「ダーチャ」がほしい

5~8日にサンクト・ペテルブルクで開催された、「ロシア国際経済フォーラム」でプーチン大統領は、「ロシアの貿易総額の4分の3は(制裁に加わっていない)友好国が占める」と述べたことは日本でもニュースになっている。

強がりとも空威張りとも解釈するひとがいるだろうが、おそらくこれは実際のことで、BRICs経済はG20の総額を上回る経済規模になっているし、日本の農家なら深刻な「化学肥料の高騰と不足」は、逆にロシアからの原材料が禁輸になっているために発生している人災なのである。

このプーチン演説でニュースにならなかった、もうひとつ、日本人には気になる「ロシアは日本を抜いてGDPで世界4位になった」というのはどういうことなのか?
じつは、この数字は、世界銀行が発表した「購買力平価」での計算によるから、プーチン氏の手前味噌ではない。

国際比較をする上での「統計=基本データの集計」に、国ごとの事情が加味されないがために起きる「誤差」の問題がある。
よくある統計のロシアのGDPは、日本からみたら3分の1程度にしか見えないが、あんがいと農産物分野が巨大な「自給自足」体制なので未集計として隠れているのだ。

こうしたことはよくある話で、たとえばスリランカだと、スーパーで国産の果物を購入するのは、日本でいう集合住宅に住んでいるひとしかいない。
土地付き一戸建てなら、かってに果物が庭先に生育して実を付けるので、わざわざ購入する必要がないからだ。

旧社会主義国は、労働者の国という建前と、コルフォーズ・ソフォーズという、集団農場を国家の基本とすることをスターリンから強制された。
そのために、労働者へは別荘の所有を奨励して、ついでに庭先での家庭菜園も奨励することで、軍事国家としての食料安全保障に一役買わせていたのである。

ソ連圏の崩壊で、ロシアでは10年で国民の寿命が10年も縮まる悲惨があったが、ダーチャの所有者たちは「家庭菜園」のおかげで生きのびることができたのである。

よって、いまでもダーチャ(菜園付き別荘)の所有率は、40%から50%程度(国によって異なる)と高い率を保持している。
ために、ダーチャの所有者はかなりの程度、食料を自給しているから余程の不足か、真冬などのシーズン以外は、スーパーなどで現金を使って購入する必要がないのである。

とはいえ、豊かになって安定したらどこでも起きる贅沢な暮らしから、もはや「ダーチャ」とはいえそうもないリゾート用の大邸宅も建つようになってはいるが、そんなひとの心には土いじりの発想もないから、菜園もない大きな土地が用意されてきている。

ただし、大工がいないので、DIYが一般的だというのも、地震がない大陸ならではなのである。
ホームセンターには、家づくりのキットや材料が豊富にあって、それぞれ週末に数年かけて自作するという。

なお、土地は5年程前のポーランドの場合、300㎡の区画で50万円程度、固定資産税的な、インフラ整備代(電気、上下水道敷設と管理費で使用料は別)が、年5000円ほどであった。

とにかく、世界経済フォーラムの邪悪なアジェンダをひたすら実行している、岸田・自公政権なので、農家から農業を奪う政策遂行には熱心だが、だからといって国民に農地を与えることなんて想像だにしていない。

しかし、わが国の離農状況は深刻で、食料自給率にいたっては、とっくに危機レベルを突破して、いつ「飢餓」になるかしれたものではない。
カロリーベースで、8%しかないのに「飽食」を謳歌できているのは、どういうことかをかんがえる必要がある。

それで、ぜったいに食べたくないコオロギを、あたかも贅沢な高タンパクな食料(「アミノ酸」とだけ表記する?)として国民に食べさせて、その健康状態をモニターして外国企業に情報提供するような人体実験も政策スケジュールにあるのではないかと疑うのである。

そんなわけで、日本でもダーチャが欲しい。

これからの食糧事情をかんがえたら、生きのびるための深刻な要望である。
しかし、国民にすべからく「ダーチャ」を与える政策を掲げる政党はいまない。
ノー天気な国民も、そんな政策の意味すら気づかないのだから、供給しようにも需要がない、というわけだ。

晴耕雨読の生活とは、いまや贅沢の極みであろう。

南長野あたりで検討している村があるようだけど、きっと県やら国に邪魔されているにちがいない。
本場のダーチャは、だいたい自宅(本宅)から、クルマでも1時間半程度にあるのがふつうなのだ。

ならば、わたしならできれば神奈川県内で探したいのである。

どなたかお心当たりの方はおられませんか?

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