こだわってはいけない、こだわり

味にこだわらないことにこだわる、という戦略で大成功したのは、「熱烈中華食堂日高屋」でしられる、「株式会社ハイディ日高」である。

「そこそこでいいんですよ」が、創業者で会長の神田正氏の言葉だ。

駅前立地探しにおいては、マクドナルドか吉野家の近辺を狙っていて、会長自ら鉄道路線を歩いて廻っているのは、これらの立地を吟味するだけでなく、担当者にやらせて失敗したらかわいそうだ、という発想からだという。

マクドナルドさんや吉野家さんは、大金をかけて立地選択の分析をしているに違いなく、それをちゃっかりいただいている、と。

おかげで、関東地方の駅前地図は、ぜんぶ会長の頭にインプットされているので、そこいらの不動産屋より詳しくなったという。

店舗立地については、「リアル店舗」というジャンルが生まれたかのような錯覚があるが、人類はずっとリアル店舗しか経験してこなかった。

あの世界のホテル王、「ヒルトン」でさえも、成功の秘訣は「一に立地、二に立地、三に立地」という言葉を残している。
だから、これを中華食堂チェーンの成功した創業者が、マクドナルドや吉野家の出店戦略をパクるといった発言は、衝撃的であった。

しかも、自店の味についても、余計なことにこだわることをしない「ふつう」にこだわる、というのも、目から鱗が落ちる慧眼なのである。

なぜなら、庶民が気軽に利用できるという店舗コンセプトを具体化したらこうなる、という教科書でもありそうでない貴重なことをあっさりと語っている意味が深いと思うからである。

しかしながら、この味にこだわらないこだわりは、だれにでも、どんな商売にも通じるというものではない。
むしろ、ハイデイ日高が編み出した、独自性、なのである。

だから、単純に真似て成功するはなしにはならない。

これに、少子化問題というかなり前から指摘されていた根本問題を、みごとに放置してきたので、単に外国人の安い労働力(ふつう「奴隷」という)を移民として入国させれば済む、といった安易さが、「人材輸入業」を生んで、そこからの利益が政治家に還元されるビジネス・モデルができた。

堪忍袋の緒が切れるまでに追い込まれた国民が、とうとう「参加型」の政党を立ち上げるに至ったのは、こうした問題を政治家と一緒に放置してきたことの「ツケ」を払うという意味になっている。

その政党の運営方針が、党員投票によって決まる、といった既存側から「ポピュリズム」と批判される「民主主義」のこだわりがある。
なので、党の政策が案外と一貫性がないとも批判されるのは、こだわる部分からの結論だから、こだわっていはいけない、こだわりの結果なのである。

参議院選挙後の地方選挙として、8月31日には、熊本県の第2都市である八代市と、愛媛県の宇和島市の市議会議員選挙があった。
参政党候補は、八代ではトップ当選、宇和島でも上位当選を果たして、浸透は確実に地方に及んでいる。

まさに、ハイデイ日高のごとく、なのである。