バイデン任期末期(最終日)にだした「先行恩赦」なる不道徳があったが、就任してまだ二週間余りのトランプ氏は、記者からの「暗殺の可能性」についての質問に、かなり珍しい、「遺言大統領令」を発したことを示唆した。
ようは、自分が暗殺されたら犯人とその背景の組織やら国家に対して徹底的な報復をせよ、というもので、これがいわゆる「防止策」となっている。
一方、DOGEの活躍による、民主党を中心とした攻撃が激しさを増すイーロン・マスク氏は、世界一の大富豪であることから、めったなことで「買収」に応じる玉ではない。
これは、おなじく富豪のトランプ氏にもいえる。
つまり、トランプ政権2.0は、総じて「買収」に応じることのない、裕福なひとたちで構成されているのである。
ここが、自身が裕福なのにもっと欲しい!という、煩悩の強さから「餓鬼」と化した民主党勢力とおおきな違いがある。
RFK.Jrに対する、公聴会でみせた、エリザベス・ウォーレンとバーニー・サンダースのベテラン上院議員ふたりが目立ったのは、ともに民主党の大統領候補として立候補した重鎮かつ有名人が、それぞれに多額の政治資金を医薬品業界から得ていることが曝露されたときの狂ったような慌てようが、全米ならぬ全世界に配信されてしまったのである。
とくに、アメリカの左翼のカリスマにして代表的な「清貧」と思われてきた、バーニー・サンダースがいくつもの豪邸の持主で、ヒラリー・クリントンと最後まで争いながら突然予備選挙から撤退したのも、豪華な別荘をプレゼントされたことが理由だと、当時、本人が正直に語ったこともぶり返してしまった。
左翼の正体は、カネの亡者だったのである。
さて、トランプ氏に続いて、イーロン・マスク氏にも暗殺の危険は十分あるので、やはり遺言を残しているという。
所有する企業の後継者指名にあたって、決して「家族」ではない可能性を示唆しており、子孫が経営に向かないならば容赦なく候補から外すことも記載しているという。
その理由は、「企業には公共性がある」という信念であって、「私企業≠私物」という常識の持主なのである。
これは、伝統的な「近江商人の思想」である。
それが、民主党的な煩悩が強すぎる「餓鬼」が跋扈して、「株主資本主義」なる理屈が主流の思想に乗っ取られたときから、世の中が狂いだしたのである。
わたしが子供だった頃、大蔵大臣が交代すると、新任の大臣はまっ先に大阪へ向かい、「関西経済界」への顔見せ挨拶するのがふつうであった。
まだ、大阪は、「天下の台所」であったのだ。
しかし、高度成長で東京が台頭したばかりか、「ぶっちぎり」状態になると、ついにこの習慣も終わって、以来、新任の財務大臣が大阪詣でをするとは寡聞にして聞かなくなった。
これは、世界に魁けて成立した、「日本資本主義」が終わったことを告げるものである。
アメリカが「黄金の時代」となると宣言したトランプ政権2.0で、初の首脳同士、「日米が黄金時代」だといわされることの意味は、イーロン・マスク氏の遺言にある、「公共意識(道徳)の復活」の意味なのであるけれど、おそらく読解力がなく理解できない外務省の官僚が、「ただの文言合わせ」だとして翻訳作業をしているのだろう。
当然に、岩屋も石破も何のことかわからずに、ニコニコしながら「共同声明」を発するのだ。
しかし、これで「言質」をとったトランプ政権2.0は、ゆっくりといたぶるように、これまでの民主党追従政策のちゃぶ台返しを要求してくるにちがいない。
つまるところ、政治家ばかりか、「大阪(近江)商人道」の復活をアメリカの政権から要求されているのに、肝心の関西経済界が、これに全く気づかない絶望がある。
いまや、東京の経済界は、「株主資本主義」に毒されて、青息吐息なのに、だ。
4日に就任したばかりのパム・ボンディ司法長官は、「満を持して」先月まで日本大使だった、ラーム・エマニュエルが、シカゴ市長時代に制定した「移民保護令」を「連邦移民法違反」として、訴訟を起こした。
また、彼女は、このような規則がある州や市・町に対して、連邦予算の配付を禁止した。
これも、民主党政権時代に、大統領令では違法とされ、司法長官命令なら合法とした、連邦高裁の判決をたてにしているちゃぶ台返しだ。
なんと、トランプ政権2.0は、柔道的な関節技ではなく、合気道的な技で攻めてくる相手を制圧しているのである。
さては、滋賀県には「近江商人博物館」が複数ある。
しかし、大阪商人にはもはや「博物館入り」した、過去の遺物になっていることの残念が自滅の原因になっていることも理解不能なのであろう。