10日(日本時間だと11日)の、ABCニュース主催の「大統領候補者討論会」は、終わってみたら評価が真っ二つに割れる、微妙な放送だった。
日本の放送法で、わが国の潔癖症的な「公正・中立」を標榜するのとはちがって、人種とは関係なくアメリカ人は『肉食の思想』をするひとたちだから、論理的に困難を極める「中立」という立場を捨てて、ちゃんと事前に「カマラ・ハリス支持」を表明しているのが、ABCニュースである。
これをいうと、「トランプ支持」を事前に表明しているのは、大紀元メディアグループぐらいしかなく、2020年にFOXニュースが主催した、「大統領候補者討論会」では、バイデン寄りの司会で大ブーイングが起きて、その後「保守系だった」という枕が評価につくようになった。
その後、あの、タッカー・カールソンを解雇したので、いよいよFOXニュースのお里もしれたのである。
それでも、反トランプの代表は、なんといってもCNN(「クリントン・ニュース・ネットワーク」と揶揄されている)であるが、あまりの偏向ぶりで、視聴契約が激減し倒産の危機にまで発展した。
これに、ネット界隈のビッグテックも「反トランプ」で団結していて、「X(旧Twitter)」が一抜けした後、7月のトランプ氏暗殺未遂事件を受けて、フェースブックのオーナー、ザッカーバーグが、ホワイトハウスからの圧力に屈した経緯を連邦下院にて証言し、二抜け状態になった。
また、ザッカーバーグは、前回500億円!の私財を民主党に寄付していたが、今回は一切の寄付をしないと明言もしている。
もしや、トランプ氏がラリー(政治集会)で、「逮捕して監獄に入れてやる」と名指ししたからではないか?ともいわれているのは、トランプ氏支持になったのではなく、トランプ氏が優勢とみているからではないか?との疑いもある。
ただし、GAFAの中で、Google、Amazon、Appleは抜けていないばかりか、GoogleとAmazonは、音声認識A.I.やら、ネット検索において、カマラ・ハリス有利、トランプ不利のアルゴリズムを用いていることも発覚している。
しょせん、AIとは、人間が書くプログラムによって作動するだけのものだ。
だから、洗脳装置としてあるので、依存するとバカになるから利用にはよほどの注意がいる。
ちなみに、Google創業者の妻だったひとは、民主党への多額献金どころか自ら政治活動もして、とうとうケネディ.Jrの副大統領候補にもなった挙げ句に、「民主党の実態に失望した」と述べて、選挙戦から撤退したのだった。
とはいえ、この人物がケネディ.Jrとおなじく、トランプ支持を表明したとの情報はない。
そのケネディ.Jrは、この討論会を評して、「パフォーマンスではカマラ・ハリスの勝ち、内容ではトランプの勝ち」としたが、これぞ、「仕込み」ではないか?
案の定、メディアは前段だけを切り取って報じている。
ケネディ.Jrは、こうしたやり方を熟知しているから、あえて仕向けたと推察する。
さてそれで、10日の討論会は、事前の期待を裏切って、トランプ氏がカマラ・ハリスを完膚なきまでにやり込めることはなかった。
このことが、熱狂的トランプファンから「不調」との評価にもなっている。
つまり、不完全燃焼だ、と。
一回だけの討論会で、バイデンを撃沈させたのとは様子がちがう、というわけだ。
しかし、バイデンはこれ以来目立った姿を見せないでいて、「大統領はどこ?」状態になっているし、だからといって、現職副大統領のカマラ・ハリスが政権のフォローをしているのでもない。
かんたんにいうと、いま、誰がアメリカ国家を運営しているのか?責任者がわからない状態にあるのだ。
これをトランプ氏は、最後の2分間でみごとに指摘して終えた。
まったく、日本人(とくに関西人)なら、「ぼやき漫才」で人気を博した、人生幸朗・生恵幸子の決め台詞を思い出させてくれた。
ならば、この不完全燃焼の理由はなにか?
この後に及んで(投票日まであと2ヶ月もない)、カマラ・ハリスを完膚なきまでにノックアウトしたら、もしや面倒な「ミッシェル・オバマ」が担ぎ出されるやもしれぬ。
さすれば、こんなもんでやめとく、というのがアゥエーでのABCテレビ出演ということではないか?と推測するのだ。
それで、ケネディ.Jrも連携して発言したとかんがえるのである。
なにしろ、問題なのは6州しかない、スイング・ステートにおける勝敗なのだ。
いまや「全米」での得票は関係ない。
カマラ・ハリスには、しっかり党からの演出プロが指導にあたったというけれど、共和党側の演出とは、「適度なマイルドさ」にあったとおもわれる。
それがまた、ABCニュースの「偏向」をあぶり出して、アメリカ人の正義感に訴えたのなら、まっ先に大恥をかいたのはABCニュースで、二番にカマラ・ハリスのポンコツぶりだった。
技あり!といったところである。
そんなわけで、10日のロイターによれば、「この勝利」に気を良くしたカマラ・ハリス陣営は、10月にFOXニュースで2回目の討論会をやる意向を表明した。
これはもう、トラン陣営は笑いが止まらないだろう。
次回は、容赦ないことになるはずなのだ。
にもかかわらず、トランプ氏はポーカーフェイスで、カマラ・ハリス陣営からの誘いに、いまのところ、「応じない」と表明し、参加したくない風情をだしている「役者」なのだ。
笑いを押し殺して、だだをこねながら投票日直前のこのタイミングで、瞬殺・轟沈させることを狙うにちがいない。
だが、その前の10月1日に今度はCBSで、副大統領候補による討論会もある。
ここでJ.D.ヴァンス氏によるタンポン・ティムを「撃沈」させるのか?それとも「寸止め」とするのか?
いやいやヴァンス氏には、意図せざる結果として、タンポン・ティムが自爆・自沈するかもしれない。
なんだかもう、プロレスの「3本勝負」みたいになっていて、目が離せないのである。