『無思考国家』シリーズを読む

いまさらだが、響堂雪乃より改名して、秋嶋亮という「社会学作家」が世に送り出している人気書籍のシリーズがある。

タイトルの一冊もしかりだが、ご本人としてはロングセラーになっている『ニホンという滅び行く国に生まれた若い君たちへ』が代表作だとしていて、これらも含めた「シリーズ」が秀逸なのである。

「無思考」でこれらのシリーズを目の当たりにすると、たいがいは「日本嫌い」になるだろう。
しかし、作家は、決して絶望しているわけではないと書いている。

これはあたかも、坂口安吾『堕落論』の現代版なのである。

いやむしろ、カレル・ヴァン・ウォルフレン『人間を幸福にしない日本というシステム』のニ部作の方がより近いかもしれない。

さらにいえば、大宅壮一がいった「一億総白痴化」のなれの果てでもあるし、いまでもJRに乗ると不快になる「社内液晶テレビ」による無思考化の訓練に腹が立つ。
観るとバカになるから、なるたけ目線をそらすのだが、車内の光景とてロクなものではない。

ほぼ全員にちかいひとたちが、スマホを眺めて「コンテンツ消費」に勤しんでいるからである。

まさに、「無思考国家」の姿がある。

そうやってかんがえを及ぼすと、あらゆる空間で「無思考」にされるから、それがまた行動に表れるのである。

たとえば、スーパーやらのレジに並んで順番待ちをしているけれど、ただボーッとして立っていて、ベルトコンベアのように前に進むだけだから、財布も用意しない。
自分の番になって、金額が確定してからカバンの中をモゾモゾとさがして、ようやく財布にたどり着き、それからカードやら時間のかかる決済をするのだが、後に並ぶ者への配慮など微塵もないのである。

もちろん、なんとかペイで、ポイントを貯めることが趣味のひともいるが、自分の端末からあらゆる情報が抜かれていることを仕組みとしてしっていても、一切気にしないでいられるのも似たようなものなのだ。

そこには、どうせ自分の個人情報などたいしたものではなく、数パーセントの値引きやポイント付加の方が大事だとおもっている。
つまり、みごとな「アトム化」を、自分からすすんでやっている。

こうした愚か者をみると、まったく不快になるのだ。

なぜなら、こうした行動が、本人も含めて最終的にどんな破滅となるか?の想像もしない「無思考」だからである。
その破滅とは、伝説的な『ビルダーバーグ倶楽部』復刻し、電子版もでた!)に言論統制とセットにした全体主義社会の完成における地獄の詳細が書いてある。

つまり、計画されたものだと。

それは、電子マネーが完全普及したときにおきる。
政府に背く言論をSNSなどに挙げる人物の端末を、リモート操作によって作動しないようにするだけで、当人は水の一本も購入ができなくなるからだ。

つまり、社会から抹殺される。

日本人だろうが何人だろうが、いまの世界は、政府によって子供時分から「無思考人間」になるようにさせられる。

その重要な装置が、学校教育の場すなわち「学校」なのである。

一般に、教職にある者は、学校の運営のことを、「学校経営」という用語を用いている。
これだけでも、民間人が連想する「経営」とは次元がことなるのだが、「運営:オペレーション」とは決していわないのも、ひとつの「無思考」だとかんがえられる。

長い時間をかけてきたので、すでに教員も無思考人間としての完成度があるから、教育委員会の命ずるままに従っているし、その教育委員会の無思考は、文科省の課長クラスからの「通達」に従っている。
ならば、官僚たる課長クラスがなにか思考しているのか?と問えば、無思考に組織の「空気」に従っているだけなのである。

では、その空気の本質とはなにか?

答は、『無思考国家』シリーズにあるし、『ビルダーバーグ倶楽部』にある。

つまり、グローバル全体主義がその根本にあるのだ。

しかして、グローバル全体主義を推進したいひとたちからしたら、ひとびとの「覚醒」こそがあってはならぬ事態だとわかるのである。

ここに、「格差社会」とは、年収やらの差をさすのではなくて、情報格差をさすのである。

それはなにもネット情報だけでなく、上に示した「レジの待ち時間」をどうするかも含めている。
ボンヤリしているひとは、ボンヤリ生きていることにも自覚がない。

それで、ボンヤリしていないひとたちとの、いろいろな「格差」が生まれるのは当然になる。

何のことはない、ボンヤリ生きているひとが、圧倒的な多数になったのである。
これを、「B層」と小泉純一郎総裁時の自民党が定義したことも、ボンヤリしていてしらないひとが多数なのも、ボンヤリゆえに驚くことはない。

このように、わが国は、圧倒的多数のボンヤリたちによって潰されているのである。

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