アメリカ民主党が、3タテ(大統領・連邦上院・連邦下院全部を共和党に奪われた)のショックから、「敗因分析」が活発にされていて、意外にも左派メディアがこれにまともなオピニオンを発している。
かんたんにいえば、二派に分かれている。
・急進左派勢力の強力な連帯と推進をもっとすべきだった
・党内急進左派勢力の排除をもっとすべきだった
まさに、分裂である。
トランプ氏に合流した、RFK.Jrも、トゥルシー・ギャバードも、急進左派勢力から追い出されたので、後者の「敗因」に同意するだろう。
もちろん、トランプ氏自身も、イーロン・マスクも、かつては民主党員だったのだから、じつはトランプ政権2.0とは、「穏健派民主党政権」といえるのである。
もっといえば、軍産複合体に支配された共和党主流派(ブッシュ家・チェイニー家が中心)に対して、外部から共和党に侵入し内部から乗っ取ってしまったのが、いまの「トランプ派」なのだ。
だから、いつの間にかに「主流派」が「RINO:Republican In Name Only」といういい方に変化したのも、この乗っ取りが功を奏してからである。
そうやって、金持ちや富豪のための党だったものを、「民主(党)化」して、とうとう庶民派に転換させてしまった。
これが、ビジネスマンたる、トランプ氏の真骨頂なのである。
議席をいかに確保するのか?という「政治屋」の共通認識は、どちら様もおなじだろうが、議員の意向はさておき、有権者の意向によって選挙の勝敗が左右されるのは、アメリカのような「肉食の思想」をもった国民からしたら当然のことである。
今回のトランプ派の勝利に震え上がったのは、前に書いた「郡レベル」における結果が、次回の選挙における自身の危うさを示唆するからであろう。
これは、連邦下院が2年毎だけでなく、6年に一回やってくる連邦上院議員ほどヤバさを感じていることだろうし、日本ではぜんぜん報道されない首長や地方議会のことである。
つまり、トランプ派が全米各地の州レベルどころかその下のローカル首長・議会の過半を握ったからで、国会議員を支える基礎的地盤が文字どおり「地滑り」をおこしたのである。
これがどれほどの「事件」かを、日本のメディアは一切伝えず、ただトランプ氏が大統領職だけの選挙で圧勝したというのみの「浅い報道」をしているのである。
とあるテレビ局の記者が、「『マスゴミ』というのは自分らへの差別だ」といったのは、なにをかいわんであって、まったくトンチンカンな話なのだ。
今後の「強気」な政権運営は、トランプ政権1.0での暴君的な状態よりも、もっと強力になるのは、こうした「町」や「村」レベルでの圧勝を背景にした「強気」だということも、同盟国民である日本人に伝えないのは、メディアとしては自殺したも同然で機能していないと断言できる。
もちろん、トランプ政権1.0の「乱暴さ」の背景には、軍産複合体=RINOとの壮絶な戦いがあったことによる。
そんなわけで、民主党内の「良識派」の立場は、いま、歴史的にゆらいでいる。
急進左派=トロツキー派=国際共産主義革命派が、立場を曲げることは一切ないから、上記の前者に徹するしかなく、これらの歴史的排除に失敗したら、行き場をなくすのである。
けれども、トランプ派こそが、軍産複合体と戦う「民主党良識派」にちがいないから、これに気づくように仕向けることも水面下では活発化しているはずである。
すると、連邦上院と下院の勢力は、たんに政党所属の議員数では測れない。
13日に、共和党上院は、院内総務=上院リーダー(事実上の「議長」)を決める選挙をするとのことではあるが、RINOの逆襲が想定されている。
また、過半をおさえたといえども「議事妨害制度:フィルバスター」を阻止するための必要議席数(日本的に「安定多数」)の60議席には到底及ばない。
しかし、民主党から良識派が合流するとどうなるのか?という局面で、上院が事実上トランプ派=あたらしい民主党になる、アッと驚くどんでん返しもあり得るのである。
そうなると、世界の政治史における事件となるのはまちがいない。
上院でそういう事態になれば、下院も連動するからだ。
トランプ政権2.0が、超強力になるのはむしろこれからで、それが少なくとも向こう12年は続くと予想できる。
トランプ氏の引退後、J.D.ヴァンスが引き継ぐからである。