観たら、えらく簡単そうで、感心するほどの「お手軽感」に、いよいよその気になったし、春の陽気の中でどうやら貴重な晴天になったからである。

ネット通販という便利さの恩恵は、過去の人生経験から購入履歴どころか、購入しようというかんがえさえ及ばぬものも、検索すればいくつもでてきて、こんどはどこのショップを選べばいいのかを迷うのである。

せっかく原液を頂いたのに、染めるためのコレといった生地がない。

これからの「夏」をかんがえると、汗拭きを兼ねたストールがいいのではないか?と思いついたのである。
なにせ、柿渋タンニンの自然界最強殺菌力が、細菌の生存をゆるさないのでそのまま消臭にもなるからだ。

しかし、製品としてのストールではなく、染めるだけの工程を残したストールをどこで入手できるのか?すらしらなかった。

あるのだろうか?とおもって検索したら、でるはでるは、世の中には、こんなにも未染色の「半製品」があるとはとおもったが、染め物のプロもどこかで仕入れているにちがいないので、ものはためし、なのである。

そうやって、あっさりと簡単に注文できて、いつものように難なく届いたのである。

原液の使用には、かならず4倍から5倍あるいはそれ以上(7倍や8倍)の希釈を推奨する、ということなので、いただいた100㎖の半分、50㎖を料理用ビーカーにとってから洗面器に入れ、おなじビーカーで計った200㎖の水を洗面器にいれてかき混ぜた。

これで、5倍希釈をしたことになる。

原液はいがいと粘性が薄く、さっと水になじんだのはYouTubeで観た粘性があるタイプのとはちがかった。
泡立て器でよくかき混ぜる必要もなかったのである。

ちなみに、柿渋は漆とかとちがって、かぶれの原因になる物質は含まれていない。
元は渋柿とはいえ、果物なのだから当然といえば当然だ。
だから、わたしは素手で扱ったが、気になるひとは手袋を使うことも自由である。

ストールはいったん洗面所で軽く水洗いしてから、適度な湿り気のまま洗面器に入れた。
乾いた状態よりも、湿った状態の方が毛細管現象を促すので、染めムラも防げるという。
二枚ともしっかり浸して、そのまま約10分放置して、あとは絞って干すだけである。

柿渋特有の匂いがある、ということであったが、この「特選」原液は、さほど匂わず、とくに気にならないから、近所迷惑になるかもしれない懸念は杞憂であった。

素材がリネン(麻)なので、好天下だとすぐに乾く。

しかしここで重要なのは、「柿渋染め」の柿渋液とは、厳密には「染料」ではないことだ。

たしかに、柿渋液の色に染まるように見えるのだが、繊維に高分子(一万数千の分子量がある)の柿渋タンニンがコーテキングされて、さらに空気中の酸素と日光の赤外線によって乾燥させることで化学変化を起こすので、乾いて「完成」というのは、人間の手をかける意味での終わりで、色がつくのはここからじんわりと1年以上(ときには2年)かかって完成される。

だから、独特の匂い抜きも、上でいう化学変化によるために、陰干しが推奨され、ゆっくりと「赤外線」にあてることが匂いを「抜く」ための手間となるのである。

それで、これからの季節なら約1カ月(冬だともう少々長く)干し続け、最後に水洗いして乾けば「完成」となる。
なお、酸化を止めるのにつかう「焙煎剤」として、アルカリ性の「ソーダ灰」を用いることもあるようだが、とくに「必要」というものではないと原液販売の女将さんから聞いた。

使いつづけて、色落ちが気になりだしたなら再度染めることを繰り返せばいい、とのこと。

柿渋タンニンが線維をコーティングするので、繊維自体の強度も増して、タンニンの抗酸化効果で抗菌・無臭効果が続くのである。
それゆえに、残った液でちょうど洗濯していた「奈良蚊帳台ふきん」も染めてみたら、一滴も残さずに使い切れた。

別にある「生渋」という、色づきは薄いがフルーティーな香りがするという原液を注文して、到着したら、夏用の木綿の下着をやってみようとおもうのである。

先の女将さんは、そんなネット注文をした直後にわざわざ電話をいただいて、同時に注文した「特選」と「生渋」とでは、「生渋」の発色が弱いことの注意喚起の案内だった。

なんともご丁寧な対応に、こちらが恐縮したが、ついでにいろいろと質問できたのもありがたかった。

そういえば、柿渋タンニンの抗酸化作用の主役、ポリフェノールは、赤ワインの10倍以上あるそうなので、むかしから「薬として飲用」もしていたらしい。

人間の体内の活性酸素による「錆び」も中和してくれるというから、ますます興味深いのである。

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