鼻をきかせる店選び

旅をすると、必然的に初めての土地で飲食をすることになる。

電車での移動だと、その街の情報を得る方法はあんがいと限られると思いきや、自家用車の移動だと、もっと限られる。

そこで、「鼻をきかせる」ことが大切で、ハリウッド映画風にいえば、「本能に従え!」ということになる。

ネットがない時代の旅でも、もっとも信用ならなかったのは、「観光協会」の窓口であった。
こういった組織が、まだあることに驚きを禁じ得ないのは、なんだか「交通安全協会」がまだあるのと似ている。

地元タクシーに乗って、運転手さんから情報を得るというのは、今でも常套手段だろう。
この意味で、タクシーの運転手さんは、「情報産業」の一員である。

なので、イマイチな情報だと、タクシー会社のブランドが傷ついていることを、タクシー会社はどこまで気がついているのか?が問われるのである。

「売上 = 単価 ✖️ 数量」 という、全産業にとって絶対的な公式をどのように因数分解するかが、経営センスを決めるのである。

いったん規制緩和されたのを、再び国家介入を求めたような業界だから、残念だがお里がしれることになってしまった。

国交省のなんの経営センスもない役人に、単価を認可してもらうことになったし、運転手の数(自動車の台数)すら、国交省の役人が決めるのは、もうほとんど自助努力の分野がどこだかわからない、という縛りとなって、そこでの競争だけが熾烈になっている。

これに個人タクシーが絡んでくるので、企業組織対個人経営という構図もある。

企業組織対個人経営で、企業組織が圧勝したのは、コンビニエンスストアという分野だ。
このあたりを、タクシー会社はどのように自社をコンビニ化しようとしているのか?

酒類の販売許可という規制があったのは、食糧管理法で米屋が町内に必ず一軒あったのと同じであった。

いまもある米屋は、顧客の好みに合わせたブレンドの技をもって、それを顧客カードに登録する方法も採用した。
そこで、「賢い主婦」は、スーパーで袋詰めされた単一のブランド米を買うよりも選択の範囲を広げている。

「安く買う」ことだけが、「賢い」ということではないけれど、「専業主婦」が家計の贅沢さをあらわすことになった。

町内の酒屋が絶滅危惧種になったのは、コンビニで酒類販売ができるようになったことだった。

『サザエさん』の脇役、三河屋さんの「御用聞き」自体が、いまや死語となって、通用口がある家もなくなった。
ケースで買うのが当然だった、晩酌用のビールを配達してくれて、人寄せのときには追加注文に素早く応じてくれた酒屋さんも、ほとんどいない。

そんなわけで、しらない街の飲食店情報を、街の酒屋で聞き出すことが、いまでは困難になったのである。

税理士がひとり生活するには、30社ほどの顧問先がないといけないのと同様に、街の酒屋さんも、個人宅だけでなくて、街の飲食店の配達先をもっていないと生活できないのだ。
それで、必然的に、注文の、「単価」と「数量」で、店舗ごとの営業状況を熟知することになっていた。

だから、圧倒的な確率で、街の酒屋さんから聞き出した情報に狂いはなかったのである。

ネットがある、いま、いわゆる飲食店の紹介サイトをどう使うのか?をかんがえると、わたしの場合は、ほとんど参考にしていないというのが、結論であ

いわゆる、評価点数と投稿コメントの二つが決定要素なのだろうけど、この二つがぜんぜん信用ならないのは、観光協会と同じなのである。

そこで、なにも「Googleマップ」を宣伝するつもりは毛頭ないが、この企業が仕掛けている、利用者のマップによる「検索ログ」を取ろうとして、マップ上の情報を詳細化する努力をしりながらも、しらない街の飲食店を探すのに使っている。

いまいるホテルの部屋からでも、地図検索すれば、その街の飲食店分布具合が俯瞰できる。

そこで、捻くれ者のわたしは、まず、「場末」を確認するのである。
それからおもむろに、中心部の混み具合をピンチ拡大しながら、物色する。

よくしる地元で、これをやって、コツをつかむと、しらない街でもちゃんと使えるのである。
だいたいこんな方法で選んでいるが、ハズレに当たらないのは、しらない街だから、他店と比較ができないということもある。

もちろん、わたしはそんな成功体験をグルメサイトにあげる気はまったくないので、ひそかにGoogleマップのポイント登録をするだけで、自分だけの「覚え」としている。

それを、こっそりとGoogleマップ側は見ているのだとしりつつも、なのである。

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