「次」の中東がはじまった

トランプ政権2.0は、15日、イエメンのフーシ派に対する大規模な空爆を開始した。

戦争を嫌うトランプ大統領が、憤怒の様相でいるのは、彼等がバブ・エル・マンデブ海峡を封鎖していることによる紅海・スエズ運河航路がつかえず、アフリカ大陸先端の喜望峰ルートを通行する船舶が75%にのぼることによる、経済的打撃の解消であるとしている。

もちろん、この理由付けは間違ってはいないが、真の狙いはスエズ運河通行料収入を失ったエジプト経済へのテコ入れであるし、「ガザの提案」を推進するためにエジプトの協力を得るためだともいえる。

そのエジプトは、40年ほどで人口が3倍以上に激増(1億7千万人)し、常に食糧危機が生じるリスクが高まり、安く購入していたウクライナ産の小麦の供給が絶えたために生活がえらいことになっている。
まさに、ウクライナ問題とスエズ運河通行料収入の激減という二重苦が起きていて、アラビア語で言う、「バブ・エル・マンデブ:嘆きの門」の通りとなっている。

「バブ:バーブ」が「門」の意味であり、「エル:定冠詞」、「マンデブ:嘆き」という意味だ。

つまり、フーシ派がこの海峡を封鎖した理由の、「南からのイスラエル(封鎖・解放)」が、主にエジプトに効いている。

それで、イランからの援助があるというフーシ派には、イランの先にあるロシアとも関係があるとみてよい。
一方、イスラエルとアメリカは一体なので、イランと敵対する構図ではあるけれど、米・露同盟という転換点では、イランが浮き上がってしまうのである。

つまり、米・露共にイランをどうするのか?が共通の課題になっている。

そこで、ウクライナについての米・露会談会場をサウジにしたのは、サウジとイランの関係からも、イラン包囲網という意味で重要だった。

石油が収入源のサウジとロシア。

インフレ退治の根本である、シェールオイルやシュールガスを国内で掘って掘って掘りまくりたいトランプ大統領は、出るまでのスピードを早めるのに、この両国からの輸入も視野にあるはずだ。

それに、いまさらだが、サウジはイエメンフーシ派からのロケット攻撃も受けている。
対岸のイランと、後背のイエメンから圧力がかかっているのがサウジなのだ。

そんなわけで、ウクライナの「次」は中東だという順番通りがはじまったのである。

米・露はイランを同盟に巻き込みたいとかんがえるのだろう。
少なくともトランプ政権2.0は、トランプ政権1.0でやった「アブラハム合意」を拡大させる戦略をとる。

そのために、宗教ではなく経済開発をもってイランと邂逅するやもしれぬ。

これはプーチン氏による、ロシア伝統の東・西型ロシア発展ではない、南・北型への転換の役に立つ方法なのである。
それで、ロシアはイランと良好な関係を、アメリカに仲介してつなぐのであろう。

こうなると、インド、パキスタン、イランのアラビア海からペルシャ湾にいたる国々の港湾開発とカスピ海や黒海、あるいは地中海に抜ける内陸部輸送網の開発で、中央アジアが活気づく。

それもこれも、中共包囲網の壮大な構築なのである。

はたしてイランは、どうやってフーシ派を見棄てるのか?
つぎのポイントはここにあるとかんがえるのである。

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