むかしの資本主義のシャボン玉石けん

2日、どういうわけか「シャボン玉石けん」の「X」を受信した。
「7名の新入社員が加わりました!」という報告記事である。

たんに「石けん」とわれて即座に伝統的な「固形石けん」をイメージするのは、いまや世代間の断絶の象徴ともいえるのだろう。
現役世代なら、ボディーソープあるいはハンドソープとしての「液体石けん」をイメージするに違いないからである。

ただし、「固形石けん」をイメジージするからといって、液体のボディーソープを使わない、ということではない。
また、洗濯石けんも、いつの間にか液体タイプが主流になって、かさばる「粉石けん」は珍しくなった。

だんだん自分が老化してきてわかるのは、固形石けんの方が肌に優しいのではないか?という実感と、むかしからのイメージが重なるのである。

小学校2年生のときだと思うが、社会科の時間、徒歩で先生に引率されて学年全部で学区内にある石けん工場の見学に出かけたことがあった。
近所とはいえめったにいかない場所(エリア)だし、生まれて初めての工場見学だったので、このときのことはかなり鮮明な思い出となっている。

小学校1年の「遠足」は、ほんとうに学校から歩いて「野毛山動物園」に行った。
シロクマも、象もいた時代である。
幼稚園の「遠足」で野毛山動物園に行ったのは、バスだったけど、先生は「成長したから歩いていけるようになったのだ」と笑っていた。

このとき、あんがいと近いことを実感したのである。

さて、石けん工場内に入る前から、それなりの臭気がして、それが原料の油脂を溶かす工程の窯の近くでは、子供ながらに鼻をつく臭いに辟易とした。
ところが最終工程で、エスカレーターのゴムの手すり状になって出てくるものが、きれいに切断されると、それはいつものいい匂いのする石けんだった。

工場からはお土産にと、一人に一個ずつの石けんと携帯小袋に入ったシャンプーをいくつかもらって学校に戻ったのである。
まったくあの臭気を放つものが、どうしてこんないい匂いの石けんになるのかは手品を見るよりも驚きだった。

あれから半世紀以上が経っても、この石けん工場は健在だが、もう近くからでもあの臭気はぜんぜんしない。
ただ、子供に刷り込まれた石けん愛は一生ものだから、プレゼントとしてのコストは、数百倍の購買実績として工場に還元されたといえる。

なるほど、マクドナルドの味が子供の味覚の中にいったん入り込めば、一生の顧客になる戦略と同じだった。
ただ、マクドナルドが日本に来たのは、この工場見学よりもずっと後のことだから、石けん工場の先見性がすごかったのか?

いや、おそらくたんに工場長の気前が良かったのだろうと思いたい。

むかし、「お届け物」といえば、中元・歳暮のことで、石けんセットは定番のひとつだった。
「エメロン」とか、「ミツワ」とか、「牛乳」、それに「シャボン玉」とかがあった。

ミツワはいまや外資になった。
シャボン玉は、そんなふうになりたくないと、上場しない株式会社のままでいるばかりか、とにかく17年間もの赤字に耐えて、「無添加石けん」に特化する方針を貫いたのである。

社長自ら合成洗剤の売上で稼いでいた時期に、無添加石けんの注文が入り苦労して開発に成功したという。
それが、当時の工業規格を上回るみごとに上質の石けんだった。

無添加だから香料のいい匂いもなく、むしろあの油脂の匂いがのこる。
だが、これを家族にも使ってみたら、湿疹の悩みが消えたことで効果を実感する。

そこで、合成洗剤の製造をやめたら、上に書いた長期の赤字に苦しむことになったのである。
無添加の「安全を売りたい」との経営者の意思が、この企業のブレない基本方針だから、そのまま資本戦略にもなっている。

こういう会社を、いい会社、というのだ。

しかしてこのことは、いい会社でありたいなら株式を上場してはいけない、という意味となる。
ならば、「株式(会社)」とはなにか?

株式を多数持つ株主が企業を支配する「株主資本主義」は、本来、かつ、アイン・ランドがいう「(道徳的)資本主義=産業資本主義」とは別物だということである。

すると、高度成長をもたらしたかつてのダイナミックな時代とはなんだったのか?を振り向いてかんがえると、銀行からの資金提供と株式持ち合いが支えていたことがわかる。
それがまた、地域経済も支えていた。

いまの政府がいう、株式発行と上場を目指す直接金融ではない。

意外と、旧式の(産業)資本主義が「まとも」なのは、全方位的ステークホルダーにとっての三方よしであるからだ。

そんなわけで、シャボン玉石けんの無添加固形石けんで、身も心もお風呂タイムの充実をさせようとおもっている。

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