いまさらの人的損害数の「わからん」

「X」での議論が盛んなのは、ウクライナとロシアの双方における人的損害数がわからないことによる、どっちが優勢なのか?論のことである。

24日、Wedge ONLINEの原田泰氏の記事『なぜ、ロシアは戦争を続けられるのか?経済統計データを読み解き見える実情』も、なかなかに興味深いのである。

原田氏といえば、かつて経済企画庁で『経済白書』を執筆していた官庁エコノミストの中でも「文豪」と異名を得たほどの出版物が多数の人物で、その役人らしからぬ筆致には定評があったことをずいぶん前に書いた。

しかし、残念なことに2015年から日銀の政策委員会審議委員になって、従来から日銀批判をしていた岩田規久男副総裁とコンビを組み、黒田総裁を支える役を担ったあたりから説が曲がる。

これはこれで、伏魔殿としての日銀という、恐ろしい組織で何があったのか?興味深いが、ここでは深追いしない。

上の、24日の記事も、公式発表の数字からの論説だから、本文でご本人も「データ正しければ」とするのは、その通りなのである。
しかし、ここでいうデータでの、ウクライナとの比較における前提が不可思議で、現状で負けているはずのウクライナよりもロシア側の損害が多いのはいかにも不自然である。

「公式発表」をもってすれば、「X」における論争も似たことになっていて、やっぱり基礎数字への疑問があるために不毛な論争になってしまうのである。

ようは、ウクライナが過小評価であると考えられるのは、ネット映像にある強制徴兵の実態が、ほとんど拉致・逮捕のように見えるからである。
つまり、そこまでしてでも兵員の補充をしないではいられない状況なのだ。

ところが、ろくに訓練もしないで一般人を前戦に送り込むのだから、勝ち負け以前にただの消耗戦になる。
なんだか日露戦争の「203高地」での肉弾戦のようなことを現代でやっているのだ。

そこで、トランプ大統領いう、「60万人の損害(戦死者)」という数字に説得力がある。
なお、通常、この4倍程度が負傷者数だと言われるから、ウクライナ側はすでに300万人もの人的損害を抱えていると考えられるのである。
第二次大戦での日本の損害に匹敵するから、人口比でいえば膨大な数になる。

しかし、これを認めたくない人が多数いるために激しい論争になっているのだ。

そこには、ウクライナ人の最後の一人まで戦え、というあのボリス・ジョンソンの声が聞こえてくる。
勇ましく鼓舞した、というよりも、英国人の利益のためにウクライナ人が地上から絶えても構わないという本気とも発狂したともとれる発想なのである。

この原点に、スラブ=slaveという見下しがあるのだろう。

もちろん私が見ている「X」は、日本語空間なのである。
だから、ウクライナの損害よりもロシアの方が多いという主張も、日本人が語っているものだ。

ここに正義はウクライナにあるから、という勧善懲悪の気分が見て取れるのはなにもわたしだけではあるまい。

ずいぶん前に「罪な水戸黄門」と題して書いたが、あの今や伝説の時代劇ドラマが、いまや反日むき出しの「TBS」の制作だったと思えば、いまさらに日本人への洗脳具合の完全さもしれるのである。

ときに、ロシアがそんなに損害もなく、ウクラウナの負けが込んだらとっくにキエフまで占領されているはずだ、という論には笑いも凍る。

戦線拡大がNATOの介入=第三次世界大戦を招きかねないから、ロシアが東部4州の境川にあたるドニエプル川までとしていることの戦略的意味すらわからず、当初に首都を包囲して解除した理由も、その撤退時にブチャの悲劇という偽旗事件まであったのもわからずに投稿することの無知を嗤えないからである。

こうしたことが書けるのは、情報の欠如ばかりでなく、マスコミの洗脳から来るもので、そのまま自問も抵抗もなく発想をする人物たちが、最も危険な言動をすることになんら躊躇しない姿だからである。

玉石混交ではあるが、こうした自由言論空間あってこそのことではある。

首相に従わないのは英陸軍の反乱?

23日、英陸軍はスターマー首相が掲げる「有志連合」から、ウクライナに平和維持軍を派遣・駐留させるとの発言に、「性急なものだ」とし、「政治劇」と表したと英紙テレグラフが伝えた。

当然だが、ロシアはNATO加盟国軍のウクライナへの駐留は受け入れられないと表明している。

とにかく、トランプとプーチンの二人で進める停戦・和平にまぜてもらえず出番がないNATO=EUの焦りは半端ないことだけはわかる。
これら「肉食の思想」をもった獰猛な者どもが仕掛けた戦争に、まさか親分のアメリカ・バイデン政権がトランプ政権2.0に変わっただけでこのザマなのである。

貪欲すぎてノータリンなこれらの指導者たちは、アメリカの大統領選挙での結果についての「プランB」すら用意できずにいたのだ。

いやむしろ、得意の大規模不正選挙の実行で、二匹目のバイデン=カマラ・ハリスの勝利しか想定しない強気だったのか?
それにしても、一切の「保険」をかけないのは、絶対悪の驕り高ぶる悪い癖なのである。

それゆえに、悪魔崇拝などということまでいわれるのである。

ときに、わが国の石破政権並みに支持率が低く、作年夏に発足したばかりなのに大規模デモにさらされている元検事総長のスターマー首相として、自国軍の異論表明は明らかに「反乱」に見えるだろう。

超複雑な韓国の事情とも異なる事態になっている。

だが、その英国軍の規模は、「核」はあっても基本的には国防軍のレベルだから、他国に駐留する余裕はない。
それに、工業が絶望的に衰退したので、ご自慢の潜水艦発射「トライデント・ミサイル」だって国内生産できずアメリカのロッキード・マーティンに委託生産している有様なのである。

これは「戦後ドイツ」も敗戦国として日本と同様またはそれ以下で、ヒトラーが設立したフォルクスワーゲンやら、ベンツに、先祖帰りの軍需産業化をいまさら命じて大規模予算をつけたところで、工場から建てないといけない状態なのだし、今からどんな兵器を作れというのか?

何年先のことになるかわからない状態に、いまのウクライナに対応させるとは、子供でもわかるイカれた白日夢でしかないのである。

メルケル政権で、国防相をやったフォン・ディア・ライエンの無能は、母国での実情すら理解不能なのだとバレて呆れるばかりなのである。
それでも戦争継続を望むのは、利権に固執するだけの邪悪さにまみれているからなので、とうとう人相まで魔女化した。

そんな堕落したヨーロッパの実情を無視して、毎日のようにウクライナ支援を言い続けるわが国政府の無能を止めるのが、残念ながらアメリカ頼みになっているけれど、『ロンドン・ガゼット(英国の「官報」)』にある、明治天皇(その後、大正天皇も)が「英国陸軍元帥」に任ぜられていたことから、ひょっとして今もわが国の天皇はその地位にあるのかもしれない。

世界のプロトコール序列では、最古の王朝としての日本国天皇がトップではあるが、海賊掠奪国家の大英帝国のステルス植民地にされたので、あたかも英王室と対等の仲良しを装って、実は「臣下」に甘んじて150年が経っている。

すると、わが国政府は、英国陸軍元帥たる今上陛下の意向に反しているのではないか?というのも、あながち夢想ではない。

まったく変な話にみえるだろうが、上に書いたように、英国の「官報」にあたる、「ロンドン・ガゼット」にちゃんと記載されていることが「X」には複数の「証拠付き」でアップされているのである。

日本の近代史は国内の日本語の資料だけでは重大なことを見逃すし、また気づかないように国民への統一教育が強制されている。

売国政党、維新の高校無償化政策による、私立への適用は、私立の独自教育をやめさせ、公立同様に文科省=日教組の完全支配にさせ、子供時代からの奴隷化教育を全国一律とするためのものである。

トランプ政権2.0が、あらゆる方面から、ジャパン・ラストとしてわが国政府に要求することが、見た目の英国陸軍への施策にも絡めてやってくることは間違いない。
なお、念のため、トランプ政権2.0は、国民と政府を分けて思考する「啓蒙主義」の発想を引き継いでいるから「革命政権」なのである。

いま、アメリカで親トランプ派が驚愕し大反発しているのが、英国国王の傘下すなわち、英国から独立したはずのアメリカが、「英連邦に加盟する(かも)」との発言がある。

それというのも、「カナダの州併合」とも関係しての、巨大な仕掛けだと思われるけれども、日本の英国からの独立・救済がアメリカの国益だとすれば、もうそれは「はじまっている」とかんがえるべきなのである。

欧州化した日本の暗い未来

2月23日のドイツの総選挙についてはすでに書いた。

一月が経過したがまだ組閣できず、おそらく、今後の新政権発足にあたって、フランスの内閣崩壊と似た、「左派連合」のパターンが繰り返されることだろう。
つまり、二大政党のCDU(今回選挙での第一党)と、三位に転落したSPD(ショルツ首相の現政権党)の、あたかも「自社連立による村山富市内閣」のごとくの大野合をするにちがいない。

これに、いま外務大臣枠の環境ファッショ「緑の党」が加わって、現職が留任する可能性が高い。

ならば、そもそも今回の総選挙があったのは、ショルツ首相の政権党に対する「信任(日本だと「不信任決議」)」が否決されたことによる。
それなのに、連立与党として実質的に政権に残る、というのは、選挙とはなにか?ということの大問題がヨーロッパで根を張るほどになったことを意味する。

これは、ヨーロッパとはいえない、ジョージア(旧「グルジア」)の大統領選挙で未遂に終わった現象であったので、かろうじてジョージアは耐えたけれども、ヨーロッパの問題はアメリカのトランプ政権2.0が指摘するまでもなく深刻である。

それが、気の毒なルーマニアで起きているし、ギリシャ、セルビアなどでも大規模なデモが発生している。

ルーマニアは「Romania」と書くので、素直に読めば「ローマニア」であって、あのローマ帝国の最外縁部にあったために、いまでも「ローマ字のアルファベット」が使われている。

南接するブルガリア発祥のわれわれには読めない「キリル文字」ではない。

気に入らない候補者を排除するという、悪手、をやっても立候補させない、のは、都合のよい人物が勝てない見込みであることの証拠であるのは、子供でもわかることだ。
それでもやるのは、JDヴァンス副大統領がミュンヘンで演説した「説教」への、為政者たちの巨大な反発であるのだろう。

人気のないマクロンが「同盟国の参謀総長」を一堂に会する会議を開き、なんだか息を荒げているようにみえる。
このなかに、わが国も含まれることが、日本における「反戦派」も刺激するが、そんなことにもうかまわない「自・公・立憲」政権がある。

しかし、何をしたいのか?がわからないのである。

エネルギーが自給できないヨーロッパは、ロシアからの天然ガスが途絶えたら生きていけないために、ウクライナへの支援をしながら、それよりも多くの金額に相当するガスをロシアからいまでも買っているし、今年はその量を増やすと決めた。

わが国は、シベリアからの石油が途絶えたので、中東依存度が95%を超えることとなって、シーレーン防衛の重要さが増している。
それゆえの「親中(共)」なのだという説明をしない。

だから、アラスカ産の石油開発に投資をトランプ大統領から要請されたのは、戦略的にはもっけの幸いだが、どうやら財界の腰の入り方が緩い。

これは、トランプ政権2.0が4年で終わって、ふたたび民主党政権になったらちゃぶ台返しを喰らうことに嫌忌しているからというが、本当なのか?
むかし、イランのコンビナート建設に躍起となって、イライラ戦争で空爆を喰らったのは、アメリカがイランと断交状態であっても「生命線だ」と無視したからだった。

アラスカやシベリア、あるいはサハリンのエネルギー資源は「生命線」ではないのか?

こうした問題への対処ができなくっている背景に、わが国の「ソ連化」があるのだが、ヨーロッパの「ソ連化」もすさまじい。

つまり、アメリカを排除した日・欧の同盟状態とは、「ソ連化同盟」なのである。

しかして、ひと世代以上も前の「ソ連崩壊」について、なぜ起きたのか?についての知識を子供に教えないことと赤い教師たちによって、「赤化洗脳」された子供たちを多数輩出している。

これに、文科省も加担しているのは、官僚が赤化した高等教育を受けているからである。

ソ連崩壊のプロセスを、ソ連崩壊の10年前に解説した、小室直樹の『ソビエト帝国の崩壊』は必読だし、『ソビエト帝国の分割』こそはいまのウクライナ戦争を仕掛けた英国とEU、そして実行部隊だったオバマ・バイデン政権のヴィクトリア・ヌーランドらが描いた真意の解説となっている。

グローバル全体主義を敵認定しているトランプ政権2.0は、いよいよ世界経済フォーラムをテロ組織指定するのではないか?と外野が騒ぎ出している。
もしも、実施されたら、わが国の有名・有力政治家の一部は「テロ活動家」として、トランプ政権2.0から認定されることとなる。

いわゆる、「グローバル・エリート」にこの組織から指名・推奨されている人物たちがいるからだ。
たとえば、河野某とか、高市某で石破某もそうだったし、科学者の小泉某と政治家の小泉某もいるのは、仕切っているのが竹中某名誉教授であるからだ。

国家運営者(支配するもの)と国民(奴隷)の分断は、発展という概念の真逆にある。

わが国におけるモラル崩壊も、そのための「わざと」なのである。
いまや、行政官たる検察が「不起訴の理由」さえ、説明しなくなったのもその「わざと」であるけれど、国会で追求するものも少数派になった。

まもなく、わが国も犯罪天国になっていくのは、そうさせる政権だからである。

英国では、一切の裁判で女性暴行犯の無罪が「判例」となって、絶望の一般人が政府批判をネットですれば、自宅まで警官がやってきて逮捕される現実がやってきた。

アップル社への英国政府のセキュリティ対策解除命令に、トランプ政権2.0を背景にアップル社は提訴した。
これが他人事ではないのは、世界のアップルユーザーの個人情報が、英国政府に筒抜けになる可能性もあるからだ。

なんと、英・米は、言論の自由をめぐる闘いになっている。

もちろん、わが国政府は英国側の立場にあることを、スマホユーザーの国民はしらないといけないが、驚くほどの無関心があるのだ。

コンゴ大統領のヘルプ要請

19日、コンゴ民主共和国のフェリックス・アントワーヌ・チセケディ・チロンボ大統領が正式にトランプ大統領に対して自国内の兆円単位になる資源開発を見返りに大規模支援を要請したことが話題になっている。

西アフリカのこの国に馴染みのある日本人は少ないだろう。
なにせ、「コンゴ」と名乗る国が複数あるのもしらない。

そのために、マイケル・クライトンの小説『失われた黄金都市』(1980年)を原作としたアドベンチャー映画『コンゴ』(1995年)を観たひとの方が多いだろう。

わたしもこの映画を観たひとりだが、現地の未開度が『ターザン』よりも酷かった印象だけが残った。
似たような話に、『ジャングル・ブック』とか、『狼少年ケン』があった。

とにかく、ジャングルとサバンナが混じった場所がアフリカなのだ、という印象が擦り込まれたものである。

架空ではあるがターザンは、一応英国貴族の血を引くひとだという前提で、おそらく舞台はタンザニアあたりかとおもわれる。

とにかく、広大なアフリカ大陸は「アフリカ分割会議(「ベルリン会議」ともいう)」で、ヨーロッパ列強の餌食になって今に至る。
だから、上に挙げた作品は、どれも「分割前後」の時代設定であるから、どうしてもヨーロッパ目線になっている。

フランスがいまも「文化大国フランス」でいられるのは、アフリカ利権のおかげであるし、北に隣接するヨーロッパ=EUの首都ブリュッセルがあるベルギーもおなじだ。
だいたい、チョコレートで有名な国は、ココアの収奪をしてきた苦い歴史がある。

しかし、フランスやEUで昨今の衰退が著しいのは、そのアフリカ利権が揺らいでいることにおおきな原因がある。
大航海時代以降のヨーロッパの豊かさとは、アフリカからの収奪によってであるためで、アフリカの貧困はヨーロッパに奪われたためだともいえる。

英国の衰退がこれらよりももっと酷いのは、もっと酷いことを七つの海でやってきたことのブーメランなのである。
この英国を支配する暗黒の者たちの正体を、短期内閣で潰えたトラス女史が、イングランド銀行総裁だった現カナダ首相の悪事を引き合いにして語っている。

「暗黒大陸」とは、じつは英国も含めたヨーロッパのことなのである。

これを破るべく立ち上がった典型が、ブルキナファソの若き大統領が推進している「脱フランス支配」政策で、分かりやすい排除の対象が「CFA(セーファー)フラン」なのである。

また、すでにロシアはアフリカで40カ国以上と軍事協定を結んでおり、マリなどには「ワグネル部隊」が駐留している。
これが、フランスやヨーロッパの利権を脅かすので、マクロンやらフォン・デア・ライエンが反ロシアであるばかりでなく、対抗するル・ペンも対ロシアでは微妙な立場なのである。

本音でのアフリカ利権確保というむき出しの欲望を隠すのが、彼らのつくった美談としてのウクライナ支援なのであって、お人好しを通り越した日本が支援させられているのは、まったく「日露戦争」のような構図なのである。

こうした中、当然ながらコンゴも旧ベルギー領であり、「ベルギーフラン」と同価値とされた「コンゴフラン」をいまでも使っている。

今回の申し入れは、ウクライナの資源開発と、ガザの不動産開発とをみた世界の反応のひとつとして注目すべきできごとである。
ビジネスの世界での成功の鉄則とは、「信義を守ること」であるが、それこそがトランプ氏の実行力の源泉だと、広く認知されていることの証拠となるからだ。

コンゴにある資源開発とは、なにも掘りだすことだけでなく、運搬手段や労働者の住宅開発も、港湾や空港の整備といったインフラ整備を要する大プロジェクトである。
このパターンの一連の成功事例は、「ドバイ」にあるし、それを意識したのがトランプ氏の「ガザ提案」であった。

なんと、なかなかまとまらないことで有名な「アラブ連盟(21カ国+1機構)」が、すでにトランプ案の修正案たる「エジプト案」を可決したし、アラブ連盟よりも加盟国がおおい「イスラム協力機構(57カ国)」もこの「エジプト案」の支持を表明している。

ようは、トランプ案の、ガザ住民はガザに帰れない、を「帰れる」に修正した案の有効性が強調されてはいるが、強引さだけが目立った「原案」をぶち上げたトランプ大統領からしたら、修正を前提としていただろうから、「我が意を得たり」に相違ないのである。

かつてのアラブの盟主たるエジプトをイスラム世界で漢にして手柄をもたせるためだけでなく、バブ・アル・マンデブ海峡を封鎖してスエズ運河収入が途絶え苦しむエジプトの救済に、イエメンのフーシ派を空爆させたことの一石三鳥も四鳥もあるトランプ政権2.0の効率的な「ディール」のスケジュール管理が光るのである。

これで、イスラエルばかりかサウジにもイランにも、はたまたロシアや中共も唸る、「アブラハム合意2.0=中東和平」の素地をつくったのは、まさに神業のようにみえるからである。

コンゴの要請は、こうした「実績」をみてのものなのである。

これを実務(ビジネス)目線で解説しているのが、石田和靖氏だ。
ドバイの開発は、エマールプロパティーズ(Emmaar Properties)という中東最大のデベロッパーによるものである。

ただの砂漠を、都市開発ゲーム『シムシティ』のごとくに、いまのような大都市に変えた。

また実は、エジプト政府は一極集中の限界を超えた首都カイロの郊外移転を始めており、その顧問にこのエマールプロパティーズと契約している。
したがって、ガザに関するエジプト案にエマールプロパティーズの影響があるとかんがえられる。

ここに、トランプ氏の不動産会社(トランプ・オーガナイゼーション:The Trump Organization)も関係する可能性があるし、同業者としてのトランプ大統領がこの企業をしらないはずはないのだ。

おそらく、「ウクライナ復興プロジェクト」が動きだせば、トランプ氏は大統領令を出した「アメリカ政府ソブリンファンド」の第一号案件とする可能性があるし、儲かる、となれば、アメリカ国民にも小口投資参加を促すであろう。

みんなで豊かになろう!という公約の実行なのである。
これには、ウォール街も巻き込んで、世界で「販売」する投資ファンドになるかもしれない。
するとまたまた、日本は、よくて下請けか孫請けということになって、将棋でいえば「雪隠詰め」に追い込まれているのである。

このように、コンゴの要請は、単なる希望の表明ではなくて、かなり実務を見込んでいる。

もちろん、ヨーロッパからの距離を置くアメリカの政治的立ち位置も確保されることを見込んでいるだろう。
これもまた、実行、となればトランプ政権2.0によるおなじパターンでの「参加」という、おこぼれをもらうのが日本なのであろう。

それでも、ないよりはまし、ということか?

こんどは、砂漠ではなくて緑の地獄たるジャングル開発なのであるけれど、そこにはしたたかで高度な戦略がコンゴにも、アメリカにもあるのだった。

ケネディ・ファイルの公開

18日、トランプ大統領は、公約通り、ケネディ大統領暗殺の機密文書を国立公文書館のHPで公開した。

全部で8万ページあるというが、第一弾として6万3千ページほどだったようだ。

これを読破するのは大変なことで、おいそれと一般人がうんぬんできないボリュームである。
「専門家」といわれているひとたちは、一応に「新事実はない」との評価だそうだが、もう全部に目を通したはずはないから、なにを根拠にしているのか?は例によってわからない。

もちろん専門家ではない一般人には、これまで機密解除されたものとの比較すら困難だし、「のり弁状態」の過去に公開された資料と、今回の「のりがすくない」資料でも、どこが隠されていてそれがどんな価値なのか?をしることも容易ではない。

それで、上のような見極めをしている専門家も、今回の公開に一様に前向きなのは、否定しても意味がないし、もしも重要な未公開資料があったら恥をかくことになるからだろう。

それにしても「新事実はない」ということだって、専門家がしっている「事実」と、世情のいう「陰謀論」とのちがいこそ紙一重ではないか?

そもそも、「陰謀論:conspiracy theory」だって、いまではケネディ大統領暗殺事件後に「CIAが造語した」ものだとしられている。
ようは、今回発表された資料のほとんどがそのCIAのものだということで、この組織のマッチ・ポンプが疑われるのである。

専門家の間では周知の「一般情報」だとしても、一般人が驚いたのは、暗殺の黒幕に当時無名だった、ジョージ・ハーバート・ウォーカー・ブッシュ(父ブッシュ)が関与していて、事件後にこの人物はCIA長官に就任したという事実だ。

さらにバックに、イスラエルの影がある。

ブッシュ家といえば、戦争屋=ネオコンでしられる。
所属する政党は共和党であって、当時は「主流派」といわれていたけど、トランプ氏の出現から、彼らが民主党と同類だということでの「RINO」と呼ばれるようになる。

昨今、生存している大統領経験者たちだからではなくて、同類だからという意味での、ブッシュ親子、クリントン夫妻、オバマ夫妻という家族づきあいの深さも話題になっているし、もうその仲良し度合いを隠すこともしないのである。

トランプ政権1.0で、「名国務長官」の異名を取ったマイク・ポンペオ氏が、二期目選挙の敗北後に正体を露わにして、まさかのネオコン一派だったことを自白した。
それもこれも、自身の大統領選出馬に絡んでのことだったから、支持者を驚かせた。
しかし、あろうことかトランプ氏の後継者という詐欺的野望が潰えることとなったのは、自信過剰からであろう。

トランプ政権2.0の組閣にあたって、まっ先にトランプ氏はポンペオ氏の入閣はない、と表明したのである。

そんな人物を顧問に採用した、USスチール買収を成功させたい日本製鉄の役員陣による失敗は、ウソのようにトランプ政権の本質=アンチ・ネオコンがわかっていないことを世界にしらせることとなった。

しかして、信頼していたトランプ政権1.0での時点で、ポンペオ氏がケネディ・ファイルの機密解除・公開に大反対したことの原因のひとつに、このブッシュ父の関与があることがバレるのを恐れたからか?

なんにせよ、『パーキンソンの法則』の通り、「組織は肥大化する」ことと、「組織は頭から腐る」ことの例が、ひとまずCIAだと世界にしれたことだけは確かである。

サインの無効性が歴史を消去する

前職バイデンの「恩赦サイン」が無効だと宣言したトランプ大統領は、最終的に裁判所が判断するとした至極当然の声明を出した。

いま、民主党バイデン側は、極度のパニックに陥っているかしていて、いまだに沈黙している。

つまり、水面下で激しい「法律戦」がはじまっている。
無効だと宣言したトランプ大統領の声明は、裁判におびき寄せる「エサ」だともいえる。
彼等から訴えさせて、一気に「敗訴」に持ち込めば、民主党やRINOの有名人たちが一網打尽の窮地に陥ることを意味するからである。

その伏線に、オバマが選んだ連邦地方判事の「横暴」を非難するキャンペーンを仕掛けている。

もちろん、トランプ政権2.0の司法省=FBIは、「宣誓恩赦」という前代未聞の犯罪根拠を探しだす捜査を堂々と開始することになるからだ。
これに、ヒラリー・クリントンのスタッフも経験し、その汚い裏側の内実をしる人物が、この度トランプ政権2.0で「FBI副長官」に就任したダブルパンチもあるのである。

そもそも、アメリカ合衆国憲法も、まさか大統領職にある者の任期中に発症した「認知症」を想定していない。

ために、過去合法とされた「オートペン(自動署名機)」によるサインでも、それは物理的な条件での仕方のないやり方だから合法なのである。
つまり、当該書類に直筆サインできない事情があっても、大統領に正常な判断とサインする意思があることを前提にしての有効なのである。

ところが、バイデン政権という前代未聞は、大統領が正常な判断とサインする意思があったのか?から問われることになって、極めて不味い状況にある。

わが国の場合だと、江戸時代の第9代将軍家重が典型的だが、壇ノ浦に果てたという安徳天皇も享年は6歳であったから、ふつうに「政務」ができたとはかんがえにくい。
そこで、朝廷は、西暦886年という時点から「摂政・関白」という補佐以上の立場を作り上げたのだった。

それで、徳川将軍家も家重を将軍にしても、老中以下の組織で支えて盤石だった。
ヨーロッパの王制でもおなじく、「権力による統治」であれば、ローマ法王庁からの「権威の裏付け」さえあればなんとかなった。

しかし、民主主義制の場合はそうはいかないし、大統領制(共和制)は王制とは相容れない。

すると、これは「大統領恩赦」だけにとどまらないことになって、「バイデン政権」の決定事項が砂上の楼閣のごとく崩壊することを意味する前代未聞になりかねない一大事なのだ。

合衆国憲法における安全弁たる、副大統領以下への大統領職の移譲を怠ったという、民主党の組織的な「憲法違反」が問われる事態となる。

果たしてバイデンは、いつからまずい状態だったのか?あるいは、いつまでなら正常だったのか?が法廷で争われる事態なのだ。
少なくとも、「恩赦」だけでも対象になって、無効となるとしても大騒ぎなのは、バイデン恩赦の対象者は通常のはるか多数という横暴もあるし、最後の駆け込み恩赦には家族まで含まれていた。

本件でも、トランプ大統領の無謀をいうひとがいるが、原因をつくっているのはバイデン民主党の側なのである。

「水泡に帰す」という言葉どおりを目撃することになる。

「次」の中東がはじまった

トランプ政権2.0は、15日、イエメンのフーシ派に対する大規模な空爆を開始した。

戦争を嫌うトランプ大統領が、憤怒の様相でいるのは、彼等がバブ・エル・マンデブ海峡を封鎖していることによる紅海・スエズ運河航路がつかえず、アフリカ大陸先端の喜望峰ルートを通行する船舶が75%にのぼることによる、経済的打撃の解消であるとしている。

もちろん、この理由付けは間違ってはいないが、真の狙いはスエズ運河通行料収入を失ったエジプト経済へのテコ入れであるし、「ガザの提案」を推進するためにエジプトの協力を得るためだともいえる。

そのエジプトは、40年ほどで人口が3倍以上に激増(1億7千万人)し、常に食糧危機が生じるリスクが高まり、安く購入していたウクライナ産の小麦の供給が絶えたために生活がえらいことになっている。
まさに、ウクライナ問題とスエズ運河通行料収入の激減という二重苦が起きていて、アラビア語で言う、「バブ・エル・マンデブ:嘆きの門」の通りとなっている。

「バブ:バーブ」が「門」の意味であり、「エル:定冠詞」、「マンデブ:嘆き」という意味だ。

つまり、フーシ派がこの海峡を封鎖した理由の、「南からのイスラエル(封鎖・解放)」が、主にエジプトに効いている。

それで、イランからの援助があるというフーシ派には、イランの先にあるロシアとも関係があるとみてよい。
一方、イスラエルとアメリカは一体なので、イランと敵対する構図ではあるけれど、米・露同盟という転換点では、イランが浮き上がってしまうのである。

つまり、米・露共にイランをどうするのか?が共通の課題になっている。

そこで、ウクライナについての米・露会談会場をサウジにしたのは、サウジとイランの関係からも、イラン包囲網という意味で重要だった。

石油が収入源のサウジとロシア。

インフレ退治の根本である、シェールオイルやシュールガスを国内で掘って掘って掘りまくりたいトランプ大統領は、出るまでのスピードを早めるのに、この両国からの輸入も視野にあるはずだ。

それに、いまさらだが、サウジはイエメンフーシ派からのロケット攻撃も受けている。
対岸のイランと、後背のイエメンから圧力がかかっているのがサウジなのだ。

そんなわけで、ウクライナの「次」は中東だという順番通りがはじまったのである。

米・露はイランを同盟に巻き込みたいとかんがえるのだろう。
少なくともトランプ政権2.0は、トランプ政権1.0でやった「アブラハム合意」を拡大させる戦略をとる。

そのために、宗教ではなく経済開発をもってイランと邂逅するやもしれぬ。

これはプーチン氏による、ロシア伝統の東・西型ロシア発展ではない、南・北型への転換の役に立つ方法なのである。
それで、ロシアはイランと良好な関係を、アメリカに仲介してつなぐのであろう。

こうなると、インド、パキスタン、イランのアラビア海からペルシャ湾にいたる国々の港湾開発とカスピ海や黒海、あるいは地中海に抜ける内陸部輸送網の開発で、中央アジアが活気づく。

それもこれも、中共包囲網の壮大な構築なのである。

はたしてイランは、どうやってフーシ派を見棄てるのか?
つぎのポイントはここにあるとかんがえるのである。

NATOだけなくG7からも脱退か?

G7の外相会合が、12日から3日間の予定でカナダで開催された。

これにあわせて、トルドーがいよいよ辞任し新しい首相を選んだようにみせたが、党内選挙のインチキ度は、RFK.Jrを立候補させなかったり、党大会で選んだバイデンを降ろしたりといろいろしでかしたアメリカ民主党に真似て、超テキトーな党内の状況を世界にみせたのは、いまどきのヨーロッパ系のトレンドか?

そんなわけで、国会に議席のない人物が首相になるという、これまた日本人には理解不能な人事をやってはみたが、おそらく今年中にある総選挙で政権交代するからどうでもいいと思ったのか?とうたがう。

ただ、カナダ人の知的水準が日本並みの「B」層化して、トランプ政権2.0からの関税攻勢に何を血迷ったのかこの「自由党」の支持が急回復している。
トランプがカナダとメキシコにいっているのは、麻薬・フェンタニルの密輸阻止・取り締まり強化の「お願い」を聞いてくれないからなのに。

つまり、マスコミの煽り報道に過剰反応しているのである。

そんなところで首相を引き受けた人物は、カナダ中央銀行総裁だけでなく、イングランド銀行(英国中央銀行)の総裁もやったから、よほどの経済通と思いきや、中身のなさには定評があると、英ガーディアンがわざわざカナダ人向けに、「コイツはまずいぞ」とおもわず書いたのが印象的である。

日本のマスコミも、ここぞとばかりに「肩書き」を羅列して、すごいキャリアだと強調しているけれど、肝心のまったく実績がないことを一切書かない権威主義を押し通している。

さて、スプートニクによると、このG7外相会議でアメリカは「共同声明の原文づくり」で、ロシアに関する表現の緩和を求めていることが判明した。
具体的には、「制裁」を削除することと、それに関係するロシア船籍のなどの船舶に関するG7間の追跡システムを構築することも妨害しているという。

これは、事実上のアメリカのG7からの脱退を意味するのではないか?

イーロン・マスク氏は、ウクライナ政府・軍が完全に依存している「スターリンク」の接続解除はしない、と明言したが、ロシア側の通信傍受能力の向上で、スターリンクへの接続をすればそこにロシア軍のドローンがやってくることも判明し、もうウクライナは戦争の継続が不可能なのである。

対して、日本の国会(参議院)では、共産党の曝露に揺れている。
海自の艦船が、ウクライナ軍との訓練に参加したという、交戦当事国への直接加担という、憲法違反が疑われている。

これに、新規設立された「自衛隊統合作戦司令部・司令官」が、はやくも血祭りになりそうなのである。

いまは、強制的に終戦させるのがアメリカの意向なのだ。
そして、中共との対峙のために、早急にロシアと歴史上初の同盟関係を構築したがっていることを隠さないのに、なんでこうなるのか?

これらは、トランプ氏の選挙中からの公約だから、いまさら慌てることではないが、左傾化したコチコチの頭でしか思考できない、ヨーロッパと日本政府は、おそらく「突然のこと」で何を言っているのかわからないのかもしれない。

全く同じパターンで、「関税」について慌てて経産相が訪米したが、「100点満点」と自画自賛した総理訪米でひと言も話題がなかっただけのはなしである。

ようは、質問力も、質問する度胸も、首相だけでなく随行した外務省や経産省の官僚にはなかったのである。
つまり、ぜんぜん「(日本の)国益」を優先させない態度に、トランプ大統領はおおいに呆れたにちがいないのである。

だからいまさら経産相が訪米したところで、カウンターパートのアメリカの商務長官だって、選挙中から言っていたことだといえば済むはなしに時間を割いたのは、一応わが国を「特別扱い」にしているからという相変わらずのうぬぼれではなくて、ポチの日本すら「例外なし」を世界に発信したかったからだろう。

何度も書くが、「ジャパン・ラスト」という特別なのである。

そんな中、9日、自民党の創立70年を記念する党大会が開催された。

ここに、連合の会長も登場して、財界と歩調を合わせる要望を披露した。
もはや、「翼賛体制」になったのがわが国の姿であり、似たような「ナチ化」がヨーロッパを席巻している。

われわれは、「ナチスとはなにか?」について、あまりにもしらなすぎる。

ルーマニアでの事態は、トランプ政権2.0からしたらヴァンス副大統領のミュンヘン演説を無視するものだから、怒り心頭のはずだけど、チェスやら将棋の駒運びように、次の一手のタイミングを計っているにちがいない。

パリでは、フェミニズムが二つに割れて、トップレスの女性たちがウクライナ支援と称してナチ式の行進をやる一方で、ウクライナ派兵に反対する大集会が行われている。

こんな混沌を、トランプ政権2.0のせいにするプロパガンダに忙しいのが世界のマスコミで、これに踊らされている世界の「B層」たちも、だんだんと邪悪な政府が行うことに気がつかざるを得ない。

すでに、国家情報長官のトゥルシー・ギャバード女史が地元のハワイに寄りながら、まもなく初来日・初アジア歴訪をする。

彼女がどんな釘を日本政府にぶち込むのか?興味深い。

政府によるバラマキは成長に有効か?

完全消費者たる政府が、経済活動に関与するのはまさに「消費=政府支出」しか方法がない。

なので、政府は、集めて配る、というピストン運動しかできないのである。

これを、福祉と絡めてしまうのは、はなしを正義に振り向けて、政府支出の増大があたかも打ち出の小槌のごとくにみせる欺瞞のロジックだから嵌まってはいけない。
たとえば、「高校無償化」がそれだ。

もしも、教育効果を考慮するなら、高校生のバイトを禁止するなりして、学業に専念させ、「落第」=「退学処分」というルールがあっていい。
それが公金をもらうことの意味と意義で、これまでと同じでただ「もらう」だけ、では物乞いと同じである。

ポーランドの大学は、全校が「国立」で、私学はなく、そのかわりに授業料は無料でかつ、上述した「落第=退学」のルールがあるばかりか、大学入学資格試験に合格すれば、どの大学にも入学できるので、「偏差値」という概念がないから学生は近所の学校に通って、「大卒」資格さえ得れば立派なエリートとして社会に受け入れられることになっている。

なお、教育の無償化は『共産党宣言』にある、国家に都合のよい育成をする極左政策だ。

さてふつう、「経済成長」というものは、なんであれ「持続的」であってほしいものだが、自由経済には「好景気」と「不況」が交互にやってきて、じつは社会からムダを省く効果を「不景気」のときに行うことで「持続性」を達成している。

省かれる側の企業や、そこに従事した個人には気の毒だが、こうした「淘汰」が、全体最適を生むのに必要な痛みなのである。
そのために、企業経営者には、社会からの淘汰の対象とならないような「ちゃんとした経営」が求められる当然があった。

その基本が、「損か得かの見きわめ」であった。

けれども、政府を運営する者たちが、特定の思想やらに落ち込んで、とあるバラマキ政策とそこからのキックバックを平然と求めるようになると、対象となる法人やらの経営は、たちまち邪悪化して、淘汰もされないために、社会の「お荷物」に成り果てる。

ここにおける「損か得か」は、直接の事業からの判断ではなくて、社会的意義という別物が登場し、補助金をキッチリもらえるか?が最優先されるようになる。

こうした、自由経済体制での構造的な不正がはびこると、社会コストの増大は極限化して、とうとう国民負担が増えるという結果になるが、選挙における結果だと開き直られると、どうにもならなくなるのが「民主主義」というものである。

ときに、政府が支出することで、経済成長するというのは、ケインズが言い出した。

彼は、「不況時に限って」なんでもいいから公共事業をやることで、労働者に仕事を与え、彼らが得た報酬を消費に回せば景気はよくなる、と説いた。
これを、政府の側は都合よく、「不況時に限って」を切り捨てて、「いつでも」に書き換えたので、なんでもかんでも公共事業をやることにしたのである。

それが「土建屋」の時代、「(官製)談合」が糾弾されたので、「NPO法人」やら「NGO」を介する、人権事業という公共事業にシフトして、腐敗度合いが上がったのである。

しかし、これにはもうひとつの落とし穴があって、それが「経済統計」なのである。

目先の公共事業というバラマキで、一瞬の雇用を確保しても、その維持のためのコストが継続的な負担になると、将来の統計ではマイナス効果となる。
これを隠すために、一瞬の効果を積み上げ(=肥大化)てきたのが、アメリカでありわが国の現状なのである。

これは、麻薬中毒患者の末路に例えることができる。

自民党からしたら、敗戦後80年にわたってやってきたこの中毒政策をすぐにやめるわけにはいかないのはよくわかる。
ここに、悪い意味の「継続性」があって、ふつうこれを「しがらみ」という。

あるいは、自民党にはこれ以外の効率的に自分たちのカネになる方法をかんがえつく能力がない、ともいえる。

なので、国民はこれを「無能」というのである。

さて問題は、政府の赤字とは、円貨の発行増大を意味するから、インフレとなる。
インフレの定義は、通貨価値の減少のこと、であるから、結果的に物価が上昇するのは、モノの価値が変わらなくとも、通貨価値が下がることで値段が上がるのである。

ここで上葉なのは「順番」で、物価が上がるからインフレなのだ、というのは、そうなるまでの順番を無視した表現であることだ。
また、これとは別のメカニズムのインフレがあるのは、モノの供給が減って、欲しい人の数が変わらないか増えたときに起きる、コストプッシュ型がある。

「自・公・立憲・維新」政権は、さかんに増税を仕掛けてくるが、もっと問題なのは、インフレ対策がないばかりか、コストプッシュ型のインフレを作り出す政策を熱心に進めていることである。

これにまた、日銀が加担している。

つまり、伝統的な財政赤字=通貨の過剰発行によるインフレをそのままにして、増税とコストプッシュ型インフレという、三重苦を国民に押しつけているのが、「自・公・立憲・維新」政権なのである。

そんなわけで、この政権をはやく除去しないといけないのだが、受け皿を育てていない国民側の失敗が痛いのである。

それが、16日、県単位でいう千葉県知事選挙の「選択肢のなさ」になって、典型的な県民負担増路線を県民が選んだという形に押し込められたのである。

わが国で民主主義は機能しなくなったから、経済成長に役立たない経済政策としての「公共事業」は続く。

アイーダの墓とアメリカの終身刑

36年ぶりのメトロポリタンオペラ『アイーダ』の新演出についてはこないだ書いた。

この物語の結末は、生きたまま墓に閉じ込められる、というものだが、アイーダが歌う歌詞に「私たちは地上でのことはもう終わった」とある。

ピラミッドが王の墓だという一般の説が否定されつつあるいま、1955年のアメリカ映画『ピラミッド(原題:Land of the Pharaohs)』が懐かしい。
わたしには、この映画のラストと、アイーダが重なるのである。

ときに、「監獄」についての深い考察は、ミシェル・フーコーが残している。

監獄から刑務所になって、なにがちがうのか?という問題も、ふだんかんがえることはない。
無料で見学できる博物館は、いがいとたくさんあるものだが、東京神田駿河台の明治大学にある「明治大学博物館」には、刑事部門がある。

また、東京小伝馬町の中央区立十思公園には、「伝馬町牢獄跡」らしく資料も展示されている。
100万都市江戸の牢獄は、あらかた300~400人の収容で、おおいときは900人に達したというけれど、いまからしたらずいぶんと少ないようにおもえる。

これには、労役をさせた「人足寄場」と未決囚の伝馬町との区分があったからという。

なお、「勘当制度」があった江戸時代、勘当されると「無宿者」扱いとなって、人足寄場に送られたので、存外にいまより範囲の広い人が罪人扱いされていたことになる。
それでも、これだけの規模で済んだのは、やっぱり犯罪者が少なかったからなのか?
お仕置きが厳しいので抑止力となっていたのか?

時代がはるかに現代に近い昭和の初めを舞台にした、『夫婦善哉』における若旦那が「勘当」される破局までの時間は、江戸期よりもずいぶんと長かったにちがいないけれども、もう人足寄場に送られることもない余裕が、大正期から昭和はじめのデカダンスなのである。

「2.26」から約3ヶ月後に、「阿部定事件」が起きている。

さてそれで、DOGEが暴く役所の不正から、権力者たちの蓄財における不正にまで話が進んできている。
方法は、マネロンだけでなくペロシが筆頭のインサイダー取引とか、バイデン親子の外国政府との取引など様々だ。

刑法が適用されるのか?軍法が適用されるのか?の二パターンがアメリカにはある。

もちろん、死刑を含めて厳しいのが軍法だ。
刑法でも、重罪がいくつもあれば刑期が加算されて、ときに数百年の禁固という判決もある。
事実上、生きて釈放されることはない、という刑期設定である。

すると、まさに生きたまま墓に入ることとおなじなのだ。

そうやって、収監されてしまえば、シャバの一般人の記憶から消えていく。
本人に対しても、一般人に対しても、情報の遮断が行われるのである。

36年前からの『アイーダ』の旧演出では、神殿に安置されている武具を選ばれし若き将軍に晴れやかに着付けるシーンから、裏切りへの判決後、また地上の神殿に返却されるシーンが幽閉された墓場のシーンと同時に展開する迫力があった。
新演出では、このシーンでの地上での表現が甘いと言えば甘かった。

これは、「次」のため、すなわちこの武具を身につける将軍とは、国にとって「使い捨て」だというメッセージなのである。

じつは、民主主義における「選ばれし者」とは、冷酷な国民による「使い捨て」の対象なのである。

そして、たとえば栄華を極めたはずの、バイデン一家や、国家序列ナンバー3にまでなったペロシにやってくるだろう、資産の没収と身柄の永遠なる隔離もまた、「驕れるものは久しからず、盛者必衰の理」なのである。

いやもしも、そのような牢獄に彼等がじっさいに入ることがなくとも、その犯罪行為を「歴史」に書き込まれたら、彼等は永遠に「恥辱」という監獄に入ることとなる。

千年ほど前にこれに気づいた日本人の先進性を自慢したいが、いまの政府高官たちの「驕り」は、とうてい『平家物語』すら理解不能な輩たちによる狂宴となっている。

だから、このところの「アメリカ株の下落」は、一般人が購入するチャンスだというメッセージなのだと思考すれば、なんの問題もないかえって歓迎すべき事態なのであるし、石破首相の度を超えた驚愕的な「鈍感さ」と「無知」によって、年度内に通ったはずの予算案が通らない事態となった。

衆議院を通過したのに、参議院での修正によって、再び衆議院での可決が必要になったため、日程上「年度内」が不可能となったのである。
これで、国民を裏切った維新も一緒に追い詰められて、墓場に幽閉されることが決まったようなものとなったのは、筋悪の末路して当然ではある。

内閣総辞職か、予想通りの春解散か?という選択となって追い詰められているのも、使い捨てなのだという道理による。
ただし、石破氏は昨年暮れに、「予算案が通らなければ総選挙をやる」と発言したから、有言実行なのか?それともいつも通りの言っただけなのか?も問われるのである。

どちらにせよ、本人たちは、使い捨てなのだという原則に気づいていないだろうけれど。