経済兵器とは、いわゆる「経済制裁」のことである。
とくに、いま、西側諸国がロシアに課している経済制裁の有効性が疑問視されていることをいう。
いまや、アメリカの戦争屋たち(民主党と共和党主流派のネオコン)がしつこく長い時間をかけてロシア(資源)をわが物にしようとしたことの長大な物語が明らかになってきている。
さらに、権力を得たユダヤ人の恨み(ブリンケンとヌーランド)が加わる。
このひとたちの先祖がウクライナで酷い目にあった公然とした歴史がある。
これに、わが国も「西側=西洋」として加担したのは、GHQの占領以来、わが国を支配するアメリカ国務省とCIA東京支局の官僚が、自民党や野党らをグリップして離さないからである。
どんな証拠を握られているのか?これだけで、政権どころか日本がひっくり返るスキャンダルになるだろう。
エリツィンに後継指名されて大統領になったばかりのプーチンは、はじめ、西側に信頼を寄せていたのに、何度も裏切られて学んだのが、ロシアは西側=西洋に与しないという決意へと変容したことである。
なにせ、プーチンはクリントン以降のアメリカ大統領に、何度か「NATO加盟」を打診していて、クリントンはなんと食事会で承認の意を返し、その後撤回している事実がある。
ロシアを加えた「G8」の時代こそ、いまからしたら理想的だった。
ドイツのメルケルとフランスのオランドが引退後に、二度にわたる「ミンスク合意」が、ウクライナへの西側軍事支援のための時間稼ぎだったと告白したが、ロシアにとっても西側制裁対策を練る時間稼ぎとなっていた。
ようは、お互い様なのである。
そこで、ロシアは「軍事作戦発動シミュレーション」として、西側が仕掛ける「経済制裁」についても「やり過ごす方策」をかんがえていた。
最大級のやり口を「SWIFT」からの排除だとにらんで、ロシア国内銀行の決済方式をSWIFTに依存しない方法に切りかえる計画を練ったのである。
いわば、アメリカと英国の金融エリートが考案しそうな手の「先手」を打っていた。
これに気づかぬ西側は、SWIFTからの排除でロシア経済は瀕死のクマになると思い込んでいたのである。
ロシア人がずっと、チェスの世界王者だということを西側のヘボたちが無視したのは、これからずっと末代までの言い草になるだろう。
さらに、西側の失策は、ロシアを中国と結託させる方向に追いやったことである。
中国との経済的蜜月状態を維持すれば、中国がヨーロッパ依存になると信じたこと(あり得ないほどの「ナルシズム」)が逆転し、EUは自ら経済危機を引き起こした。
しかし、もっと戦略的にも重要なことは、イランを舐めてかかったことだし、サウジをはじめとする産油国をロシア側に引きつけたことでもあった。
アメリカの工学系大学は、2001年から20年にかけて、敵対しているはずのイランからの留学生(5000人弱)を、日本人(500人弱)の10倍も育成していた。
彼らが帰国して、ドローン開発にかかわり、次から次へと製造した「新型」を、ロシアに供給することも想定しなかったのである。
しかも、砲弾や弾薬の製造もアメリカでは間に合わず、とうとう米軍の在庫を空にして、信長以来自国で硝石がとれないわが国の火薬の在庫をアメリカ経由でウクライナに供給する有様になったために、わが国ではオリンピック種目であるクレー射撃用の散弾まで不足する事態となった。
つまり、トランプ大統領がいう、アメリカの製造業の復活、は、容易でないばかりか、不可能ではないか?と思わせるし、日本の製造業も、これに似た状況にあることは日本人としてしっていた方がいい。
ことに、工業力と技術者がいないと成立しない、海軍、空軍、および宇宙軍という組織のヤバさは、もはやアメリカ軍の「世界最強神話」まで崩壊させる深刻さなのである。
なぜかといえば、軍の幹部学校希望者減少と、弁護士・金融の分野への就職希望学生の増加がハッキリしているからである。
複雑すぎるF35の現場でのポンコツぶりがウクライナでしれたばかりか、最強のはずのエイブラムス戦車さえ、使い物にならないことが世界に拡散されてしまった。
弁護士と金融界のエリートが自信満々に仕組んだ、「経済兵器=経済制裁」が、おどろくほどの無意味をなして、砲弾不足によるウクライナ兵のムダな損耗をカバーすることができない。
しかし、アメリカやヨーロッパで安穏と暮らす、弁護士・金融エリートは、ウクライナ兵の損耗を気にすることがないのは、究極の人種差別をしているからなのである。
これをみた世界の西側以外の国々の指導者たちが戦慄したのは、西側につくことの破滅をみたからである。
哀れなウクライナは、ロシアに呑み込まれつつ、ロシアを支持するのが世界人口の3分の2になっていることも、西側エリートは無視しているのである。
現実を無視して戦争に加担する。
そのうち、『1984年』で描かれたように、コンピュータが確率計算して算出した「損害数」を、条約によって「処分する」政府がでてくるかもしれない恐怖こそ、西側エリートがかんがえつく「経済兵器」と化すなら、もはやこの世は地獄である。
個と化した人間を「数」としてしかみないことの、結論がここにある。