大王製紙創業家の長男にして元社長・会長で、会社のカネ106億円をカジノで使い込んだとして収監された人物、井川意高著の『溶ける』(2017年、幻冬舎)が出てから、紙のお札をムダにしてなくすことを「溶ける」とか、悪意の意図的であれば「溶かす」というようになった。
本人は、「東大に合格した受験生の集中力を侮ってはいけない」とうそぶくが、その集中力を持ってしても106億円を溶かしたのは、「固執力」というべきか?「欲求度合いの強さ」というべきか?
だが、ご本人的には、いったん会社から立て替えてもらったけれど、個人資産で返済するつもりだったというのがウソでないのは、その資産の裏付けがあるからだろう。
なので、不当逮捕だという主張も、理解できないわけではないし、むしろ、正論をいうので権力者からうとまれて「制裁」を受けるはめになったというべきなのだろう。
結局、そんな恵まれた境遇に嫉妬した司直が、厳しく有罪としたのは、人民裁判の様相があって、フランス革命的横暴さも感じてしまうのはわたしだけか?
さて「溶ける」のではなくて、世の中にはずっとうわ手をいく、「溶かす」ことに長けたひとがいる。
その代表格が、小池百合子都知事で、2019年にピークだった東京都の「財政調整基金」9345億円を、たったの2年でたったの50億円にしたのである。
ざっと、9300億円を「溶かした」手腕は、尋常ではない。
これを、何気なくできるのだから、やっぱり常人ではない。
それとも、都民の知事を選ぶ目がない、といえばそれまでだが、一期目を終えた時点での「公約実現力ゼロ」で、どういう人物かわかるだろうに。
とはいえ、わたしも横浜市民であり神奈川県民だから、市長と知事の選択にあたって一票の無力さにシラケながらも、投票だけには行って一矢報いるつもりでいる。
さてそれで、こんな「溶かす」のを、組織でおこなっているのが、農林中央金庫(農林中金)だ。
20日のロイターによれば、19日までに複数の日本国内メディアが、「1兆円の増資」を検討していると伝えた、と伝えている。
会計年度としては、まだ新年度になって2カ月もないのだが、2025年3月期の純損益は5000億円規模の赤字に転落する恐れがあるそうな。
それで、保有するアメリカ国際を売却して損を確定することの「穴埋め」をやりたいらしい。
しかし、「債券」は、満期まで保有していれば当初利回り通りの回収が確定しているものなので、アメリカ政府がデフォルトしないかぎり、「安全資産」である。
なのに、なんでわざわざ「中途で売って損をかぶるのか?」が、話題になっている。
これを、冷静に「モハPチャンネル」さんが動画で解説している。
ようは、相変わらずの失敗に変わりはない。
だけれども、モハPチャンネルさんの解説が触れないもっと基本的な問題があるのだ。
それは、おカネの世界とはゼロサム社会(「往って来い」の関係)だという前提があるからで、小学生にもわかるからあえて余計な解説をしていないのだとおもわれるし、動画冒頭、「少し駆け足で」という注意につながっているところがこの方の生真面目さを表している。
農林中金が10年に一回ほどのパターンで「溶かす」なら、もう一方の、「濡れ手に粟」はだれがつかんでいるのか?という問題なのである。
世界経済フォーラムは、とうに、「農業廃止」を打ち出して、反発した農民たちがまずはオランダで一揆蜂起し、それがドイツ、イタリアへと拡大したことは書いた。
わが国の農民は、なにをかんがえているかわからないが、とうに高齢化して、一揆をやる元気もないのだろう。
あるいは、農協に身も心も吸い取られているかもしれない。
なにせ、全国の農協が農林中央金庫の株主だからであるものの、もはや農協は農民のために存在しないことはとっくにバレている。
それゆえに、「JAバンク」の事業は一般人への顧客展開をやっていて、農民のための金融を放棄したのである。
そんなわけで、「ヘッジファンドに業態がえ」をした農林中央金庫は、とうに農協のためでも、それを支える農家のためでもなく、表向きは「カネもうけのため」にしているけれど、ここまで大損を重ねると、もう「わざと」だとしかかんがえられない。
これを、政権与党がやらせて「裏金」の資金源にしているのではないか?と疑うのだが、司法(検察だけでなく最高裁も)が政治家のためにあるまでに腐敗して、三権分立から退化して「二権分立」になったEUやアメリカよりも悲惨な国になっている。
日本が溶けていくのは、溶かす者たちがいるからである。
しかして、これらの者共は、けっして責任をとらないし、ましてや収監されることもない。
なるほど、井川氏の憤懣やるせない言動の根拠だとわかるのだけど、どうしてそんな井川氏が「第二自民党」にすぎない、「日本保守党」を檄押しするのか?わたしには、まったくの不明で残念なことである。
むしろ、ご自身で党を立ち上げるなりして、「世直し」に期待したいのである。
是非とも、都知事選にでてほしいと、神奈川県民としていいたいのは、妙に東京をライバル視している神奈川県だから、都が変わるとその影響も多大だからである。
すくなくとも、小池氏よりもまともであることはまちがいない。