「小さな政府」を想像できない

日本語では、あたかも低予算政府やらを想像させるような言葉であるけれど、英語でいう「Limited Government」の方が適切なイメージになる。
これは、オリジナルが「Limited Government」で、それを日本語にした順番からの伝言ゲーム的な勘違いを誘発するからだろう。

もちろん英語でも、「Small Government」ということがあるので、「小さな政府」という訳は、こちらからの直訳だろう。

英語を、「英国(さらに連合王国のなかのイングランド)の言葉」と定義すれば、それはそのままこの国の歴史を背負っている言葉であるといえるから、そこからあらためて「Limited Government」とはなにか?を検討すると、王権を制限してきた歴史があらわれてくる。

日本には幸いにも、このような歴史がない。

あるのは、政権交代であって、中国にあった姓氏革命のごとき転覆は、源平合戦が似ているが、だからといって朝廷が滅亡したものではない。

そうやってかんがえると、英国の王朝と中国の歴史は、日本よりもよほど似ている。
ただし、ピューリタン革命と名誉革命があったイングランドは、決定的に中国ともことなる。

王権をどうやって制限するのか?は、その後の自由経済にとっても重要な原点になっていて、それが「オーストリア学派=ウィーン学派」によって精錬される。
ところが、この学派は現代の「主流派(アメリカ経済学会を中心とする)」からは、異端扱いされている。

経済学に数学を持ち込んだ、ポール・サミュエルソンの『新古典派総合』なる、ケインズ経済学の発展形をもって、アメリカに社会主義経済が定着したのである。
もちろん、ウィーン学派には、ケインズと論戦したハイエクがいる。

わが国は敗戦によって、アメリカによる征服が固定化されていることは、この間の衆議院議員総選挙でよくわかったのだが、よくわかったひとが少ないために、ああした結果になった。

それが、あと一週間にせまった大統領選挙でアメリカ民主党の地滑り的大敗北が予想されているのに、相変わらず共和党トランプ陣営の主張が日本人に理解されていない。
それもこれも、日本が『無思考国家』になったからである。

これを、「イネプトクラシー:Ineptocracy:無能者の支配する国家体制)」という。

わが国は、バブル崩壊以来、イネプトクラシー国家になった。
この国家体制の特徴は、文字どおり無能者による政治のことであるが、それは民主主義の原則にてらせば、主権者である国民の無能をさすことに注意がいる。

ゆえに、無能集団の国民の中にあって、そこから選ばれる者も無能者ばかりになって、とうとう国富を食い尽くす「蝗害」のようなことがおきるのである。
かんたんにいえば、「バラマキ」のことだが、これがケインズ理論と結合すると、有効需要が高まるはずという詭弁によって、一部の利権者が潤う体制となるのである。

しかし、それがどんな「乗数効果」をうみだしたのか?むかしの「経済企画庁」なら計算して発表したろうに、いまはなにをやっているのか?
おそらく、バラマキの対象範囲が狭すぎて、効果なしと出るのでだんまりを決めているにちがいないのは、与党から睨まれるのがうっとうしいからなのだろう。

対して、トランプの共和党は、自由主義を起点に置くから、政府による国民からの収奪(増税)を、私有財産権への侵害(攻撃)だとみなす。
だから、第一に「減税」を主張するのである。
そうやって、第二に「バラマキ」のための蛇口も閉めて、個人や企業活動を活発化させる。

これが、「小さな政府」の姿である。

「トランプ政権1.0」によって、オバマ時代の不況から空前の好景気なったのは、この政策が効いたからだし、レーガン時代もこれで乗り切ったのである。
しかし、わが国自民党政権の中曽根康弘内閣は、「土光臨調」の看板を利用して、中途半端な民営化だけでやった気になり、肝心要の「減税:税体系のシンプル化」に着手することはなかった。

つまり、明治以来、日本人は「小さな政府」をしらないから、想像もできないのである。

こんな制度上の前提条件があるのに、GHQが設計したひどい教育制度で国民が「無能者」にもさせられたので、絶望的なイネプトクラシーになったといえる。

過半数を切った自公政権がどう「野合」するのか?の組合せ論になったけれども、とにかくアメリカの大統領選挙によってわが国はおおきく影響される。
トランプ派共和党にもっとも近しい日本の政党は、参政党しかないので、衆議院でたった3議席でも「キャステキングボート」を自称するのは彼らとの窓口になるからである。

それをぶち壊したい勢力(アメリカ民主党のポチたち)が、表面的現象だけをなぞってイネプトクラシーを増長させる努力をしているのである。

懲りないのではなくて、たんなる家畜の管理者になりたいだけの愚か者たちである。

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