醤油を買いに大口へ行く

横浜市はいわずとしれたわが国最大の自治体(370万人)だが、中身はかなり薄く、基本的には東京のベッドタウンに成り下がった。

ただそうはいっても、わずか数軒やらのひなびた漁村から、まさかの国際貿易港に成り上がったのだから、歴史もなければなにもないという実情が悔しくて、どうしても東京へのライバル意識が高いという、東京からしたら片思いが転じて勝手にストーカーになった迷惑もあるだろう。

国家総合職が課長級でやってくる、神奈川県警本部長とは別に、ローカルな職員たちは、警視庁への対抗意識が高すぎて、これをまた、恥知らずの知事が真似ているから始末が悪い。
いまの東京都知事に見倣うべき点は、ひとつもないが、PSYCHO-PASSの都知事がどうみているのかは、常人にははかりしれない。

結局こんな連中や自治体とかに任せるのはムダで、自力で智恵を絞って頑張るのが必須なのは、どこに住んでも同じなのである。

そうやってみたら、これだけの人口がいて、市内でちゃんと醸造している醤油屋が一軒しかないことに気がついた。
そのものズバリ、「横浜醤油」という。

ちなみに、神奈川県で調べても醤油屋は造り酒屋より少ない、絶滅危惧種なのである。

なんでこうなったのか?
筆頭の理由が、宅地化で、少量をつくるのでは「割に合わない」という問題である。
いわゆる、大メーカーが、わずか3ヶ月で出荷するのに、ちゃんと発酵させた醤油なら2年や3年はかかる。

日本人が手軽に醤油を食卓において、ふつうに食生活ができるのは、大メーカーさんの提供する、発酵学の成果たる「速成醸造技術」のおかげであるから、いまさら文句をいってもはじまらない。

はたして、大メーカーの醤油が、1Lで数百円程度なのは、どんな「原価」なのか気になるところだが、それで製造できるとは、一体どんな作り方をしているのだろう?

あれもこれも、混ぜているにちがいない。
見た目だけでわかりやすいのは、速成醸造だと「色」がでないから、カラメルを添加して「醤油色」にしているとか、その他もろもろである。

なので、こういった醤油を長期保存すると、カラメルが変性してドロドロになって、苦くなって食べられたものじゃない状態になるのである。

しかし、日本酒とちがって、醤油は「飲み物」ではないから、その品質のちがいについて、消費者はもっと敏感であっていいはずだ。

これは、「食品化学」という、「家政」の分野になるのだろう。

男女の役割を否定するのが、いまのトレンドのようだけど、人間生活の最小単位たる、「家庭=家族」を破壊する必要の意味は、ジャン・ジャック・ルソーがいうところの、「アトム化=個化」を目指せば、ついに「全体主義」が完成するからである。

この意味で、トランスジェンダーに憧れさせるような教育は、全体主義の具現化だし、これに乗らされてしまうひとたちは、全体主義に協力するはめにあっている気の毒がある。
ソ連・スターリン時代に強制をもってやろうとして大失敗したのは、ロシア人が徹底的に抵抗したからであった。

これを、「北風と太陽」の話によって、いまは「暖かく迎える欺瞞」で、人々から警戒心を奪っているのは、なかなかにかんがえられた方法なのである。

それはそれとして、男子高校生も、「家政」のなかにおける、「食品化学」は、その一生の健康維持のためにも、学んでおいていい。
これを、「保健体育」にするかどうかをいいだすのはどうでもよく、どうしても「食品表示法」との関連を学ぶ必要があるから、「家政」の分野だといいたいのである。

さて、無添加を謳う「横浜醤油」の表示には、アルコールの記載がみえる。
これは、発酵が進みすぎないようにするためで、一パックに数滴を充填の最後に加えるという。

自家製の味噌キットを買ってきて、一回の仕込みで10㎏を作っていた時期があったけど、やっぱり最後にラップをする前、焼酎をキャップ一杯分だけ回しがけするように書いてあったのは、カビ防止であったことを思い出した。

醤油も、大豆を主原料とするので、じつは一歩まちがうと「納豆」になってしまう。
納豆菌の活性には、高温がいるために、醤油造りでは発酵温度を低温維持に管理しないといけない。

自然発酵だけにたよると、3年かかる醤油づくりは、仕込みでつかう原材料代の投資回収に3年以上かかるという、えらく投入資金の回収に時間を要する商売なので、金融の知識も要するのである。

500円で入浴できる横浜の銭湯が、2月から30円値上げされて、再び日本一高額な銭湯になるけれど、いま520円の東京の銭湯のサービス品質に追いつかないのは、地域の金融機関の経営力が弱いからだと前に書いた。

どうやら、横浜市から醤油屋が消えたのは、これが最大の理由だろう。

かんたんにいえば、横浜銀行のことである。
歴代頭取が、大蔵省からやってきていたけれど、かつて世界に名を轟かせた、「横浜正金銀行」(本店は「神奈川県立歴史博物館」になっている)とは、縁もゆかりもない銀行である。

醤油ファンドとか、仕込み時にできあがりを全部予約販売してしまうなど、の仕組みを提供したらどうなるのだろうか?

安定した収入のサラリーマンでいたいという子供たちなので、自分の代で終わるという、社長の言葉を聞きながら、まともな醤油を口にできなくなることの恐怖すら感じたのである。

はたして、こういう社会的に重要な事業を維持・拡大するための方策が金融機関から提供されないで、マンション開発の不動産屋を連れてくる銀行とは何者か?

それもこれも、金融庁なる余計な存在が、経済の血液たるおカネの動きを見事に邪魔しているからである。

日本経済の衰退は、日本政府が原因なのだとなぜに日本人は気づかないのか?

劣化して苦くなり喰えなくなったのはこんなことだと、醤油に教わった。

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