短期債務1500兆円の償還

会計周りの用語で、「短期」とは、1年以内、という意味である。

貸借対照表(バランスシート)に、「現金・預金」が、短期資産に計上されるのは、現金は当然として、いつでも現金に引き出し可能な預金も、現金扱いにするからだ。

逆に、右側の債務に、「短期債務」とあるのは、1年以内に返済しないといけない借金を意味する。
なので、短期債務 ÷ 短期資産を計算すれば、その企業が倒産しない「安全性」がわかるのである。

「長期」とは、1年を超える期間のことなので、長い目でみた場合の企業の安全性は、「固定長期適合率」として、固定資産 ÷ (自己資本+固定負債) × 100 でえられる数字が100を下回ほど安全という意味となる。

ブルームバーグが8日に伝えたのは、アメリカ国債の利払いが、1兆ドルを超えた、というニュースだった。

バイデン政権がたった2年で大盤振る舞いしたら、アメリカ国債残高が爆増して、いま33兆ドルになっている。
円に換算すれば、×150円=4950兆円だ。

このうちの10兆ドル(1500兆円)が、なんと、「短期債務」なのである。
つまり、アメリカ政府は、この10兆ドルをなんであれいったん償還(返済)しないといけない。

来年の世界経済最大のリスクが、この償還がスムーズにいくか?いかないか?にかかっている。
もちろん、ここでいう「スムーズ」とは、従来の保有者が借り換えに応じてくれるか?という意味である。

要は、これまでの国債を償還した形であっても、「そのまま」あたらしい国債を購入してくれる、ということである。

もしも、あたらしく買ってくれないとなったら、アメリカ政府は通常の方法で資金繰りができなくなる。
外国が買ってくれないなら、国内で消化(売る)するしかないということになる。

なんだか、ディジャブなのは、ギリシャの破綻を思い出させるからである。

破綻した企業の「再生事業」をやってきたわたしからすると、「破綻」は悪いことばかりではない。
もちろん、破綻しないに越したことはない、ということでもなくて、ちゃんと経営していれば、ふつうは破綻なんかしない。

ちゃんと経営できないから経営破綻するのだ。

なので、「悪いことばかりではない」という意味は、そうした悲惨に企業を追い込んだ、経営者たちに経営の場から退場してもらえることに尽きる。

もちろん、そんな企業なら従業員にも痛みを伴うけれど、これは経営者に意見やら楯突くことができなかった、あるいはしなかったことの報いともいえる。

まぁその前に、破綻させるような経営者は、事ここに至っても従業員に情報提供しないのが特徴だ。

破綻後の事業継承にあたっての従業員説明会の場(いわば「この期に及んでも」)でも、会社がいまどうなっているのかについてまったく無知なひとがいるのは、何もかんがえないで機械のように働いて、給料さえ得ればいいとやってきたのがよくわかることだ。

しかしながら、人間をそこまで無関心にさせるのも、経営者の悪しき手腕だったといえるから、心から気の毒におもえるのである。

とはいえ、自身の身分確保(雇用の継続)と、退職金の一時払いでリセットし、新会社での退職金計算が新規雇用として開始される程度の痛みだ。
経営破綻したのに、退職金をいったん支払うまで資金を用意するのは、その後の再生事業に従業員たちの「心の入れ替え」が不可欠だからである。

動画で観るいまのアテネの様子は、なかなかの荒み具合ではあるけれど、数字上でギリシャ経済はずいぶんと立ち直っているようにみえる。

わたしがエジプトに住んでいた80年代の前半から、帰国してちょうど10年後に再度訪ねたときの変化は、戸惑いこそ感じたほどで、あのエジプト人たちが、時間を守っていたのが信じられないことだったのだ。

経済成長の度合いは、カイロの街中に高層ビル群ができたことでもわかったが、ずっと南の郊外に住んでいたわたしの家だった場所に、とうとうたどり着くことができなかった。
街のランドマークさえ変わってしまったからだった。

こうしたことは、あたかも途上国だから、という常識があるが、先進国にはあり得ない、というのもまちがっている。
あたらしいタイプの大統領が誕生した、アルゼンチンは、『エビータ』(1996年)でわかるように、むかしは南米1位(世界5位だったこともある)の経済大国だったのである。

まさに、平家物語のいう真理、「驕れる者も久しからず」、「盛者必衰の理をあらわす」なのだ。

そんなわけで、アメリカ人は、10兆ドルの返済をどこまで意識しているのだろうか?とおもうと、あんがいと破綻した企業の無知なひとと重なるのである。

もちろん、わが国の状況も似たようなものだが、気になるのは、先の米中首脳会談だった。

15日、APEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議に合わせ、アメリカのサンフランシスコで行われ、マスコミは「中身がない」とか「落とし所がない」とか、あるいは、バイデン氏の「独裁者発言」だけが目立っていた。

こうした、おとぼけ記事を疑うのである。

アメリカ国債の保有残高をずっと減らし続けているけど、日本に次ぐ巨額保有者である相手に、「短期債務」の償還義務がある立場にしては、まったく辻褄があわないからだ。

「買い換え」を懇願したのではないのか?

これがうまくいかなくて、腹いせの一言であったのだろう。
相手がこの失敬に動じなかったのは、ひざまずいたのが誰だったかを示すものだ。

しかし、その提示した条件に、まさか、日本を売り渡す(台湾は当然)、こともあったなら、岸田氏が慌てて急遽、年明けに米国訪問する意味もわかるのである。
いかにぼんくらな外務省でも、これぐらいはやっておかないとアリバイがなくなる。
カネがない財務省と、財源をつめるのに時間を見計らったにちがいない。

「ぼくを売らないで、もっと買い増しするから」といって、立場を確認しに行くのだろうけど、相手は日本を征服した、民主党なのだ。

そのために増税するのは、もはや日本人が日本人でいられるのをカネで買うしかなくなった、ということなのだから、せめて岸田氏は正直に国民に情報提供するとよい。

歴史に汚点が永久に刻まれないように。
これが、与党「歴代」の結果なのであるから。

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