ことしの春に製造中止となった、『fx-CG50』というグラフ関数電卓のために作られた5年前のYouTubeビデオがシリーズで28本アップされている。
どれも短い時間での最小限の操作法解説なので、なぜにこのボタンを機能メニューから選ぶのか?といった丁寧さはない。
おなじくネットにある「ソフトウェア取り扱い説明書」を読め、ということなのであろう。
ちなみに、この「取説」の総ページ数は、599ページとなっている。
それに、なぜかこの機種の最新後継機『fx-CG100』についての解説ビデオは1本もアップされていないのも不思議なのである。
ネットに棲息している、電卓マニアの評判でいうと、新機種よりも型落ちの『fx-CG50』の方が高い評価なのは、歴代の機種から引き継いだボタン・レイアウトによる慣れと、内蔵されている「カシオベーシック」でのプログラミング機能が、新機種では搭載されていないことのガッカリのようである。
なお、どちらも「Python」によるプログラミング機能は内蔵されている。
昨今、ガジェット系の端末が、「内蔵リチウム電池」になって、充電を必要としているけれど、たとえばキーボード界の最高峰といわれる、『HHKB』ではこれを採用せずに「乾電池」あるいは「ニッケル水素電池」にこだわっているのとおなじく、これらの乾電池を採用したことのカシオのメーカーとしての良心には感謝したい。
なにせ、リチウム電池には寿命があるし、いかに高価にしても交換ができなければ本体ごとゴミになるのはいただけない。
電卓のような「一生もの」なら、乾電池を採用するのはユーザーにとって長く使える証なのである。
とはいえ、上述のように、使用方法についての淡泊すぎる解説を製作した意図がみえてこない。
もちろん、教育用電卓として、学校指定で生徒に強制的に所有させるから、あとは教師の力量による、にしても、教師用の解説はなくてよいのか?
あるいは、日本における販売は「オマケ」で、アメリカを中心とした外国での販売がメインだから、社内的には担当者の精いっぱいの努力の結果が「これ」なのか?
日本における学校教育の場でのデジタル機器は、パソコンかタブレットだというお決まりができて、学校や教師に権限がない、まさに硬直した文部行政がある。
しかし、「国際バカロレア」に準拠することを謳う一部のエリート校だと、このような電卓が特別に採用される。
国際バカロレアには、指定された電卓持ち込み「可」どころか、持ち込まないといけないし、計算問題だけでなく電卓自体の操作方法すら出題されるのである。
だから、子供たちはどのメーカーの電卓が自分の好みかを議論できるレベルになって、この手の電卓が厳しい目で選別されている。
とくに、グラフ電卓なる分野の機種は、ほとんどがポケット・コンピュータ化している、多機能&高機能&高性能が売りだから、豊富なメニューの設計におけるボタンやメニュー配置がその遣い勝手を決める。
それに、USBケーブルでパソコンと接続すれば、ファームウェアの更新だけでなく、CSVファイルのデータ交換で、表計算ソフトと連携ができるし、プログラミングの結果も同様なのである。
ただし、製造が終わった『fx-CG50』のファームウェア更新ももうないのか?という不安と疑問がある。
ちょっと、売りっぱなし感があるのだ。
そんなわけで、せっかくの動画があまりにタンパクなのがもったいない。
ついでに、練習問題や実務での使用事例解説もあると素晴らしいのに。
出演している女性数学教師のちょっと無機質な解説も賛否があろうが、なぜか英語の発音がネイティブすぎて、英語の先生よりも英語力があるとしれる。
これも外国向けの製品だから?と余計なことをかんぐる原因なのであった。