クロスオーバー仲介の米・露

作曲家の石田多朗氏が、「耳には聞こえない音楽」の解説で、バッハの『インベンション』を挙げて、その作曲技法についてわかりやすい説明をしている。

バッハの作曲法については、『音楽の捧げもの』と『フーガの技法』が傑作として有名だが、石田氏がいうとおり、これを耳で聴いて理解できるか?といえば、なかなかそうはいかない。
どうしても、スコア(楽譜表記)における技法だからである。

ひとつの主題について時間軸を逆転させて、後から演奏させる方法、五線譜の上下をひっくり返すように逆さにして演奏させる方法、前ふたつを組み合わせて演奏する方法と、じつに機械的でかつ、数学的といわれている。

「鏡像」というほどに、楽譜に鏡を縦・横に置いてみえる姿だ。

さらに、アルファベットの文字順で、「BACH」は、B=2、A=1、C=3、H=8だから、足すと14になる。
これを彼は、彼自身の「数」として、楽譜に落した作品もある。

だが、やはり、それを「耳で聴いて」わかるか?といえば、気づかないのがふつうだ。

さて、ウクライナ・ロシアの戦いも最終盤にきているはずが、膠着状態ならぬロシア軍のウクライナ領土占領地が東部ドンバス地域を越えても急速に拡大している。

これは、ウクライナのドローンが、ロシア領内での民間人攻撃をやった「代償」でもある。
やらせたNATOの稚拙な作戦計画は、NATOからの軍事指導専門家をも多数死地に送り込むことになってしまった。

仕掛け人の筆頭だったアメリカでは、民主党バイデン政権が倒れ、トランプ政権2.0になって、米軍の引き揚げをやり、ドイツのNATO基地からも撤退をはじめている。
ただし、NATOには、ルーマニアに巨大基地が準備されているので、隣国、モルドバもこの誘惑に抵抗できずに親EUのサンドゥ大統領が、「魔女三人組」を形成している。

EU委員長フォン・デア・ライエン、EU外相カヤ・カラス、そしてマリア・サンドゥだ。

トランプ政権2.0は、ロシア軍が東部ドンバス地域を全部支配下におさめることを「待っている」のだろうし、ロシアによるゼレンスキー(ナチ)政権転覆を容認するのだろう。
なので、まだ動かなくていい時間帯になっている。

一方、イスラエルがはじめた、イランへの攻撃は、アメリカとして「イランへ圧力をかける」ことをみせてはいるが、はなから直接介入=攻撃するその気はないはずだっただろう。
だから「ジェスチャー」として、ワシントンの沼に棲息するネオコン=戦争屋の排除が間に合っていないことの副作用としての「ヤラセの脅し」であろうとかんがえられた。

それで一応、トランプ政権2.0も、イスラエルへの軍事支援をしているかの風情も醸し出しているが、なにせ、イランのミサイル攻撃をかわす、防御系ミサイルシステムが機能しないために、「お手上げ」なのである。

つまり、ウクライナとイスラエル・イランの件で明確になったのは、「複雑系化し、高単価」なアメリカ製兵器システムの「役立たず」が、世界に披露されてしまったことである。
これに、たとえば、おなじく「単体」での複雑系でしられる「F35戦闘機」の脆弱性もある。

なんだか、往年のゲーム『テトリス』をおもいださせるのである。
この「ソ連製」ゲームは、真空管でも動くのではないか?といわれるほど、簡単なプログラミングでつくられてはいるが、知的パズルゲームとしての価値をそこなうものではなく、むしろ、その単純さゆえに世界が熱中したのだった。

つまり、本質を追究すると、複雑系は、現場で役に立たない、という、よくあるはなしが、そのまま「兵器」にも適用されることの事例なのである。
それで、一機数万円~百万円の廉価なドローンが、驚くほど精密な攻撃で億円~数百億円もの兵器システムを破壊することのレジームチェンジ的革命が起きている。

これに、ロシアが開発した「超」がつく速度のミサイルは、迎撃不可能、のブランドになっている。

あの、ボーイングが倒産の噂に晒されたのは、こうした現実にありえないほど対処できないことをみせたためであった。
それが、イーロン・マスク氏の新興企業「スペースX社」が開発した宇宙ロケットにもかなわないことで、にっちもさっちもいかなくなっている。

原因は、ボーイングがNASAからの補助金に依存したからである。
まったくわが国の、三菱Jetとか、ロケット開発における「官僚主義」の弊害が、アメリカでも起きたことが、グローバル全体主義の恐ろしさなのである。

21日、トランプ氏の命令でイランの核施設3カ所を空爆したのは、ギリギリで、アメリカ軍の実力をみせたのである。
しかしながら、これは、ウクライナにおける「インベンション」の「鏡像」とおなじではないか?

はたして、「ひとりの死者もいない」とは、どういうことか?
あらかじめロシアを通したか?直接イランに通告したか?は知らないが、誰もいない砂漠の山中に巨大爆弾を投下したのではないか?

しかも、「バンカーバスター」を唯一搭載可能な、B2爆撃機は太平洋のグアム島にいて、まだイランへ飛んではいない。
イスラエルに義理を立て、イランには演技を依頼したのだろうか?

けれども、EUと英国の画策で、パーレビ元国王の息子殿下が登場し、イランの体制転換をしかけているから、「三つ巴状態」になっている。
まことに、英国の闇は深い。

それでも、ついにロシアとアメリカは「鏡の関係」となった。
だが、バッハのごとく、一般人には見えないばかりか聞こえないのである。

トランプ政権2.0とプーチン政権が、同時期に存在することの奇跡的な「よきこと」が、大掃除の準備をしていることとして理解できるのである。

もうニュースにもならないほど、「米・露電話会談」は頻繁に行われていて、かなり詳細な内容であることも、その「通話時間数」からもしれる。
いったい何語で会話しているのか?という肝心な情報がないが、おそらく、英語とロシア語の通訳を「つけている」とかんがえるのが外交でのふつうだ。

だが、もしも、プーチン氏が譲って、英語で直接会話をしているなら、これはもう、相当の信頼関係があることを意味する。
たとえ交渉相手の母語たる外国語が得意でも、通訳をつけるのは、「考慮時間」を稼ぐためだからである。

この意味で、赤沢氏が「得意」の英語で交渉している、のは、まずい、のである。
外務省は、これを止める力がなくなっている。

さてそれで、アメリカは自身がかかわることで、イスラエル・イラン間の仲介を、ロシアのプーチン大統領に依頼した、という渡辺惣樹氏の解説を支持したい。

イスラエル建国の、「承認」第一号は、アメリカよりも速かったソ連だったのである。

ウクライナと同様に、ソ連=旧ロシア帝国内のユダヤ人は、聖書の「ディアスポラ」系ではなくて、「アシュケナージ」系であり、彼らこそがイスラエル国民の多数派なのだ。
スターリンは、ヒトラー同様にこのアシュケナージ・ユダヤを迫害して、国外追放したからである。

そんなわけで、ウクライナはロシアの決定的勝利を待って、アメリカが仲介し、イスラエル・イランでは、両国に睨みがきくロシアが仲介することになるだろう。

すると、これは、NATO=EUのグローバル全体主義が、全面的に敗北することを示す。
すでに、ハンガリーがEU離脱をチラつかせているけれど、「EU崩壊」が、迫っているのである。

わが国の「自・公・立憲」政権は、EU側にあるけれど、反対勢力による政権奪取も、世迷い言でなくなっている。

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