6月30日、トランプ政権2.0が反対して大統領令まで発したが、これを否定し「出生地主義」に関する遵守を求めた最高裁判決に、トランプ大統領は、「闘う」と宣言し、全米の連邦検事にたいして「出産ツアー」の仕組み捜査とそれに関連する人物の起訴を優先させるように司法省へ指示を出した。
これとともに、習近平を名指しして「出生地主義の勝利を祝う」と、いけずなメッセージを公開している。
つまり、(主に)中国からの「出産ツアー客」がアメリカ合衆国にきて子供を出産し、帰国してその子がそれから一度もアメリカ合衆国に入国しなくとも、アメリカ市民権、社会保障番号、アメリカ福祉・厚生へのアクセス権を取得し、18歳になったらアメリカの選挙で投票するために、(国際)郵便投票ができることへの最大限の皮肉なのである。
ここで、中国が名指しされたのは、この国に選挙がないことの裏返しとしての、政策によるアメリカ乗っ取りについての警戒があるからだろう。
この点で、自由圏からこれらと同類の国にすすんで移住するひとがいないことの一方通行があらためて注目される。
注意がいるのは、アメリカの大統領選挙の仕組みが、州ごとの「総得票数」ではなくて、「選挙人票獲得合戦」であることの制度設計における特殊である。
そしてその選挙人票とは、各州における連邦上院議員と下院議員の数とおなじ票数が割り当てられ、勝者はそれらの票の「総取り」をするのがルールである。
じっさい、各州はその色(共和党は赤、民主党は青)に染まっていて、選挙を行わなくとも多くの州では勝敗が決まっている。
そういう州を、各党の「色」でいう。
問題なのは、選挙の度にどちらかに揺れる州であって、事実上、こうした「スイング・ステート」を制した側が大統領の椅子を射止めるのである。
それが、ほぼ6州ある。
だから、これらを「激戦州」ともいう。
現職のトランプ大統領が負けた2020年選挙では、この6州のなかでの激戦でバイデンに敗れたのだが、得票数でいうとわずか2万票もなかった「僅差も僅差」なのである。
この僅差で、その州の選挙人票が総取りされる。
ようは、出生地主義で生まれた外国人の子供が、特定の州における選挙で千票単位の投票が組織的におこなわれたら、全米での勝敗を決めることにもなりかねない、ということだ。
これが、アメリカの大統領選挙における「アキレス腱」なのである。
億人単位で投票する一大選挙が、たった1万から2万票差で決着する構造は、不正行為も呼び込むが、グローバル化した現代では「出生地主義」が合法的なネックとなっている。
このことは、アメリカからの影響を強くうけるわが国として、よくよくしっておかないといけないことなのである。
ところで、わが国の国会が空転している。
この原因をつくったのは、与党の強引な「選挙法改正」で、おもに比例区の定数を削減して新興政党の躍進を止める政治的な意図が見え見えなために、野党がこれに反発しているのである。
まったくやることが、アメリカ民主党の手口を真似ている、日本版「ゲリマンダー」である。
しかして、アメリカでは連邦最高裁が、民主党が画策したあからさまなゲリマンダーに「違憲」の判決をだしたが、わが国の最高裁が下級審をさしおいていきなり「違憲」をいうことはない。
つまり、国民にとって役に立たない最高裁という構図になっているから、むしろわが国の方がよほど「宣戦布告」すべき相手になっている。

