ザハロワ報道官の一撃

11月28日、「Sputnik日本」が伝えた、ロシア外務省のザハロワ報道官の、「日本人記者らはモスクワで何をしているのでしょうか?」と、中国人記者からの質問にこたえたという。
多数駐在しているはずの日本人記者たちが、ひとりも、一度も、「日露関係についてのレトリックの質問をしません」ので、ロシア側も計り知りようがないというのである。

ちなみに、「レトリック」とは、修辞法のことで、言葉を駆使して伝えることをいう。

たしかに、ロシアにいること「だけ」からの目線からすれば、彼女の主張は理解できる。
しかし、これら日本人記者(=特派員)たちは、ワシントンD.C.だろうが世界中のどこにいても同じように、「何をしているか?」は謎なのである。

もしや?とおもわれるのは、1973年に失効した「日中双方の新聞記者交換に関するメモ」に代わって、あたかも、サンフランシスコ講和条約(日本の再独立)と同時に発効した「日米安全保障条約」と「日米地位協定」のように、「日中両国政府間の記者交換に関する交換公文」が交わされたことでの、事実上最初の「メモ」の延長をもって、様々な国にも似たようなことが適用されているのか?とかんがえられることがあるのである。

なお、上にリンクを貼った「メモ」が失効した後の「交換公文」中、(ロ) わが国との関係、のなかの、(お) 記者交換取極に当該文がある。

「従来日中間の記者交換は,日中覚書貿易取決めに基づいて行われていたが,73年末で失効することになつたため,両国政府間で,これに代る取極を締結することに合意した。その結果,本件に関する交換公文は,74年1月5日,在中国日本大使館橋本参事官と王珍中国外交部新聞局副局長との間で交された。」

文書中の「橋本参事官」とは、橋本恕(はしもとひろし)氏のことで、アジア局長から「天皇訪中(92年)」の準備として、89年には駐中国大使になって無事93年に退官している。
入省時の言語は「英語」なので、厳密に「チャイナスクール」とはいえない人物だが、ザハロワ報道官の指摘は、あんがいと根が深いのである。

むろん、いかに「特派員」であれ、東京本社の意向には逆らえないサラリーマンである。

それに、ロシアに対しては、いまだに「ソ連」との区別がつかない老人たちが、東京の要職に居座っているかもしれない。
これは、読者や視聴者にはわからない、内部事情、だと決めつけているのだろうが、本来、新聞やテレビなどは、その人事も読者や視聴者につまびらかにすべきものであろう。

公共放送を謳うNHKの人事規定に、国籍条項がない、ことが国会の議論になるのは、なにもNHKだから、だけでなく、民放にもいえるのは、「放送法」によって事業をしている「公共性」に理由がある。

腐っても、欧米メディアは「署名記事」がふつうで、それが誰だかをしりながら読者は記事を読み込んでいる。
なので、たとえば、「ウォールストリートジャーナル」のトランプ大統領が高市首相に台湾発言を巡って文句を述べた、なる与太記事の署名に中国系の有名記者の名を観れば、わかるひとにはわかるようになっている。

だから、この記事から、タッカー・カールソンは、ウォールストリートジャーナルのことを、「新聞社ではなく諜報機関だ」と評したのである。

今回のザハロワ報道官への質問も、上の件にからんでのことを、見事な対応で返したのである。

この「いけず」な回答を、くだんの記者は理解できたのであろうか?と、余計な心配をするのである。

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