キッシンジャー氏死去の報に

29日、ヘンリー・キッシンジャー死去のニュースが世界を駆け巡った。
享年100歳。
まずはなんであれ、ご冥福をお祈りいたします。

最初に、わたしには、結局何者だったのか?が不明の御仁であった。

果たして、人類史に名を残したろう人物ではあるが、それはよい意味でか?わるい意味でか?がよく分からないからである。

ハーバード大学で政治学博士を31歳で取得したのは、いまどきのわが国なら「遅い」と評価されそうだが、ユダヤ人ゆえにドイツから亡命し、軍役について後、ハーバード大学に入学したのが、23歳になってからであった。

しかし、その軍役とは、アレン・ダレス(ダレス兄弟の弟)の配下にある諜報部(OSS)の軍曹としてだった。

ちなみに、兄のジョン・フォスター・ダレスは、共和党アイゼンハワー政権の国務長官として有名だが、その前は、民主党トルーマン政権のアチソン国務長官顧問だった。
いわゆる、「両刀遣い」ということだが、いまとなっては、「戦争屋」のエージェントであったとしれるのである。

これを、「典型的共和党員」というのは、後にできる「DS」とおなじで、民主・共和双方にまたがるネオコンのことだ。
なので、この兄弟が、戦後のわが国の「征服」を永久化させた張本人たちともいえる。

そんなわけで、人間の運命的出会いというものは、なにも男女のことだけでなく、むしろ男性社会における男同士の方がよほど社会における影響という点で意味が深い。

それは世界共通で、たとえば、『三国志』における、「桃園の誓い」のようなものだ。

劉備・関羽・張飛の3人が、義兄弟の約束をしたことで、これがわが国のやーさん世界でも取り入れられて、『兄弟仁義』になったのだった。

本家本元の大陸では、「结拜【jiébài】(ジエバイ)」といって、あちらでも闇社会を形成しているし、党もこれを利用している。

そんなわけで、キッシンジャーが「若くして」頭角をあらわすのは、「人脈」というものがあったからではないか?とおもうのである。

博士取得が31歳なのになぜに、若くしてなのか?は、博士になってから早い時期に、「外交問題評議会」へ参加していることでわかる。

この評議会は、超党派だという特徴がある。
しかしながら、上に書いたように、アメリカにおける超党派とは、戦争屋という意味となる。

そして、この外交問題評議会から、歴代の国務長官が指名されるので、一種の「芸能事務所」のような役割をもっている。

あらためて、トランプ政権が「異常」だったのは、外交問題評議会からの閣僚受入をしなかった、稀有な政権だったからである。

それが、徹底的なトランプ攻撃となったのだから、攻撃者たちとは何者か?のお里がしれるのである。

日本における「トランプ嫌い」とは、戦争屋たちが行ったプロパガンダによって、脳を冒されたと表明するような残念なひとたちの自己紹介なのである。

キッシンジャー氏は、さらに、世界経済フォーラムの重鎮だったし、その上位団体、ビルダーバーグ倶楽部の常連でもあった。

つまり、このひとは、常に支配する側にいた人物なのだ。

それゆえに、彼の示す、「外交政策」は、おそろしくも戦略的ではあるが、どこかズレている。
目的がズレているからだ。

ユダヤ・キリスト・イスラムの世界は、その人物が「死ぬまで」という感覚がある。

なので、結婚式における「死がふたりを分かつまで」という、「FROM To(~まで)」、すなわち、終わりのときがある。
これは、結婚相手の一方が亡くなったら、その結婚契約も終了する、という意味なのである。

日本の文化ではそうはいかず、「永久」だから、神社での挙式における、「誓詞」も、永久の夫婦を誓うのである。

この意味で、神話における、イザナギ・イザナミの物語は、日本的ではないという不可思議がある。

そんなわけで、彼の文化では、プライバシー保護という観点にも、「死」によって解放・公開されるということがふつうとなる。

たとえば、20世紀を代表する実存主義の大家、マルチン・ハイデガー教授とその教え子にして不倫相手だった、ハンナ・アーレントとの往復書簡(手紙)が、しっかりと印刷されて本になって販売される。

通信の秘密も、本人が生きていてこそ、なのである。

すると、これから、さまざまなキッシンジャー氏の「評伝」が、いろんな証拠とともに出版されるはずだから、ヘタなことをいってきた専門家たちのメッキが剥がれだすのだろう。

政治学とか国際政治学者のいかがわしさが話題になるけど、もっといかがわしいとわかるのは、人類社会にとってわるいことではない。

その意味で、仏教でなら、100歳まで生かされてきた、キッシンジャー氏は、長く生きすぎた感がある。

合掌。

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