「失政」ではない「悪政」

グローバル全体主義者たちが仕掛けてつくった、民主党バイデン政権があと一月ほどで終わりを告げる。

残された牙城は、EU委員会とカナダ(「CHINADA」と揶揄される)それに日本政府となった。

だが、EUは16日、筆頭のドイツがとうとう20年ぶりの「議会解散・総選挙」となった。
シュルツ政権への「不信任案」が予想通り可決されたからで、来年2月23日になりそうだ。

今年のフランス総選挙で、ル・ペンに対抗して無理くり「左派連合」をやってはみたが、2ヶ月ほどで崩壊し、まだ新内閣が組閣もできないでいるけれど、ドイツでは、「AfD」に対抗して、いまの野党が「野合」する動きになっている。

また、カナダでは、トランプ「関税」で脅迫されたトルドー政権が、いつ崩壊するかわからない状態になっている。
とうぜんに、カナダで総選挙があれば、「保守党」に政権交代すること確実といわれている。

ついでにEUから出た英国では、労働党政権に嫌忌した国民が、「総選挙要求署名」を多数集めてはいるけれど、極左・グローバル全体主義を奉じる労働党政権に届くはずもない抵抗になっている。

「保守党」は、日本の自民党のようにグダグダになったうえでの労働政権だが、「名誉革命」をやった国なので、予断は許さない。

こうしたことが、あちらこちらで起きているのは、どちら様の政権も「失政」をしたからではなくて、意図した「悪政」をやったことの「成果」なのだ。

やらせたのは、本稿冒頭のグローバル全体主義者たちである。

いつでも「周回遅れ」の感があるわが国では、「自・公」政権が過半数割れしたので、はなから仲間の「立憲」を取り込んで、「自・公・立憲」政権をつくって、かえって盤石にした。
だから、いま世界で、もっとも苛烈なグローバル全体主義という「悪政」を実行しているのが、日本政府なのである。

もちろん、これに既存野党の、「国民」、「維新」、「れいわ」、「社民」、「共産」も加担して、あたかも「減税」を踏み絵の分岐点に見せかけている。
かんたんに分ければ、老舗のグローバル全体主義である「社民」、「共産」は議論の余地なく、「国民」も「立憲」も、元は社民と同じ「日本社会党」だった。

日本社会党の右派が、「民社」となって、いまの「国民」になったのである。
「維新」は、単純に中国利権追及のための集団だし、「れいわ」はいわずと知れた「中核派」なので、「共産」と対峙する。
もっとも、「公明」も、その似たもの同士ゆえに「共産」と対峙してきた。

こうして分類すると、既存政党でアンチ・グローバル全体主義を掲げているのは、「参政」だけで、こないだ国政政党になった「保守」は、はやくも存亡の危機となっている。
「保守」がはじめて国政選挙に立てた、飯山陽女史(博士)が、その内輪のグダグダを曝露して、呆れるばかりの内情に支持者離れが著しいようなのだ。

残念だが、飯山女史はどうして立候補の前に、この政党の本質を見抜けなかったのか?

似たようなグダグダは、「NHK党」もおなじだ。

かつて、自民党とこれに対抗する野党が、共産党だけは外す、としていたことの、似たような外しの対象が「参政党」になっているのは、唯一のアンチ・グローバル全体主義という性格からのもので、ル・ペンの「国民連合」やドイツの「AfD」ともおなじ「嫌われぶり」なのだ。

しかし、アメリカにできるトランプ政権2.0は、徹底したアンチ・グローバル全体主義なので、世界潮流の「潮目」が変わりつつある。

意図をもった「悪政」を、意図をもって退治するという看板が、就任前から効いている。

日本の首相が望んでもトランプ氏に会えないでいるなか、安倍昭恵氏がプライベートで夕食会に招待され、次に、孫正義氏が大金のアメリカ直接投資を表明しに会談したら、ついに、就任前でも石破氏と会談してもいいという話に展開している。

はじめてトランプ政権2.0で発表された、大統領主席補佐官は、スーザン・ワイルズ女史で、これらのアレンジをやっているはずなのだ。
ただし、安倍昭恵氏は、メラニア夫人が招待した、ということで表向きでは、政治抜き、とはなっている。

だから昭恵氏とは別に、日本の「政商」となった孫氏の行動から、あたかも、日本政府の意向を背負っての出資話で、かつ、この時期にトランプ氏との会談を意図したのではないかと邪推するのは、今後の国内における彼の会社がどんな扱いを政府から受けるのか?で予想できるだろう。

けれども、こうした行動は、アメリカにおいて「ロビー活動」とみなされるから、出資後の孫氏がトランプ政権2.0のスタッフと接触するには、法的な措置をしないといけないことになるのではないか?

そうでないと、外国政府のための「スパイ活動」だと疑われかねないからだが、この孫氏の行動を日本側で問題にする政治家はいるのか?は、意外とだれも気にしていない変がある。

さてそれで、かくも世界的な潮流が、ふたつある(「グローバル全体主義」とその「アンチ」)ことの根源はなにか?

これを、予備校講師の茂木誠先生が図解しているのが、『世界の今を読み解く「政治思想マトリックス」』である。

その解説動画(約18分)は、必見だ。

いわゆる「リバタリアン」の思想が、ついに「グローバリズム」に行き着くという論理は、逆説的に見えるが、そうではない説得力がある。

このブログで書いてきた、「アイン・ランド」が、なぜにアメリカ保守陣営から否定されたのか?がいまいち不明だったが、この一本の解説で氷解した。

キーとなるのは、「ベンサム」だった。

果たして、この一本前の動画『そもそも社会科学に「真理」はない』も、味わい深いのである。

人類初の啓典宗教、ゾロアスター教のいう明と暗の二元論こそが、その一方である明(正義)を信奉する「宗教」になったことを意識せずにはいられない。
もちろん、暗(邪悪)を信奉すれば、悪魔崇拝となるのである。

リバタリアニズムから、グローバリズムが生成されるメカニズムとは、「正義=自由の強制」という宗教化という反応によって発生する毒ガスのようなものだが、破壊力がすさまじい。

中庸を旨とするには、酸いも甘いもかみ分ける余裕が必要だということなのである。

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