東京理科大学でこのところ定着した、「T^3(Teachers Teaching with Technology)」の第26回目に参加してきた。
主に、「TI電卓」を用いた、中学・高校の数学授業についての研究会である。
なので、参加者は数学教師たち、だから、当方はまったくの部外者だ。
いまの学校では、文科省の予算で、「タブレット」や「パソコン」が生徒ひとりひとりに貸与されるので、なかなか電卓をもたせる余裕がないという変な実態があるそうな。
しかし、教育電卓の教育効果については、諸外国では「当然」という評価なので、どうしてより単価の高い端末が日本の生徒に行き渡るのか?についての闇がある。
むろん、TI電卓にこだわる必要もなく、いまどきのタブレットの方が大画面で扱いやすい、というメリットも無視できない。
だが、じっさいにTI電卓を操作すれば、その魅力はたしかにあるのだと実感できるものなのだ。
難を言えば、独習、という面からも、あるいは社会人の「やり直し数学」という面からも、この恐るべき機能をもった電卓の実例と操作方法を網羅した解説本が、日本語で存在しないことにある。
ネットには、操作方法を詳細に解説した情報があるのだが、あくまでも操作方法なので、実例(学習目的に添ったものと、実際の応用例)に乏しいのである。
しかも、いまはやりのプログラミング言語「python」をもちいたプログラミングが学べる機能さえも搭載しているから尚更なのである。
なので、おとな向けの網羅本が、デジタル出版でもあれば助かるのである。
そんなわけで、年に2日間ほど、JR飯田橋駅から外堀通りを渡って神楽坂をちょっとだけ登ったところで左に入った路地のさきにある理科大の校舎に向かう。
その神楽坂に、わたしの世代だと興奮する「不二家」があって、しかも全国で唯一の『ペコちゃん焼き』を販売しているのである。
いわゆる「たい焼き」の型が、「ペコちゃん」になっていて、たい焼きよりも芸が細かいのは、顔とその裏面が髪の毛になっていることだ。
つまり、ぺしゃんこにはなっているが、ペコちゃん人形のそのままがある。
ときに、ペコちゃん焼きのペコちゃんは、よくみると不気味な様相で、どこかをかじるとよりその不気味さが強調されるのである。
これはどういった心理がはたらくのだろうか?
味は中身の違いからうまれるが、やっぱり「ミルキー味」がいい。
この甘さには、「ミルキーはママの味」というコマーシャルソングが絶対に浮かぶ刷りこみがされていて、それがまた正しいミルキー味の楽しみ方なのである。
つまり、味覚と言語がしっかりリンクして離れることがない。
それにしても、どうして「飯田橋神楽坂店」だけの商品なのだろうか?を調べたら、この店舗はフランチャイズ店であった。
しかも当初は、全国の店舗で焼いていたという。
それが、淘汰されていまにいたるという。
淘汰とは、店自体が淘汰されたという意味が強いようにおもえるが、その逆で、業績がよい店ほど手間がかかるためにやめたという。
すると、このお店は、手間を惜しまずにいたために残った、という王道の思想がみえてくるいまどきの「貴重」なのである。
ようは、ペコちゃん焼きは、業績と密接に関わる象徴的な商品であった。
しかも、「和菓子」として認定されているというオマケもある。
はたして、TI電卓は、教育用だというが、じゅうぶんに実用でもある。
どこに重点を置くかのコンセプトのちがいではあるけれど、学校を出て社会にはいったらもう使わない、ということではないだろう。
むしろ、このような万能機がかえって便利なのではないか?
たい焼きも大判焼きも、日本文化である。
そこから出てきたペコちゃん焼きは、ひとつの応用例なのである。