ドイツと日本が国連で「敗戦国」の扱いをいまでも受けているのは、国連:国際連合:戦勝国連合だからである。
その戦勝国とは、5つの大国を代表として、「安全保障理事会常任理事国」とした。
・アメリカ合衆国
・ソビエト社会主義共和国連邦
・フランス共和国
・グレートブリテン及び北アイルランド連合王国
・中華民国
これらの国が変更となったのは、以下の2例がある。
1971年に「アルバニア決議:2758号」と呼ばれる、アルバニア提案の中華民国から中華人民共和国へ代表権を移す可決があって、それまで常任理事国だった中華民国は国連を追放・脱退となった。
なお、日本は、アルバニア決議の提案国に含まれている。
次は、1991年、ソビエト社会主義共和国連邦の崩壊によって、その後の「ロシア連邦」に議席は引き継がれたことになっているが、手続上、総会決議はないままになっている。
なお、ウクライナ「侵攻」によって、ロシア連邦は人権理事会を脱退しており、これ以降、ロシア連邦は事実上、国連から脱退したも同然になっている。
中華人民共和国の建国は、1949年10月1日なので、第二次大戦とは関係のない国が「戦勝国」となった。
まことに、国際政治とはリアリティーを優先させるもので、概念では動かないものである。
これが、ロシア連邦のいまの状態「事実上脱退」という、見えにくいリアリティーにもなっている。
こうした事情を踏まえて、先の国連総会におけるトランプ大統領演説(9月23日)「いけず」の意味が通るのである。
この現職アメリカ合衆国大統領による歴史的な、「国連批判」は、日本からみたらその後の国連運営にたいした影響がないようにみえる。
だが、すでにロシア連邦とアメリカ合衆国の2大国が、国連から腰を引いているから、いまやレームダック状態にあるので、かつての力が国連そのものにないのである。
しかも、トランプ政権2.0は、国連大使の指名はしたが、「上院が通らない」という理由で、代理大使(国務省の役人)のまま放置している。
これに、ヨーロッパのグダグダで、マクロン政権もスターマー政権も青息吐息状態で、いつ政権が終わるかもわからない状況にある。
とくに、トランプ政権2.0は、正反対のグローバル全体主義を標榜して曲げないスターマー政権に、もうとっくに三行半を突きつきている。
この意味で、いまや国連の大黒柱は中華人民共和国だけとなっている。
ゆえに、親中路線をやめられないわが国は、「国連第一主義」をやめられない。
野党になって「国民の生活が第一!」を標榜した、小沢一郎氏の持論は、自民党の幹事長時代からも「国連第一主義」だった。
彼は、日本外交や自衛隊を国連に差し出す、『沈黙の艦隊』のような構想を発表していたのである。
究極のグローバル全体主義者である。
しかし、流動化する世界は、もはや国連そのものを必要としないばかりか、そのグローバル全体主義に嫌忌する国々が多数になりつつある。
これを、ナショナリズムへの回帰というのは易いが、多様化の本来の姿だといった方がよい。
グローバル全体主義者たちは、口では「多様化」やら「ダイバーシティ」やらとかまびすしいが、彼らの価値観から少しでもズレたら一切認めないのを「多様化」とダブルスタンダードを平気でかましてくるのである。
こんな連中に占拠されているのが国連になった。
ロシアとアメリカによる国連解体・解散のシナリオは、すでに下書きができているのではないか?と期待している。

