「貨物コンテナ」は、アメリカ人の発明である。
世界規格のこの「箱」には、大きく2種類があって、長さのちがいによっている。
20フィート(6,058mm)と40フィート(12,192mm)である。
「ホテル」として利用されているのは、40フィートのタイプで、幅と高さは20フィートと同じになっている。
幅:2,438mm、高さ:2,591mmである。
これらは「外寸」であるが、面積を計算すると、約30平米となって、いまどきのビジネスホテルに比べてだいぶ広いといえるだろう。
ただし、断熱等のために、内寸ではだいぶ狭くなるはずだが、それでも14平米とかという狭さにはならない。
たまたま予約したコンテナ・ホテルは、それぞれが独立して設置されていたので、隣室の音が気になる心配はなかった。
それよりも、コンテナの隙間には温水・湯沸かし用のプロパンガスボンベが部屋ごとにあったので、都市ガスがない地方ならではの光景であった。
つまり、ガスで沸かす浴室も設置されている。
排水パイプのために、よくある段差があるのは元がコンテナゆえに納得できる。
むしろ、突き当たりの一部の壁を抜いて、「窓」を設けているのは、客室への自然採光としての気配りであろう。
この空間が、コンテナの内部であると忘れさせてくれる。
さらに、一般的なホテルにはない、冷蔵庫にはフリーザーも付いていて、フロントで配布される「冷凍弁当」を保存でき、その上には、電子レンジもあって、各自解凍して食べられるようになっている。
これで、「朝食付き」になるのである。
なお、冷凍弁当は4種類ほどの選択ができ、なかなかの美味だった。
全体は駐車場のようなフラットなスペースに設置されているだけなので、フロントも業務用備品庫も、みなコンテナである。
ゆえに、雨天時には軒からスライド式の屋根が出るようになっていたが、これらは「手動」式だった。
雨天時や台風などの悪天候時にどうなるのか?試してみたくなる。
なお、フロントは22時から翌朝5時までスタッフが不在となるために、チェックインはこの時間までに済ませる必要がある。
とはいえ、チェックインの手続きもiPadを用いたオール・デジタルで、各ドアの暗証番号も客のスマホなどのカメラで、ipad画面に表示された番号を写真撮影する方法であった。
つまり、クレジットカード利用票のほかは、完全にペーパーレスだ。
チェックアウトには、チェックイン時に受け取ったコンテナ(部屋)番号が印刷されたパウチカードを返却して終了である。
これが、むかしのキーに替わる役割をしている。
今回のホテルは、全コンテナが平置きで、上段がある立体の状態ではなかった。
その意味で、地震には強いであろう。
なお、完全なる閉鎖空間だから、「禁煙」のルールは厳しく、室内で喫煙した場合のペナルティーは、ハッキリと「5万円」と表示されていた。
フロントコンテナの横のやたら狭い場所が喫煙スペースとして確保されていた。
地方の空いている土地の利用法として、意外と有効ではないか?
これから増えてくるのではないかとおもわれる。

