園児置き去りの悲劇をかんがえる

まずは亡くなった子への哀悼の意を表します。

さて、話が超拡大して、とうとう総理の指示で「子供担当大臣」と「内閣府の役人」とが会議を開かされて、全国にある「送迎バスがある園」を、緊急点検することになった。
岸田氏は、まったくもって「政治家」なのである。

しかし、一方で、「大きなお世話」でもある。

すでに、全国の県や市が「総点検」モードに入っているので、「二重行政」となるし、国が乗り出せば、県や市の仕事から、「手柄だけ」を奪って、責任は押しつけることが行われるものだ。

さらにいえば、全国の園では、当然に「自主点検」も行われているはずだから、「自主」、「県・市」、「国」と、三重のチェックが入ることになる。
「二度と起こさせない」という意味での、「安全」を図るのは、もちろん結構なことだけど、送迎バスにはどんなリスクがあるのか?という「リスク管理」という視線だけの話しか出てこない不思議がある。

もちろん、直接的な原因は、「安全確保」に対する「うっかりミス」だった。
世の中の「事故」の多くが、この「うっかりミス」が原因だ。
だから、「気をつけましょう」ということになる。

すると、「何を気をつけるのか?」、「何に気をつけるのか?」ということが、本来は議論されないといけないのだけど、「気をつけましょう」で終わってしまうことが多いのである。
なにも「労災」だけが問題ではなく、ひろく心して「安全学」に取り組む必要がある。

それで、一般的に「業務の現場」では、その「チェック・ポイント」については、おおくの場合「指差点呼」が実行されていて、指差点呼をするための「訓練」が先に実施される。
また、社内の安全指導員は、これらの「指差点呼」が行われているかも、「業務点検」のなかで行うことで、「習慣化」させるのである。

ところで、今回の「悲劇」は、運転していた理事長が語った、「園児の確認は同乗の職員がするものだと思っていました」に最大の原因があったと、筆者はかんがえている。
だから、安全指導員的立場からしたら、「なっちゃいない」という感想を抱くことだろう。

そうなると、「バスの運転手」と「乗務員(車掌)」の、「職務分掌」がどうなっていたのか?という問題になって、たとえばこれが「航空機」なら、全責任は「機長が負う」ことからしたら、運転手だった理事長の責任は免れるものではない。

とはいえ、客席の第一次管理者を「乗務員」としたら、運転手は乗務員からの「報国」をさせて、さらに自ら点検することで二重チェックするという体制を構築できる。
相手が「幼児」の場合は、「おとなの常識」だけではリスクがあるという「チェック・ポイント」を設けていなかっただけでなく、職員からの意見もなかったということも、間接的な原因ともなるだろう。

これは、安全を超えた「組織論」である。

すなわち、「組織」の定義にある、「目的・目標をおなじくする」ということの根本が問われるという意味だ。
なお、わたしは、組織の定義に、チェスター・バーナードが提唱した、「二人以上の人々の、意識的に調製された活動または諸力のシステム」であるとおもっている。

目的や目標にむかって「意識的に調製された活動または諸力のシステム」が、組織なのだと。

すると、残念ながら、理事長の発言から、この「組織の定義」を基盤にして、園という組織を運営していたとはおもえないのである。
もしも、このことを深くしっていたら、組織メンバーである職員にも、思考を促すことが日常的に行われていただろうとおもうからである。

こうしたことの「訓練」が、MTP(Management Training Program)なのである。
わが国の製造業に従事するひとには、「おなじみ」だろう。
戦後、マッカーサー指令にもなって製造業界に導入された、より良い組織にするためのマネジメントについての「訓練」なのである。

しかしながら、残念なことに、就労人口がもっともおおい、サービス業に「ほとんど普及していない」のが、MTPなのである。

だから、今回の悲劇は、MTPをしらないがゆえ、ともいえる。

とうぜんだが、組織マネジメントをするには、組織の活動が、何を目的・目標としているのか?という疑問点が必ず現出する。
だから本件の場合は、「送迎バス業務」としたときの、業務フローがある、ことを前提にしないといけないのだが、それも「甘かった」となるのは、けっして「後出しじゃんけん」ではない。

これが、業務設計であり・サービス設計、ひいては「サービス品質管理」となるからだ。

メーカー業務にたとえたら、「検品業務」が穴だらけで、とうとう決定的な「不良」ができてしまって、それが最悪の「死亡事故」になってしまったと捉えるべきなのである。

そんなわけで、マネジメントからの「点検」だけでなく、防止には「訓練実施」が必要な事態に、国家行政はどうしようというのか?が問われているのに、相変わらずの上から目線で「指導してやる」という態度だから、実務を知らないひとたちがよってたかって現場の邪魔をしに行くようなものだ。

すぐさま、MTPの実施をすべきなのに、である。

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