石油を求めて何千里

「スタン国」の中央アジアが熱くなってきた。

資源探査技術が進化して、なお、採掘技術も進化したから、かつては誰も見向きもしない「見棄てられた地域」の地位が、急速にあがって注目度が増している。

「SDGs」などと「浮かれた」ことをやっていたヨーロッパが、冬のエネルギー危機を目前にして、こんどはがむしゃらに「炭素」を求めだした。
すなわち、「石油」と「ガス」である。

このひとたちは、ずっとむかしから、「独り占め」する習性があるので、日本人のようにおっとりと「分け与える」という発想はしない。
自分のものは自分のもの、他人のものも自分のもの、なのである。

カスピ海に眠る巨大な資源が発見されて、沿岸諸国の政府は当然に「開発」をして販売利益を得たいと行動している。
しかし、カスピ海自体が「内陸」にあるから、とれた石油やガスをどうやって移送するのか?が問題になる。

まさか、日本のように内陸部の県に、タンクローリーでちまちま運ぶ、ということでは採算にあわない。
なので、やっぱり「パイプライン」という、巨大なホースで液体を送り込むのが効率的だ。

これをどうして山梨県とか、長野県まで引かないのか?はわからない。

もちろん、静岡県も、名古屋港にちかい浜松まではなんとかしているけれども、それ以東の地域にはタンクローリーで運んだり、あるいは地元企業に遠慮してかしらないが、ガソリン価格が相対的に高くなるようにしている。

住民がこれにどんな興味があるのかもわからないのが、また不思議なのである。
地方にいくほど鉄道網やバスなどの公共交通がなくなるのは、人口密度が薄くなることの必然である。

その結果、自家用車がないと買い物にもいけず、生活できない。
なので、密度の濃い都会よりも地方での生活にこそ、燃料は欠かせない。

にもかかわらず製油所がある沿岸部と比較して、どれほど割増料金を負担させられているのか?に興味がないはずはないとおもうのだけど、かんがえるのをやめたのか?

それとも、地域の名士がやっているスタンドでガソリンや軽油を買わないといけない、という「掟」があまりにも強い同調圧力だからなのか?
どちらにせよ、経産省が推測する製油所の廃止が、石油会社の経営権を侵害していることもある。

もちろん、尖閣問題の根底には、このエリアの大陸棚で発見された大油田の採掘をしたいだけでなく、ぜんぶ自分のものにしたい国が隣にあることが原因なのである。

つまり、資源国は、自動的に防衛力を高めないと「奪われる」という状態になるのだ。
このときの「防衛力」には、軍事力だけでない「あらゆること」をいうから、軍事音痴になった日本人は気をつけたい。

そんなわけで、中央アジアも、自動的に「きな臭くなる」のである。

これは、砂漠で見た目なにもなかった中東がずっときな臭くなったのとおなじだし、石油の前の時代に「胡椒」のために東南アジアが奪われたのもおなじなのである。

しかし、これらの「事例」は、「海」でつながっていた。
中央アジアは、「陸」でつながるので、かならず「周辺を巻きこむ」ことになる。

なんだか、ヨーロッパ人が舌なめずりする感じがするのである。

それで、世界最大規模の油田・ガス田がみつかったのは、カスピ海の西岸にある街、バクーである。
国としては、アゼルバイジャンだ。

ここから、パイプラインがあって、トルコまでつながっている。
カスピ海の東岸にある油田からは、タンカーに船積みされてバクー港までやってきて、このパイプランを使うことになっている。

あんがいと日本も頑張っていて、このパイプラインの敷設には、欧米企業だけでなく日本企業も参加しているのである。

今年、EUのフォン・デア・ライエン委員長自らがアゼルバイジャンを訪問して、大統領と契約したのは、従来の倍の石油供給なのである。
今月になって、この契約が履行されている。

それでもまだ「SDGs」の看板をおろさない、じつに「二枚舌」が得意技なのである。
狙いが、「日本潰し」だとはっきりしてきたのは、EV強行による「トヨタ潰し」と似ている。

日本人が「SDGsバッジ」を襟に付けているのをみるにつけ、「あほかいな?」とおもう根拠がここにある。
これも、「役に立つ白痴」の部類なのだ。
本人はぜんぜん自覚していないだろうから、やっぱり「白痴」だ。

もちろん、ヨーロッパは、このパイプラインの「増設」を画策しだしたのも当然の成り行きで、ロシア領内を通さないルートが考慮されていることも当然なのである。

しかして、アゼルバイジャンは、ずっと前の1988年から「カラバフ戦争」を、アルメニアとやっている。
こないだ亡くなった、ゴルバチョフ氏がまだ、ソ連共産党書記長で、調停に失敗してからのことだ。

いわゆる「コーカサス地域」が不安定なのである。

ついこれまで、世界が関心も示さなかった「戦争」だけど、この地域をかすめるように「パイプライン」が通っていて、アルメニア武装勢力は「標的」だと公言している。

ここにもまた、軍産複合体が舌なめずりするタネがある。
けれども、国際石油資本と軍産複合体の利害が対立する。

背に腹はかえられないEUは、先に石油の確保を優先させるだろうけど、世界秩序を破壊したい勢力はどうするのか?が問題なのである。

はるか彼方で、石油を求めても「平和裡に」にはなりそうもない。

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