トランプ政権2.0の猛スピード政策実行力に、日本政府はまったくついて行けない。
これはどうやらEUもおなじである。
岸田前首相は、返り咲きを狙っているらしいけれども、この最長記録をもつ「外務大臣」経験者は、「アンチ・トランプ」を隠そうともしないグローバル全体主義者だ。
欧州主流派とウマが合うのも、思想がおなじだからである。
もちろん、自民党自体がグローバル全体主義政党だし、ながく連立相手の公明党は、はじめからグローバル全体主義政党として発足している。
むかしは、「保守」と「革新」の間に、「中道」という三つの区分がされていて、気がつけばこうした「誤魔化し」に騙されてきた。
なにせ、既存政党のすべてが、グローバル全体主義だからである。
おなじ敗戦国のドイツも「しかり」であるけれど、有権者には野蛮人だったゲルマンの血があるために、日本人多数のような完全奴隷化には至っていない。
おそらく、メルツは暗黒卿として、むき出しの邪悪な政策を打ち出すだろうが、それがかえって仇となるのも、ゲルマンなのである。
そうやってAfDを育てている。
振り返ってわが国にはそもそも「選択肢がない」ことになって、シラケた国民は選挙にさえ行かなくなり、ひいては「自・公・立憲」政権が続くことになったのである。
ときに、日本ではぜんぜん評価されていない、トランプ大統領一行の「中東歴訪」(13日から4日間:サウジ、UAE、カタールの三カ国)では、驚異的な経済協定の締結に成功し、アメリカに多大な投資がおこなわれることが決まった。
総額にして、ざっと4兆ドル(600兆円)がこの三国からアメリカに流入する。
さらに、政治的には「シリア制裁中止」を宣言し、アラブ人たちを熱狂させた。
そしてまた、いまの繁栄が各国の努力と実力によるモノで、決してこれまでの上から目線での欧米による成果ではないことも強調した。
まことに見事な演説であった。
わたしは、このブログで、トランプ政権2.0は、「マインドマップ」を使っているはずと書いたが、世界情勢をマインドマップに落とし込んで、スケジュール調整までしているのは確実だとかんがえる。
その成果が、ここにも現れているとしか言いようがない。
4月2日の「トランプ関税」については、そのはるか前の当選後にフロリダの別邸、マー・ア・ラゴにIT長者たちを招待し会食を続けていたときに、A.I.を用いて関税の影響シミュレーションを依頼していたことが判明した。
なんと、株価の動向などの予測は、ドンピシャだったという。
だが、財務長官のベッセント氏を含めて、トランプ政権2.0には、多数の成功した投資家たちが集合している。
市場を知り尽くした彼らが描くシナリオを、マスコミが喧伝するように、あたかも「思いつき」だと強弁するには無理がある。
つまり、思いつきでやっているかにみせて、まったく計画的なのである。
それに、マスコミが強調する「中共の勝利」ではなく、アメリカ側の仕掛けたゲーム(たとえばチェスにしたら)に無理やりのせられて、そのまま「詰んで」しまったのである。
「フェンタニルの製造・密輸」をやめてくれと「お願い」したのを無視した経緯からの「論理」に対抗できないようにした「段取り」の勝利ということだ。
身動きがとれなくなった中協側には、もはや打つ手はない。
だが、ホワイトハウスが正式に発表したように、例のウィルスが漏れたことによる、「損害賠償請求」という「王手・チェックメイト」は、まだかけていない。
ようは、「寸止め」状態で、放置されて固まったままなのである。
トランプ政権2.0は、こうしたプレイ方法をとっているので、ウィトコフ大統領中東特使は、プレイヤーに見せかけてじつはそうではなくて、「駒」に徹している。
その「駒」が、4年以上前のトランプ政権1.0での歴史的成果たる「アブラハム合意の拡大」について、三カ国歴訪前に言及していた。
ちなみに、このウィトコフ氏の経歴も 不動産投資家 、弁護士 、外交官と、まっ先に「投資家」の肩書きがくることに注意したい。
わが国の、新卒採用外交官僚とは、比較対象にすらならない社会経験の持ち主たちが集められている。
さいきんでは、あろうことかバイデン民主党政権の重鎮たちが、トランプ政権に加わって仕事がしたい、と複数人が発言しで民主党支持者たちの間で物議をかもしている。
これぞ「仕事」というものだと、憧れをもって評価されるようになっている「ざまぁ」がある。
さて、そのウィトコフ氏の「言及」とは、なんと、今後2ヶ月以内に、シリア、レバノン、リビア、アルメニア、アゼルバイジャン、サウジアラビアといった6カ国の名前を挙げて「合意に達する最終調整中」と言ったのである。
それでか、マスコミは、イラク首相の発言、「アブラハム合意には参加しない」の方を強調している。
しかし、戦争屋にメチャクチャにされたイラクだから、トランプ政権2.0にどう対処するかは、当然に流動的であろうし、隣国のイランとの関係が安定しているわけでもない。
「アルメニア」と「アゼルバイジャン」はイランに接するが、両国はソ連時代からの紛争を抱えている。
つまり、両国が同時にアブラハム合意に加われば、和平についてもおおきな進展となり、ロシアともどのような水面下での連係をしているのか?とかんがえるのは当然であろう。
ここにも、米・露蜜月の表れがある。
しかも、アメリカはイランと交渉中であることを認め、イランの最高指導者ハメネイ師もこれを追認している。
戦争屋たちが仕込んだ、イランとの戦争も不発に終わる可能性がある。
もちろん、イランの背後にはロシアが控えている。
そんなわけで、中東が不可能といわれた「和平の時代」を迎えようとしている。
これは、長きにわたり紛争の原因を作りつづけた英国の退潮のおかげでもあるし、ピッタリのタイミングでトランプ政権2.0が成立したことの、人類史上と言ってもいいほどの大変化がはじまっていることを意味するのである。
「駒」に正確なセリフ回しとタイミングを指示しているのは誰か?
トランプ大統領ひとりではないことも、確実であろう。
しかし、それは見事なトランプ氏の「マネジメント」なのである。