「Starlink」でイランの体制転換ができるか?

1979年(昭和54年)に、パーレビ国王(「パフラヴィー朝:1925年~79年)の体制が終わって、「イスラム共和国」となったのが、いまのイランである。

ときに、「ソニー革命」といわれたのは、パリに逃れていた宗教指導者ホメイニ師の演説録音を、「ソニーのラジカセ」でダビング・コピーして拡散し、これを聴くことが体制転換の原動力になったことを指すからである。

ために、このころのアラブ諸国への入国にあたっては、税関検査で「カセットテープ」がみつかると、容赦なく没収されたのである。
だから、「ウォークマン」の本体は持ち込めても、音楽テープはあきらめることになった。

ネットからダウンロードする、といういまの常識は、当時では夢にさえでないほどの「隔世」である。
そもそも、インターネットも民間で利用する者はいなかったし、できなかったのである。

なぜか?パソコンすら普及していなかったからである。

13日にはじまった、イスラエルからの空爆ではじまった「報復合戦」が報道されるなか、両国共に、情報統制が厳しくなっている。
政府が、ネット回線の絞り込みを実施して、国外情報を遮断しているようだ。

「戦時体制」として、ウクライナでも強力に実施されているから、目新しいことではない。

しかし、ここに至って、イーロン・マスク氏が、「Starlinkの提供」をいいだして、物議を醸している。

その本音は、どうやら(両国の)「体制転換」にあるようなのである。

もちろん、ウェイトはイランにあるとおもわれるが、イスラエルが対象でもあることに注意がいる。

日本では、「au」がすでに「Starlink接続」対応を開始している。
その対応機種は、「iPhone14」以降だったり、「Google Pixel 9」だったりと、63機種以上が利用可能になっている。

つまるところ、特別なことをやらないでも、両国内に居住するユーザーは、砂漠であれ山中であれ「Starlink」と接続可能なのである。
だから、もしもこのことが「体制転換=革命」を誘引したともなれば、第二次「ソニー革命」ならぬ、「Starlink革命」と命名されるにちがいない。

とはいえ、イスラエルでは、戦争ばかりに嫌忌した「反体制派」の国外脱出がとまらない。

イランは、ざっと半世紀にわたる「イスラム革命」への閉塞感が、若者世代を中心にあるのは理解しやすいことだ。
スンニ派の擁護者サウジアラビア王国でさえも、「女性解放」的な気運がとめられずに、伝統解釈の大幅修正が行われている。

しかも、シーア派のイランに敵対するはずのサウジアラビアは、今回のイスラエルの攻撃を非難する声明を発しており、BRICSの一員として、なんと「イラン側」にいる驚きがある。

つまり、イランは世界から孤立して「いない」のである。

これを、タッカー・カールソン氏も指摘している。
だが、彼は、アメリカによる「体制転換」のくわだてに批判的である。
これは、ロシア侵攻の遠因となったウクライナの「マイダン革命」だけでなく、北アフリカでの「カラー革命」も見据えての正論だろう。

イーロン・マスク氏の謝罪でトランプ大統領との「ケンカ」が終焉したばかりのこのタイミングでのこの発言は、はたして、トランプ大統領とプーチン大統領のまたまた長時間電話における「イラン情勢」とどのように関係しているのか?

どんなに「茶番」であっても、「ケンカ」のおさめ方、を世界に見せつけたイーロン・マスク氏とトランプ大統領のふたりが、プーチン氏を巻き込んでイスラエルとイランをどう仕切るのか?

それに、「アイアンドーム」がハマスによる飽和攻撃以来またしても破られたイスラエルに、緊急に防空システムを送り込む「必要に迫られた」アメリカは、きっと、ウクライナから「貸し剥がし」をするにちがいない。

一撃で、イラン軍司令官を葬ったイスラエルの方法を、防空システムがなくなったゼレンスキーはどうみるのか?もあわせて、トランプ・プーチン会談は、心理戦を仕掛けているのだろう。

それが、ロシア主導による「兵士の遺体交換」と「捕虜交換」である。

ウクライナ側の誠意のない態度が、ロシア軍基地への無謀な攻撃となってあらわれ、ロシアに大規模報復の口実を与える愚かさは、いまや、ロシア側のウクライナ兵死亡リストの公表で、戦死者への保障(遺族への死亡手当)がぜんぜんなっちゃいないことをウクライナ国民に教示している実態にみられることである。

おそらく、トランプ・プーチンの両氏は、ゼレンスキー政権の排除で合意したであろう。
しかして、ウクライナの背後に英国がいることをとぼけて、なにもないようにふるまう両氏の役者ぶりは、ヨーロッパの首脳の低能とは別のレベルにある。

このパターンを、イスラエルとイランの双方にどうやって適用するか?を話し合っているにちがいない。

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