カバン屋が作りたくないカバン

5月に新発売された、iPad Pro(11インチ) を気軽に持ち運ぶために、ちょうどいいサイズのカバンを探すことになった。

わたしの場合、パソコンライクになる一体型のキーボードではなく、分離して使えるキーボードも持ち歩きたいので、iPadのジャスト・サイズでは収納容量が物足りないことになるために、案外と「コレ」というカバンを探すのが厄介なのである。

キーボードは、「US配列」のものが気に入っている。

「ローマ字で入力して日本語変換する」からだ。
いわゆる「日本語配列」のキーボードとは、「かな入力」のためだから、用途としての合理性では、「U S配列」でないといけないからである。

だから、キーに「カナ表記」がない、「スッキリしたキー」と宣伝する、日本語配列キーボードが存在することに、えらく違和感がある。

ところが、なぜか本家筋の「U S配列」のキーボードは、探さないといけない不合理がある。
なぜだかしらないが、「日本語配列」のものが主流になっている。

これに加えて、コンパクトな「US配列有線キーボード」が滅多にないのである。

主流は「Bluetooth接続対応」という、電波を用いるものであるけど、これがまた案外と「混線」して作動しないことがある。
当然だが、キーボードにもバッテリーを搭載する都合から、その分重くなる。

E Uがアップル社に課した、外部インターフェイスの「USB-Cへの統一命令」のおかげで、独自規格だった「Lightning」が事実上廃止になった。

これでiPadに、有線キーボードが接続できるようになったのである。

また、なぜかiPadは、超高価な「Pro」を自称する最新機種でも、「USB-C」の接続口が一個しかないので、有線キーボードを使うなら、iPad本体のバッテリーに依存することになる。

そこで「USB-C対応の給電可能ハブ」を使えば、電源から給電しながら有線キーボードも使えるようになる。
バッテリーに負荷がかかる、という問題はここでは無視する。

そんなわけで、ちょっとしたお出かけ用ではあっても、以上の機材と、ついでに財布やスマホも収納できるポシェット型の肩掛けカバンを求めると、なかなか世の中にない、ということに気がついた。

これは、カバン製作者がわたしのような要望を持たないからなのかと疑うしかない。
しかし、そんなに「特殊な要望なのか?」を問うと、よくわからないのである。

革であろうが布であろうが、カバンの素材にこだわりはない。
そこで、職人さんがいるカバン店に行って、相談してみようと思い立った。

東京なら、浅草あたりでどうか?

みつけたカバン屋さんは「帆布」専門で、わたしの要望にちょっと戸惑っていたが、店内に数ある中で一つの製品だけが、なんとかイケそうなタイプだった。

このタイプはなんと、現行在庫の数点だけしかない、という。

なぜかといえば、見た目のシンプルさと違って内部の遣い勝手のために、あまりにパーツが多く、なお、細かい縫製を要するので、作業の手間の割にあわない、ようは「もう作りたくない」からだという。

なるほど、とわたしが感心したのは、購入側の立場からの「お得感」での納得である。

若干の不満はあるものの、悪くない遣い勝手は、職人さんの想定とわたしの使い方がズレているからだろうけど、おおむね満足している。

しかし、街を歩いていてこれ以上のモノを見つけていないから、かなりのヒット(2塁打ぐらい)に違いない。
それで、夫婦でお揃いになる、色違いを戻って追加購入しようと再入店したら、「お帰りなさい」と迎えられた。

あと、残りは?

職人さんのホッとした笑顔がオマケでついてきた。

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