温泉の化学

「温泉宿の温泉知らず」
むかしからいわれているフレーズである.
現代において,これは「自社商品」にたいする決定的な「理解不足」になるから,経営に致命的なダメージをあたえて不思議ではない.

「温泉宿」や「天然温泉温浴施設」の業界団体が,スポンサーになってその「効果」にたいする「研究を支える」ほどの支援をしているはなしを聞かない.
また,「温泉税」を徴収する「自治体」という「地方政府」も,そのような研究にいかほどの支援をしているのだろうか?

たとえば,少子で生徒募集に窮した昨今の私大を,自治体が「公立大学」に経営変換させて生き残りをはかる事例がみられるが,「コンセプト」に乏しければ,自治体の財政負担が重くなるばかりで,経営変換の目的合理性を失うことは確実だろう.
本来,文科省の役割がどうあるべきかの議論が必要だが,文系ではなく理系重視,という方針からすれば,地方の元私大で理系のなかに,「温泉研究」があっていい.

テーマは,「温泉と健康」がのぞましいから,理系でも医系である.
西洋医学という主流医学は,「温泉療法」をどうみているのか?
ヨーロッパでは,入浴よりも「飲泉」が重要視されているらしいが,日本での伝わりかたはゆるやかな気がする.

温泉がややこしいのは,地下から湧いてくるからだ.
残念ながら,いまこの瞬間に地表にでた「温泉の湯」が,どのような経路でやってきたかを知る方法がない.
だから、基盤として地質学の知見が必要となるだろう.
これはある程度素人でも想像がつく.

たとえば,わたしの住む神奈川県には丹沢山があって,そのふもとには「強アルカリ性」の湯がでる温泉地がある一方,箱根には硫黄分が強い「火山性温泉」がある.丹沢山系を八王子当たりで地図を対象に折り込むと,笹子トンネルを抜けたあたりにある,山梨県の笛吹川沿いにも「強アルカリ性」の温泉郡がつづく.

伊豆半島を代表する,三島の「三嶋大社」は,そのむかし,「伊豆島」が本州と衝突してできた山々をまつっている.さらにそのまえには,「丹沢島」が衝突したというから,あんがい神奈川県の丹沢温泉と笛吹川温泉は兄弟筋にあたるのではないか?
じっさいに入浴すると,その類似性に気がつくし,温泉成分表の中身も似ているようにおもえる.

このブログでも書いたが,「ミネラル」とは,元素のなかから「水素」「酸素」「炭素」「窒素」の四元素を除いたものすべて,にあたる.
「温泉成分表」の「陽イオン」と「陰イオン」の表示から,温泉の効能も導き出すことができるから,中高の「化学」の授業で是非あつかってほしいものだ.

それで,大学では,造山運動と地質を背景にして,温泉成分の知見を健康に応用してもらいたい.
とくに,温泉のミネラルについては個人的にも興味がある.
入浴による皮膚からの吸収,飲泉による経口からの吸収が,どのような作用をするのか?
それが,健康医学的にどういう効果なのか?の実証研究である.

「ミネラル不足」という「現代の栄養失調」につて本ブログで書いたが,「キレる子ども」や「引きこもり」などの原因として,臨床から指摘されてきている.
また,外国の研究では,「認知症」「自閉症」への効果もあるという.

すると,「温泉」をたのしむ,というのは「レジャー」として捉えがちであるが,そうではなく,かなり「湯治」のイメージへとシフトするから,経営にこまった温泉宿などの,あらたな「本業」がみえてくる可能性があるとかんがえる.

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください