【祝トランプ】世論調査に嘘をつく

「世論調査は嘘をつく」ではなく、調査される側が嘘をつくという意味のタイトルである。

5日投開票のアメリカの大統領選挙は、蓋を開ければ「トランプ圧勝+連邦上・下両院含めて3タテの共和党勝利」でしかも高速な開票結果だった。

4年前の轍を踏まないための、当初の圧倒的な得票計画、が現実になったので、民主党による組織犯罪的な姑息が粉砕された。

ウソばかりのマスコミは、「歴史的激戦」と枕をつけるが、勝敗を決める激戦州7州での得票差の比率は、前回の2%以内を大きく超えて4%程度と、ぜんぜん激戦ではなく、共和党の完勝だった。

わたしはテレビを観ないのでネットでの話題だが、どこの特番も「お通夜状態」だったというのは、日本のマスコミがアメリカ民主党支配下にあることを示すデジタル・タトゥーになった記念になっている。

投票日直前に、民主党・駐日アメリカ大使(総督)が日本政府に、「同性婚の早急なる立法を命令した」ことが報じられたのも、自身の任期が終わるための焦りだったのか?
人事を司る連邦上院を共和党がおさえたことで、日本大使も交代が確実視されている。

なお、民主党の思想(グローバル全体主義)に染まる、高市早苗をいまだに「保守=安倍晋三の後任」と信じる情弱がいるのは、まったくの滑稽である。

トランプ氏から相手にされないのは、石破だけではない。

まさかの、麻生太郎の名前があがるのも、わが国政界の人材枯渇がアメリカ民主党と同様に、お寒いことになっているからである。
若干40歳にして副大統領になるJ.D.ヴァンスのような人材がいないのは、なぜかをかんがえるひつようがある。

彼が侮れないのは、法学博士の前に教養(じっさいは「哲学」)学士があることだし、細君は「新卒」にして、連邦最高裁判事の二人に同時にアシスタント採用(「判決文」原案を書く任務)された強烈な才媛である。

わが国は、いつのまにか「適材適所」ができない組織ばかりになったので、政界もこうなる、のである。

そんなわけで、西側先進国のマスコミが腐っているのは、株主資本主義なる資本主義とは別物が、「リバイアサン」のごとく暴れまくって、本家本元を食い殺したからだ。

昨今の「世論調査」は、どのような方法であるかとか、どんなサンプリングをしたのかとか、有効回答数がどれほどあったのかとかという、調査の基本情報をぜんぜん公開していない。

つまり、なにをもって信用せよというのかが、不明なものを「世論調査」と自称しているのである。

さらに、「本物」の調査なら、かならず生じる「外れ値」が標準偏差をふくらまして、「信頼区間」を狭めるものである。
ところが、そのような状態の説明もなく、あたかも綺麗な「正規分布」を前提としている。

これが、またまた調査自体を信用できない理由になる。

だから、統計の知識があれば、回答者である自分が外れ値になってやろうとして、嘘をつくのである。
もちろん、その背景にあるのは、こうした調査への不信感であるし、それを平然と公表するマスコミに対してのザマァ!という感情である。

なにをしても、はなから信用がおけないものだから、外れ値になることにも罪悪感はない。
むしろ、そんな適当な数字について真顔でコメントするどうでもいい言論人の間抜けが見られるのが楽しいのである。
これを、「ただしい愉快犯」といいたい。

そうはいっても、わたしはテレビを観ないから、もっとどうでもいい。

ちゃんと学校で統計を教えているアメリカでは、ここ数年来、事前の「世論調査」が結果と合わないふつうが起きている。
これが、調査を受ける側の多数が嘘を回答しているためだと推察するのは、上に書いた「愉快」があるからである。

それでも、アメリカにはまだ「資本主義」の名残があって、ちゃんとした調査会社がいくつかある。
これらは小さな会社だが、「当たる」という評判をもって事業拡大を目指すふつうがある。
「愉快犯」のためにえらく困難になった大統領選挙予測は、宣伝になるから必死に調査する。

そうやって巨大化したら、ガレージからスタートしたマイクロソフトやアップルのように、業界に「君臨」するのだろうか?

それをまた「愉快犯」が見のがさない健全さが重要なのである。


100億ドルの賠償と「りす」の死

人類の運命を決めるアメリカ大統領選挙の投票がはじまった。
奴隷以下の家畜の身におとされた日本人には、主人がだれになるのかが決まるという意味なのに、それすらもわからない多数のおとなたちゆえに、まったくなにも意識すらしない未来のおとなたる子供たちが不憫でならない。

さ投票日まであと数日というタイミングで、ふたつの出来事が連携していると、『ハラノタイムズ』さんが報じてくれた。

まずCBSの「60Minutes」という定番のインタビュー番組で放送された、カマラ・ハリスの発言について、「別の番組での発言をあたかも番組内での返答に貼りつけた」ことが発覚して、トランプ陣営がCBSを相手取り、100億ドルの賠償請求裁判をテキサス州で起こした。

番組内の「編集」はよくあることだが、他の映像やらをあたかもここで発言したようにするのは、「捏造」であり、選挙期間中に視聴者の判断をねじ曲げる悪質行為だという主張である。

訴訟を起こしたテキサス州の裁判官は、比較的保守に勝たせる傾向があるものの、当然に選挙投票日までに判決がでるようなものではない。
むしろ、判決よりも、問題提起して有権者に偏向報道の実態を訴えることを意図しているかとおもわれる。

とはいえ、期日前投票を両陣営共に訴えてきたので、今の時点でどれほどの影響があるかは疑問がある。
逆に、トランプ陣営としては、当選後の政策における「マスコミ対策=正しい報道に矯正する」があげられるが、言論の自由との区別をどうするのか?という難問の関門もある。

「りす」の話は、道路でひかれた親リスの横にいた子リスを保護したひとに起きた、ニューヨーク州の理不尽な対応が、選挙とからむまでになった事例で、ふだんから動物愛護をいうマスコミや民主党との軋轢になっている。

子リスを保護しても、「法的」にも野生動物なので自然に帰さなければならない。

そこで、このひとは体力をつけたところで放ったのだが、なんと大けがをして再び自分から家に戻ってきたという。
また保護をしたが、もう野性に帰れないと判断して、合法の手続きをとって「ペット」とすることにし、動画撮影でその愛くるしいことでバズって超有名になったのである。

しかして、ニューヨーク州の担当官が「家宅捜索」をして、このリスを連れ去り、本人も犯罪者扱いの苦渋をなめたが、なんと伝染病の危険を理由に「殺処分」されてしまったのである。

これが、SNSフォロワーたちの怒りを買い、民主党が支配するニューヨーク州で、「反民主党」の大ブーイングとなった。
ところが、このことが、「デマ」と断定されたオハイオ州スプリングフィールドにおける、ハイチからの難民による「ペットを食べている」という話にくっついたのである。

日本も含めた大手メディアのデマ報道をよそに、SNSでは地元民からの多数の「訴え」が拡散しており、いまやだれもデマだという報道を信じていない。
しかしながら、難民だろうが移民だろうが受入に熱心な民主党は、こんな非道をなかったことにしたい。

そうした姑息が、ニューヨーク州のひとたちに激しい怒りを買っているのである。

週明けの4日月曜日(投票日前日)に、ニューヨーク州知事あるいは動物愛護管轄の責任者がどのようないい訳をするのか?が、「リベラル」なニューヨーカーたちの注目をあつめている。

共和党は基本的に「不干渉主義」であったけれども、世界にアメリカ型民主主義を広めたいという願望をもって「戦争」を仕掛けてきたのが民主党である。
これは、ソ連が世界共産革命をやりたいと願ったのと、じつはおなじ発想の土台にある。

そのために手段を選ばない。

こうして、いたるところからボロがでるのは、計画経済がかならず失敗するのとおなじで、人為がすべてに及ばないのが感情を持つ人の世だからである。

英・独の経済崩壊を追いかける日本

トップランナーというと聞こえがいいが、未知の体験も最初にするので、その対処方法をかんがえるのも実行するのも、「前例がない」という立場におかれるものである。

日本で「起業」が困難になったのは、社会が安定してからのはなしで、あんがいと混乱状態にあったときに起業はふえる。
それが戦後の場合にもいえて、個人商店があちこちに誕生し、「商店街」を形成した。

いま、元気が良かった商店街ですら衰退しているのは、このときの起業初代が引退して後継者がいないために廃業になっているからである。
じつは、後継者になるはずの二代目、三代目の学業での好成績や、附属中学からの進学で、どちらさまもサラリーマンになって「安定した」ことが、廃業の原因なのである。

もちろん、初代が稼いだカネで教育投資がふんだんにできたためでもある。

人類史上で、産業革命がはじまったという英国で、どうして産業革命が起きたのか?については、新技術の蒸気機関の応用とそれで大量生産できた物資(繊維製品)を、紅茶の輸入赤字帳消しとしてインドに持ち込み、またインドからアヘンを清国に持ち込んで清国から銀を得るという、大儲けのシステム化に成功したからだといわれている。

何度も書いてきたが、資本主義が生まれてから産業革命が成立するという順番だけど、以上から資本主義は生まれてすぐに死んでしまったのではないか?と疑っている。
それで、資本主義は「株式の所有者優先主義」となって、とうとう労働者も株を所有して株主になって、「資本家」となにがちがうのか?がわからなくなったのである。

そこで、株式の保有比率が高くて企業経営を支配できるまでになった「大株主」が出現し、これがまた個人なのか法人なのか?という問題を内包しながら、国境をまたいで活動するので、「国際金融資本=世界中の企業の大株主」なるひとたちが、都合よくする組織的行動にでて、その第一世代的代表が「国際連盟」で、第二世代が「国際連合」となった。

ここから派生したのが、「EU=ヨーロッパ連合」だ。

都合がいい政策が、あたかも普遍性をもっていると一般人に見せないといけないのは、本音たる儲け主義のむき出しでは都合が悪いからで、うまいこと「SDGs」とかの屁理屈を発明し、カネで釣ったマスコミをつかって大宣伝をやっている。

その気になった先進国の国民たる、英国人が、まさかの「保守党」に裏切られて、持続可能なエネルギーという持続不可能なものに大量投資したら、産業コストが大上昇して国際競争力を失ってしまった。

おなじことが、先進国のドイツで起きた。

化学者から政治家になったメルケルによって、英国とおなじ道をさらに過激に実行したら、とうとうヒトラーの置き土産たる「フォルクスワーゲン=国民自動車」の経営が立ちいかなくなって、15万人ほどが失業する危機になっている。

もちろん、自動車産業は「裾野が広い」産業なので、下請け・孫請けの中小・零細企業がどうなるかを含めると、こんな数ではすまないはずだ。
ドイツは来年に総選挙が予定されているので、おそらく政権交代になること確実なのである。

そんな世界潮流のなか、わが国の衆議院議員総選挙では、劇的な変化はなかったかに見える。

もちろん、これは「英国化」のためで、小選挙区制の英国では、おもに「労働党=極左グローバル全体主義」しか選択肢がないために、政権交代してもマイルドな「保守党=グローバル全体主義」よりもっと酷いことになっているのとよく似ているのである。

そんな中、マスコミが「極右」と規定している、英国では「リフォームUK」、ドイツでは「ドイツのための選択肢(AfD)」が存在感を強めているし、ほとんど支持率が末期的なフランスのマクロン政権に対抗して「国民連合」は着実に地歩を固めている。

英国は離脱したが、ドイツとフランスがEU離脱ともなれば、EUは崩壊する。

そんな状態のEUに何周遅れかしらないが、熱い加盟意欲でまんまんの現職大統領が再選されてモルドバをウクライナ並みの危機に追い込もうとしている。
これもまた、東アジアのきな臭さと似ているのである。

さて、アメリカの大統領選挙は、とうとうマイク収めにまでなった。

人類の将来を決める投票がはじまる。

壊れていく日本の統治システム

「日本を壊すな」という広告が話題になっている。

自民党の広告のことである。

なんだか自民党が日本を守っているという気にさせる文(短いフレーズ)ではあるけれど、破壊の張本人がトボけて厚顔無恥ぶりを発揮していることに、さっそくネットで炎上している。

プロパガンダの鉄則は、こうした短いフレーズを繰り返すことで、聴き手の脳に擦り込むことが行われる。
それが大成功したのは、小泉純一郎の「郵政選挙」での大勝利だったし、これを仕込んだのが、プロパガンダの専門家で学位がある世耕弘成だ。

さて、こないだの衆議院総選挙では、「最高裁判所判事の国民審査」も行われたのに、なんの反応もないのがマスコミだ。
初めて、平均で10%を超える「✖️」がついたのは、ひとつの歴史的な出来事だったし、標準偏差も離れてはいないから、かなりとんがった幅のない状態になっている。

立法府の国会と、行政府の政府は、内閣で一体となるために、いつも批判的な話題になるのはこのふたつの「府」が通常であったのが、とうとう司法府にも批判が集まりだした。

いよいよこれまでの統治システムが溶けだしている証拠なのである。

しかし、日本の司法は、さらに三つの立場に分散化させている建て付けになっている。
・裁判官(裁判所)
・検察官(法務省)
・弁護士(会)

ようは、司法試験に合格したひとたちが、それぞれの道を選ぶようになっていて、ここでも成績順にリクルートされることが横行している。
尊敬をあつめないと、判決に敬意(権威)を得られないという心理から、裁判官になるのは成績優秀者でないといけない、という業界標準がある。

また、定年前に裁判官を辞めたり、検察官を辞めたりしても、弁護士を開業できるし、定年をまっとうしても弁護士を開業できる。
これが、弁護士業界の標準偏差を広げる理由で、そのまま収入の平均値を下げている。

なんとわが国の弁護士の年収平均が、一般サラリーマンより低いという計算になるのは、平均を上回るひとがロングテール現象的にダラダラと続いて、億円単位のひともいるようになっている。

ようは、開業してもあんがいと食えない商売なために、ブラック企業やらの顧問にならないと生活できないのだ。

さらに、最高裁判所裁判官には「枠」があって、裁判官から出世してなるひと、有名事務所の弁護士からなるひと、それと外交官からなるひとがいるために、検事ならやっぱり「検事総長」になるのが究極のポストになる。

外交官からなるのは、「国際法(おもに「条約」)」の専門家ということになっているからである。

ついでに、司法試験に合格しなくとも弁護士になれるのは、大学の法学部教授を規定年数務めたほかに、内閣法制局の参事官以上の役職を連続5年務めて、行政府を無事に定年退職するとなれるいうお手盛りの条件がある。
これでなれるのは、「行政法」の専門家ということになっているからである。

税務署の職員が定年後に税理士になれるのとよく似ている。

そうなると、やっぱり特殊な行政府の役所に、「法務省」がある。

ここのキャリア官僚は、いわゆる国家総合職に合格したひとではなくて、司法試験に合格して検事に任官しないとキャリア扱いされないという、とんがった役所なのである。
「検事」は、法務省の行政官僚なのである。

けれども、憲法上の「司法府」は、あくまでも最高裁判所を頂点にする、「裁判所」になるから、検事総長だって二の次になる。

こないだの「袴田事件」における、現職検事総長の公開された談話は、以上の建て付けに関して真っ向から逆転する、つまり、検事総長が最高裁判所の上位にあるが如くの内容であるという驚愕があった。

「選挙公報」に、犬の散歩が日課だと平気で綴る、最高裁判所判事の情けない姿を思い起こせば、裁判官が検事たちに馬鹿にされるのは若い頃の試験成績の意趣返し(コンプレックス)もあって仕方がないが、それではこの国の司法がもたないのである。

2日、わたしの住む横浜にある、横浜刑務所で「第52回矯正展」が開催された。

小雨のなか、多数のひとがやってきて、刑務所内で生産されているグッズを購入していたが、なんだかこの最高裁判所判事たちの体たらくを思い出すと、受刑者の汗で作られた物品の価値が尊いと思われて仕方ない。

トランプ氏がやってみせた、マックでのエプロン姿や、ごみ収集のジャケットを着ての演説は、その心意気だけで尊敬に値する。

悔しかったら、最高裁判所判事も、検事総長も、刑務所での作業を少しでも経験し、自ら矯正の気概を示してみたらどうか?

自分の選挙集会で聴衆から野次られるようになった末期的状態のカマラ・ハリスは、とうとう宿敵のはずの共和党を追い出されたリズ・チェイニー(典型的な「戦争屋」)を擁護して、彼女を礼賛する発言をおくびもなく繰り出しはじめ、なんとリズ・チェイニーもこれに応じて民主党を強力に支持している。

このひとたちは、戦場で傷つく兵士を、いまだに消耗品だとして、自分たちは暖かく快適な部屋にいて、私服をこやすための戦争を仕掛けている。

これと相似形の発想が、わが国の「司法」をおかしているのである。

近代憲法をいただくことを「法治国家」と定義するなら、わが国は、もう法治国家でもなんでもなく、国民が放置される国家になって、エリートを自称するひとたちの天国になりつつある。

まったく、江戸時代が羨ましくなることが、目撃されるようになったのである。

一喜一憂のハラハラドキドキ選挙なの?

日本人がアメリカ大統領選挙での候補者の発言やらに一喜一憂し、ハラハラドキドキするのがふつうだとおもっていたら、そうではないらしいことに気がついた。

それでも、こないだの衆議院議員総選挙には投票したというから、棄権したひとよりはずっと真面目なことにまちがいはないだろう。

これは、古くからの友人に久しぶりに会ったときの会話から得た「情報」なのである。

最大の驚きは、アメリカ大統領選挙と連邦下院議員総選挙、連邦上院議員入れ替え選挙(日本の参議院とおなじ)、はたまた、州レベル、郡レベルでの教育委員とか地方検事とか、保安官とかも一斉に選挙投票する、「一大選挙イベント」のことを、大統領選挙と呼んでいることをしらなかったことであった。

なので、有権者は、投票に最低でも20分は要する。
衆参両院ダブル選挙に地元議会などが重なって、おおくても5人程度を選ぶ日本の選挙とは段違いだ。
いったい、全部の選挙に何人が立候補していて、それぞれをまちがいなく選ぶのは、あんがいと難易度が高い。

むかし、エジプトにいたとき、エジプトの選挙を見学したことがあって、このとき驚いたのは、日本の新聞紙大の投票用紙に、全候補の名前が印刷されていて、これに「○」をつけるのだが、そもそも文盲率が80%の国だから、「補助人」が自分の入れたいひとの名前をいうと、そのひとにマルを付けてくれるのである。

これが、どういうことか?は、かんたんにわかる。

この意味で、投票機の不自然な作動状況は、エジプト並みということがわかる。

しかして、この古い友人は、トランプが勝つだろうとも予想していて、そうなれば「円高になる」と断言していた。
トランプはアメリカの工業復活を公約にしているから、「ドル安を目指す」はずだという。

だが、外国為替はそんな単純だろうか?とおもうのがわたしのかんがえで、場合によっては「超円安」だってあり得るのは、為替相場そのものに影響する「人為」が、経済学の机上モデルを凌駕しているからである。

けれども、選挙投票日直前になって、トランプ氏が公約し、人員配置計画を詳細化しているなか、「政府のムダ削減委員会」の委員長になる予定のイーロン・マスクが、有力な顧問に、ロン・ポール元下院議員(89歳、共和党・ケンタッキー州)を指名すると発表したのである。

息子は医師にして連邦上院議員(ケンタッキー州)の、ランド・ポールで、ファウチと議会で激論をかわし、「わたしが科学だ」とまでいった御大を論破したひとである。

とっくに引退したロン・ポール老人を引っ張り出したのは、背景に共和党トランプ派が連邦下院で提案した法案とからんでいる。
それが、「FRB廃止」法案なのだ。

「通貨発行権」は、各国の中央銀行がもつもの、という常識がいつの間にかできあがっているけれど、いつ・だれが・どうやって決めたのか?という問題が「闇」なのである。

もちろん、日本銀行券にたとえれば、原価20円でしかない「1万円札」を、日銀は9980円の儲け(粗利)をもって市中銀行に販売している。
これが、日本銀行の利益の源泉にちがいない。

江戸時代までは、ときの政権が発行した「政府通貨」が流通していて、「にせ金」はつくっても御法度だったし、鋳造技術がない時代は、「唐銭」という外国からの輸入品が流通していたけれど、外国貿易自体が政府管理下にあった。

明治になって、日銀を設立し、「政府通貨」をやめて、中央銀行に「通貨発行権」を独占させたけれども、その日銀株はだれがどれだけ保有しているのか?がよくわからない株式会社なのだ。

もっとわからないのが「FRB」で、アメリカ連邦政府はこの銀行に1セントも出資していない、完全なる民間企業なのである。
ために、中央銀行なのにアメリカ人のための金融政策ではなく、FRB自身に利益があることを優先させるという「闇」がある。

もちろん、FRBができたのは歴史的にいつかはわかっているが、なぜに「民間出資だけ」なのに「中央銀行」機能があるのか?についての明快な説明はないのである。

そんなわけで、トランプ氏と議会共和党の勝利は、世界経済の根幹を揺るがす問題提起となる可能性がでてきた。

マーガレット・サッチャーは、初の首相就任においてハイエクの自由主義思想が自分のベースにあるから、これからすべての政策立案はハイエクによると宣言した。
それで、反対派は「新自由主義」をねじ曲げる定義に置き換えて、いまに至っている。

あたかも、自州主義=リベラルを、左翼=グローバル全体主義というまるで別ものに言い換えるのに成功したかのごとくである。

なので、トランプ氏とその派は、ハイエクのハの字もいわず、ハイエクの「通貨自由発行論」の通りにこれを実現化しようとしているとみえる。
そのためのデジタル技術(たとえば「ビットコイン=ブロックチェーン技術」の活用)も、イーロン・マスクが担当するのだろう。

いわゆるわが国で使用されている既存の「電子マネー」は、ブロックチェーン技術を用いるのものではないから、個人情報保護の観点からしたら、ズブズブの危険があることは何度も書いてきた。

逆に、発行母体に悪用され、たとえば政府批判の言動と連携をして統制の対象にもなれば、たちまちにして『1984年』の悪夢が現実化する。
じっさいに、これを狙うと公言しているのが、「ビルダーバーグ倶楽部」だ。

もちろん、この倶楽部の下部機関「世界経済フォーラム」のエージェント、河野太郎が強引に進めた「マイナンバーカード」も、ブロックチェーン技術を用いていない「ザル」だから情報漏れが絶えないのである。

すると、トランプ政権は、アメリカにおける「グリーン・カード」とか、市民であることを証明する「社会保険番号」の証明を、ブロックチェーン化する策を実行するのではないか?

どうやら趨勢は決まった選挙で、民主党にのこる手段は、「不正」しかないが、これを吹き飛ばす結果になると予想するので、一喜一憂はないのだけれども、FRBの廃止ともなれば、いったんは太平洋を越えて日本にも大津波がやってくるにちがいないのである。

日本の衰退は「平均への回帰」だ

一般的に「平均」というと、それは、「算術平均」のことをさす。

このほか、平均には、「幾何平均」とか、「調和平均」、「二乗平均」といろいろ種類がある。

算術平均を定義すれば、対象となるすべてのデータを加算して、その総和をデータ数で割ったもの、で小学校で最初に習う「平均」だから、生活上でもっともよく用いる。

商売の在庫管理などで用いる、「移動平均」は、対象となるデータの時期を移動させて計算することで、変化を均して見ることができるので実務で重宝されている。
かっこよく「季節変動調整済み」ということもある。

なお、パソコン時代のいまなら、「算術平均」を表計算ソフトで計算するときに「グラフ」も表示させると、山・谷の具合からデータの性格や特徴がわかるので、習慣化すべきである。

幾何平均は、伸び率、が対象になるもので、たとえば年率2%で伸びた翌年に3%となった場合の、この2年間の平均の伸び率とか金利でいう年率は何%だったのか?と年率換算するときに用いる。

√((1+2%)✖️(1+3%))=1.02498 → 約2.5%

この例では、(2+3)➗2=2.5とおなじ結果のように見えるが、微妙にちがうことに注意することが重要で、元の金額をおおきいと驚くほどの誤差になる。

世にいう「金融電卓」は、幾何平均も定式化したソフトを積んでいる。

明治から近代のわが国の「経済史」では、ザッと3回の高度上昇トレンドがあった。
・明治の『坂の上の雲』でいう不平等条約撤廃までの時代
・大正の第一次大戦での「大戦景気」
・昭和の後半、戦後からバブルまでの「高度成長期」(「日米地位協定」という不平等条約が撤廃できない時代)

すると、じつは「独立国」として、すさまじかったのは、大正期の「大戦景気」だけなのである。
明治期は英国の支配(これを「日英同盟」とあたかも対等だと錯覚させる)であったし、昭和の後半も「日米同盟」と、おなじパターンで支配を隠蔽している。

にもかかわらず、現代日本人の誰もが、「日米地位協定」なる、領事裁判権の放棄状態を、江戸幕府への蔑みと同等にもかんがえてはいないし、明治期のひとたちよりもその理不尽を実感することもなく生きている。

これはどういうことか?を問えば、「歴史」が受験偏差値の対象になって、日本や日本人のやってきたことの意味を、エリートほどかんがえないことがふつうになったからである。
むしろ、そんなことをかんがえる暇があったら、別の教科を勉強した方がよほど、「効率的」だからである。

つまり、そういう制度設計の中で、最高学府の選択がされているから、どんな学問を、どの学校にいる、これという教授、を選ぶのではなく、単純に偏差値で入学できるギリギリを狙い、結果的にとある学問分野を選択することになった、という順になるようにさせられている。

これで、世界の同学年生たちを相手に競争できるのか?といえば、ムリである。

それで、学習指導要領の中身を「強化」したが、受験制度を変えないので意味がなく、しかも、意味がないのを承知で改革をやったことにしている、わざとなのである。

だから、衰退のスピードはこれからもっともっと加速すると予想できる。

高度成長が日本人だれでもに豊かさを実感させたのと真逆で、こんどはだれにでも貧しさ、貧困を感じさせるようになる。

それもこれも、政治家の多くが外国(企業)のための政治をやる、「売国商売人」に成り果てたからだが、こうした連中を選挙で落選させることもできなくなったのである。

よって、経済発展の成長グラフの「山「と「谷」を意識してみれば、平成時代からずっと「谷」にあって、なんのことはない、かつての昭和の「山」を整地造成すなわち、平均化しているのである。

けれども、上に書いたように、衰退のスピードが加速するので、おそらく「平均水準」も押し下げる。

「どこまでおちるぬかるみぞ」の事態にあるのだけれど、ロープを投げて助けてくれそうななのがトランプ派だということにも気づかないのは、すでに「知能」も平均水準から落ちているからなのだろう。

生き残った自民党議員

大敗とはいっても、超スポットの議員個々のはなしとなるとあんがいと「圧勝」している。

「開票」だけでなく、投票プロセスにおける透明性がないのは、アジア各国に比べても、いまや先進国とはいえないのがわが国になっている。
アジア各国では、これらのプロセスにおいて、映像を公開しており、投票箱の厳重管理は美術品並なのだ。

この点で、わが国の選挙が、アメリカのように機械を用いずに「手作業」集計だから安全なのだというのは、根拠がない。
疑いだしたらキリがないことへの「具体的対策」がほとんど採られていないからである。

つまり、信用しろ、という「お上」の目線そのものになっている。

もちろん、マスコミ報道における、「開票速報」の根拠である、「出口調査」の統計処理の有効性も疑わしい。
全部の投票所の出口が対象ではないし、有権者全員が対象でもないのは、「サンプル抽出」なのだというのは理解している。

ならば、「信頼区間」がそれぞれの選挙区でどう異なるのか?についての、調査概要も伝えるべきであるのに、なんだかバッチリ全部が計算通りなのは、まったくおかしなことなのである。

なぜなら、わたしの人生経験上、一回しか投票後にマスコミ調査員の質問(NHKと、とある新聞社の二社だけだった)を受けたことがないけれど、天邪鬼なわたしは、それぞれにウソを回答したのである。

こうやって、外れ値をつくることで、「信頼区間」を狭める小さな努力をしたのだが、マスコミは、あたかも出口調査で、全員が正確な投票内容を回答しているというのであろうか?との大疑問があるのだ。

前にも書いた通り、政府のプロパガンダ機関になったマスコミと選管という役所が事前に「談合」しさえすれば、選挙結果はどうにでもなるのである。

さて、いったいわが国はいつから「売国議員」なる政治家を出してきたのか?とかんがえると、結局のところ明治維新の謎にまではなしは戻る。
「攘夷」を実行した薩長が、英国艦隊やら各国連合の艦隊に大敗して、ここから180度の転換で「開国」が「倒幕」に変容する。

日本人初の「武器商人」となった坂本龍馬は、仕入れ先が長崎のグラバーで、そのグラバーはフリーメーソン会員にして、アヘン貿易で暴利を得たジャーディン・マセソン商会の代理人だったことは、歴史的事実である。

開国後、ジャーディン・マセソン商会は、横浜に支店を置く(大桟橋前にあるシルクセンターの角に「跡地」の説明がある)が、これがわが国における「外資系企業」の初であり、そのまた初の日本人支配人が吉田茂の養子先の義父なのである。

そんなわけで、麻生太郎が夢見る、「大宏池会」が自民党主流派になって、岸信介の「清和会」を潰しての総選挙になったのは、その前に自民党総裁選でよくわかった。
つまるところ、「裏金問題」を利用したクーデターが成功したのだが、だれがこれを主導したのか?といえば、アメリカ大使館ではないのかと疑うのである。

もちろん、安倍晋三が亡くなった直後に、実弟の岸信夫も健康上の理由から政界引退するということになったのも、ひそかに疑っている。

わが国の宗主国は、英・米の二国であるが、強大なアメリカのなかでも民主党の支配は、前回の「9000人の人事を要する政権交代」で指摘したように、さまざまな分野に蜘蛛の糸のように張り巡らせたネットワークがある。

これが、国内だけでなく外国にも影響させるのは、「国務省」の担当だし、わが国には、「統治者」としての米軍が駐留している。

いわゆる「軍産複合体」に注意を促したのは、アイゼンハワー(共和党)だったが、後任のJFk(民主党)は、いまの甥、RFKがトランプ派になったように、「軍産複合体」こそが敵であると認識している。

つまり、共和党主流派(ブッシュ家=いまでは「RINO」)と民主党主流派は、この「軍産複合体」の代理人でしかなく、それがわが国の自民党に浸透したのである。

あからさまになったのは、小泉純一郎政権からで、実行の「参謀長」は、竹中平蔵である。

ようは、この路線が継続しているがために、わが国は衰退しているのであって、残念ながら「選挙が盗まれている」深刻は、気づいたアメリカよりもぜんぜん気づきもしない日本の方がはるかに重いのである。

9000人の人事を要する政権交代

一口に「政権交代」といっても、お国によって意味がちがう。

アメリカ連邦政府の場合、約9000人の人事異動(大量解雇含む)がある。
ようは、9000もの役職ポストが、新旧交代するということである。
そのリストが、『 The United States Policy and Supporting Positions』だ。

表紙の色から「プラムブック」とよばれている。

あと一週間になったアメリカ大統領選挙は、すでに「トランプ2.0」が確実視されているので、興味は「政権交代の実務」になってきた。
就任式までの数ヶ月で、大規模な人事配置を成功させなければならないからである。

この意味で、「トランプ1.0」で世界に衝撃を与えた、「わがままな大統領(暴君)」ということの実体が、「政権交代人事の失敗」に由来したことがわかってきた。
あのころの彼は、当選を意識していなかったために、「政権移行チーム」を、当選後に発足させるという、痛恨のミスをおかしていたからである。

しかも、実業家だった彼には、「ワシントンの沼」の実体を知る由もなかった。

だが、「トランプ2.0」では、しっかり学習して、昨年から政権移行チームを発足させているし、そもそも大統領退任直後からフロリダの別荘にて、人事研究をはじめていた。

「人事は万事」なのは、企業経営の鉄則だが、国家運営でも同様なのである。

おおきく分けて、アメリカの官僚ポストには、3種類ある。
・連邦上院の承認が必要なポスト(日本でいう「閣僚級」と「特別職国家公務員」級)
終身官僚(SES)の資格者がつくポスト(日本でいう「国家総合職」級)
・「猟官制」によってつくポスト

第7代大統領だった、アンドリュー・ジャクソンが定着させた「猟官制」は、そもそも法の執行機関たる行政官僚に政策立案力などは余計で不要であるという理由があった。

このために、アメリカでは「バカが公務員になる」という常識があった。

優秀な学生は、超優良企業に就職するか、あるいはもっと優秀な学生は起業するのが常識で、公務員試験を受けるのは行き先のない成績劣等のおバカだといわれていたのである。

しかし、敗戦国の日本の官僚制が、日本経済をけん引しているという驚くべき勘違い(わざとか?)を理由に、猟官制でやってくる無能な管理職を制御するための屋上屋たるSESを民主党政権(カーター時代)が創設したのである。

これを悪用急増させたのが、オバマで、彼の8年間で数千人を新規採用している。
これを、「オバマ・チルドレン」というように、左派に偏向したエリートを大量採用した。

こうして、ハーバードやら何やらの世界的有名校が、SES供給源として、みじめな「東大化」をしたのである。
それもこれも、グローバル全体主義をアメリカで実現するための準備なのである。

なので、ディープステート(陰の政府)とは、このSESを中核組織としてアメリカ政府を牛耳っているといって過言ではなく、彼らの排除を「トランプ1.0」から発言しているのは、それが現実の存在だからである。

すると、上記9000人の中の半数近くが、SESだとかんがえられる。
くわしくは、「プラムブック」を確認する必要がある。

ところが、SESの採用条件が、「終身」なので、解雇しようにも面倒なことになる。

日本の官僚制よりもより強力な官僚制にするのがこの制度をはじめる目的だったから、日本にない「終身制」にした経緯があるし、超有名校の生徒を引きつけるために、新任からの年収も大企業の部長・役員級としたのだった。

それでも、「トランプ2.0」では、しっかり「SESも解雇する」と明言しているので、激しい攻防(身分確認のための集団訴訟?)となることがいまからでも想像できるのである。

それで、偏向エリートの供給源である、有名大学に補助金を出す「連邦教育省の廃止」も、公約になっているのは筋が通っている。
逆に、バイデン政権が学生ローンの援助をやろうとしたのは、SESと供給源の大学に対する手厚い保護のことだった。

しかして、第二次大戦の原因にも、アメリカ投資銀行の陰があって、彼らが大量資金投入した軍需産業の利益向上のためだったことが、ウクライナ支援による利益享受の構造とかわらない古典的なやり方だとわかってきたのである。

それも、いまよりずっと大胆で、アメリカばかりかドイツと日本の軍需産業にも大規模投資していたので、これら三国の若い兵士は、自国で生産された武器の餌食となった悲惨がある。
これを背後で操ったのが、ウインストン・チャーチルである。

こうしたパターンが繰り返されるなか、小泉純一郎がいったように、「古い自民党をぶっ壊す」という名目での、たとえ見せかけにしても国益優先の古い発想をかなぐり捨てて、外資のいいなりこそが支配層だけを儲けさせるとして、大胆な売国政党に衣替えした。

こうして急速に国民が貧乏になったわが国で、『共産党宣言』にある、「教育無償化」が礼賛されるようになったのである。

そんなわが国のことは横におき、アメリカでは大統領の政府内人事をフォローするのが連邦上院なので、この議席数をいかに確保するかだけでなく、RINO(名ばかり共和党員)の代表で、上院院内総務をもって君臨していた、ミッチ・マコーネルの後任人事も重大な意味をもっている。

つまり、政権交代とは、政党や構成員の政治家が入れ替わるだけなんてものではなくて、政府そのものが入れ替わるものだと、トランプ氏は見せつけてくれるだろう。

「小さな政府」を想像できない

日本語では、あたかも低予算政府やらを想像させるような言葉であるけれど、英語でいう「Limited Government」の方が適切なイメージになる。
これは、オリジナルが「Limited Government」で、それを日本語にした順番からの伝言ゲーム的な勘違いを誘発するからだろう。

もちろん英語でも、「Small Government」ということがあるので、「小さな政府」という訳は、こちらからの直訳だろう。

英語を、「英国(さらに連合王国のなかのイングランド)の言葉」と定義すれば、それはそのままこの国の歴史を背負っている言葉であるといえるから、そこからあらためて「Limited Government」とはなにか?を検討すると、王権を制限してきた歴史があらわれてくる。

日本には幸いにも、このような歴史がない。

あるのは、政権交代であって、中国にあった姓氏革命のごとき転覆は、源平合戦が似ているが、だからといって朝廷が滅亡したものではない。

そうやってかんがえると、英国の王朝と中国の歴史は、日本よりもよほど似ている。
ただし、ピューリタン革命と名誉革命があったイングランドは、決定的に中国ともことなる。

王権をどうやって制限するのか?は、その後の自由経済にとっても重要な原点になっていて、それが「オーストリア学派=ウィーン学派」によって精錬される。
ところが、この学派は現代の「主流派(アメリカ経済学会を中心とする)」からは、異端扱いされている。

経済学に数学を持ち込んだ、ポール・サミュエルソンの『新古典派総合』なる、ケインズ経済学の発展形をもって、アメリカに社会主義経済が定着したのである。
もちろん、ウィーン学派には、ケインズと論戦したハイエクがいる。

わが国は敗戦によって、アメリカによる征服が固定化されていることは、この間の衆議院議員総選挙でよくわかったのだが、よくわかったひとが少ないために、ああした結果になった。

それが、あと一週間にせまった大統領選挙でアメリカ民主党の地滑り的大敗北が予想されているのに、相変わらず共和党トランプ陣営の主張が日本人に理解されていない。
それもこれも、日本が『無思考国家』になったからである。

これを、「イネプトクラシー:Ineptocracy:無能者の支配する国家体制)」という。

わが国は、バブル崩壊以来、イネプトクラシー国家になった。
この国家体制の特徴は、文字どおり無能者による政治のことであるが、それは民主主義の原則にてらせば、主権者である国民の無能をさすことに注意がいる。

ゆえに、無能集団の国民の中にあって、そこから選ばれる者も無能者ばかりになって、とうとう国富を食い尽くす「蝗害」のようなことがおきるのである。
かんたんにいえば、「バラマキ」のことだが、これがケインズ理論と結合すると、有効需要が高まるはずという詭弁によって、一部の利権者が潤う体制となるのである。

しかし、それがどんな「乗数効果」をうみだしたのか?むかしの「経済企画庁」なら計算して発表したろうに、いまはなにをやっているのか?
おそらく、バラマキの対象範囲が狭すぎて、効果なしと出るのでだんまりを決めているにちがいないのは、与党から睨まれるのがうっとうしいからなのだろう。

対して、トランプの共和党は、自由主義を起点に置くから、政府による国民からの収奪(増税)を、私有財産権への侵害(攻撃)だとみなす。
だから、第一に「減税」を主張するのである。
そうやって、第二に「バラマキ」のための蛇口も閉めて、個人や企業活動を活発化させる。

これが、「小さな政府」の姿である。

「トランプ政権1.0」によって、オバマ時代の不況から空前の好景気なったのは、この政策が効いたからだし、レーガン時代もこれで乗り切ったのである。
しかし、わが国自民党政権の中曽根康弘内閣は、「土光臨調」の看板を利用して、中途半端な民営化だけでやった気になり、肝心要の「減税:税体系のシンプル化」に着手することはなかった。

つまり、明治以来、日本人は「小さな政府」をしらないから、想像もできないのである。

こんな制度上の前提条件があるのに、GHQが設計したひどい教育制度で国民が「無能者」にもさせられたので、絶望的なイネプトクラシーになったといえる。

過半数を切った自公政権がどう「野合」するのか?の組合せ論になったけれども、とにかくアメリカの大統領選挙によってわが国はおおきく影響される。
トランプ派共和党にもっとも近しい日本の政党は、参政党しかないので、衆議院でたった3議席でも「キャステキングボート」を自称するのは彼らとの窓口になるからである。

それをぶち壊したい勢力(アメリカ民主党のポチたち)が、表面的現象だけをなぞってイネプトクラシーを増長させる努力をしているのである。

懲りないのではなくて、たんなる家畜の管理者になりたいだけの愚か者たちである。

Madison Square Garden での熱狂

日本の総選挙開票状況なんてぜんぜん気にしないで、同時刻の地球では驚くべき熱狂があった。

そもそも共和党の大統領候補が、東海岸の民主党の牙城、ニューヨーク州どころではないその本丸、ニューヨーク市マンハッタンのド真ん中にある「Madison Square Garden」で選挙キャンペーン集会をやっても、だれが集まるものか?という常識をひっくり返して、開場の前日から徹夜で順番待ちするニューヨーカーが多数いただけでも歴史的ニュースなのである。

じっさい会場にはキャパ満杯の2万人がおり、会場外には7万人以上があつまった。
それで全参加者の47%がトランプラリー未経験者だと、同エリアにWi-Fi接続した各自の端末に保存されている行動記録情報から分析された。

この技術は日本企業が開発したものであるから、まっ先に日本国内のコンビニや有名デパートに採用されて、入店した顧客個人がもっているスマホの行動記録にアクセスしてビッグデータとしてマーケティング分析の対象となっている。

スマホが自動収集する位置情報記録は、所有者がしらないうちにほとんどの個人生活を特定し、分析できるまでの正確さを持っているが、個人情報そのものにアクセスしてはない。
わたしが、「LINE」「Payなんとか」を利用しない理由は、この方法とはちがってもっとあからさまな個人情報(購買記録とか)を勝手に盗まれるからだと書いてきた。

さてこの熱狂に、民主党(言いだしっぺはヒラリー・クリントンらしい)は傘下のテレビ局やらに、戦前のむかしにこの会場であった「ナチスの大会」記録を引きあいにして、トランプはヒトラーだというキャンペーンを打ちだし、これをまた日本のマスコミがなんの注意も加えずにコピーして垂れ流している。

そうした歴史をいいだしたら、フランクリン・ルーズベルトも、ビル・クリントンも大統領選挙の際に、ここで選挙集会をやっているのをどう説明するのか?

ここは、世界都市ニューヨークを代表してきた巨大アリーナ、「Madison Square Garden」なのだから、政治家だけでなくエンタメも「時のひと」が集客に利用する当然がある。

さてそれで、登場した応援弁士たちの顔ぶれも豪華であった。

なかでも注目は、民主党を追い出された共通の経歴をもつふたり、ロバート・ケネディ・Jrと先週、共和党に入党宣言した、ハワイ州選出の民主党連邦下院議員(4期)で、さらに前回の2020年の大統領選挙では民主党予備選で最後までバイデンと並んでいた、トゥルシー・ギャバードが登場し、ほぼ民主党支持者ばかりのはずの会場を熱狂させたのである。

追い出された、というキーワードでは、タッカー・カールソンも熱い演説をやった。

将来の「初の女性大統領候補」にもっとも近いと評判の、トゥルシー・ギャバードの出身地であるハワイには、残念ながら、トランプ氏は選挙人票が少ないためにでかけていない。
ここは、オバマの出身地(じつは出自は不明)であり、また彼の豪華な別荘もあるが、あの大火災では被害を免れているラッキーがある。

いまや、世界中で「社会調査」の信用度がおちて、単なる世論誘導の手段になってきているために、しかける側も実態がわからないという状況になっている。
だから、トランプ陣営がいまさら敵陣のド真ん中であるニューヨークに乗り込んで、たかだか数万人を熱狂させても「なんぼ?」の結果になるかはだれにもわからなくなっている。

しかし、そこは先進国のアメリカなので、奴隷化・家畜化が進行している日本とちがって、ネットの発信力もちがうし、受けとめる側の感受性もまだ高いようだ。
とくに、民主党支持者がおおい、都市部における影響力=伝染力があるために、ニューヨークでの熱狂が他の州や都市に飛び火する可能性は十分にある。

これに、勝ち馬に乗るのと、視聴者の数が稼げることからの、ちゃんとした商業主義が首を出して、民主党応援団だったマスコミが急速に「トランプへの鞍替え」も開始しているし、大統領選挙と同時に行われる議員選挙では、民主党候補が自身を「親トランプ」だとするキャンペーンをもって、ちゃっかり人気便乗をはかっているのである。

このあたり、儒教的道徳感が残る日本では逆効果となろうが、アメリカ人の「肉食の思想」では、気にしない。
なにがなんでも「勝てば官軍」なのであって、露骨だろうがなんだろうが負けてすべてを失う行動選択は、「肉食の思想」の有権者からもバカ扱いされるのである。

それは、選挙資金集めの制度が、わが国よりもずっと緩いこともあるからで、こないだはビル・ゲイツが個人のポケットからこっそりと、5000万ドル(約75億円)を「領収書を必要としない」選挙資金として合法的に民主党へ寄付していたことが発覚したことでもわかる。

総額で50億円ほどだった、わが国の自民党「裏金問題」のなんとちんけなことか!

そういえば、前回2030年の大統領選挙では、フェイスブックのザッカーバーグが、やっぱり個人で500億円を民主党に寄付していたのは、本人も認めている。
これが、不正行為の源泉の一部になったともいわれている。

だが、「一部」なのだ。
アメリカの選挙は徹底的な金権選挙だ。
ゆえに、選挙そのものがビジネスになって、集金から宣伝製作・家庭訪問まで専門の職業が存在するにまでなっている。

日本の公職選挙法が逆手の「柔術」的なのに対して、アメリカは順手の「合気道」的だ。

今回は、イーロン・マスクが共和党の応援で、残り2週間ほどの期間に、合法的な新規の有権者登録者に抽選で毎日、100万ドル(約1億4千万円)を差し出すとしたのは、日本では御法度だが、それでも上記のひとたちと対比したらあんがいと小さな金額なのである。

これが合法なのは、当選者がじっさいに選挙投票をするかしないかも本人の個人的な判断で、どこにも強制がない自由だからという理由である。

まったくもって、「肉食の思想」のひとたちは、大胆かつ豪放なのである。

このことで日本人をうんぬん言いたくはないが、「草食」の弱々しさが目立つので、これがまた精神的にも彼らとの競争で負ける経済衰退の理由になっているのだろう。

そんなわけで、トランプ陣営はこないだ書いた「地滑り(landslide)的勝利」を狙い始めていて、31日だかにやはり歴代共和党候補者が選挙集会を開催したことがない、「ニューメキシコ州」でやると発表された。

怒濤のようなスケジュールをこなす、78歳のパワーは、すこしあやかりたいという気もする。

いい意味で発想に柔軟性もあるトランプ氏は、「TikTok」のアカウントも持っているが、いまアメリカではトランプ氏が登場するときと退場するときの音楽にあわせて踊るあのダンスが、大ブレークしている。

投票を終えた老若男女のひとたちが、投票済みの半券をカメラに見せてこのダンスをはじめるのである。

こういうのが大流行するというのは、「隠れトランプ支持」でないと攻撃された前回とは雲泥の変化で、もう結果も見えているといえるのである。

それゆえに、日本の(強制的=矯正)変化も来年は必定、ということが具体的にスケジュール化されるということなのである。