トランプ政権2.0は消費税をどうするか?

「消費税」とはなにものなのか?

2014年に、岩本沙弓『アメリカは日本の消費税を許さない』(文春新書)がでていた。

国民負担率が6割という、江戸時代でも一揆になるような「重税国家」になった元凶ともいえるのがこの「消費税」である。
家畜化された日本人は、なぜだかしらぬが「減税」要求すらまともにできない政党を、なんだかんだとズルズル支持しているのである。

もっとも、増税はするが減税という言葉が辞書にない、「自・公・立憲」政権のそれぞれの政党支持率がそれなりにある現状は、単に日本人の知性がないことを示しているのかもしれない。

そもそも人類史でいえば、日本史というジャンルでも、「大宝律令」から、「租・庸・調」の徴収を小学校でも習う。
ただし、いまだに不思議なのは、ゆるゆるの税制なのに、どうやって抵抗なく徴税できたのか?についての納得いく説明を聞いたことがないのである。

とはいえ、フランスに人類史上初の「付加価値税」が導入されたのは、1954年のことだったから、この手の「税制」は、たった70年ばかりの歴史しかないのである。

日本の消費税が、「間接税」だと思いこまされているが、じつは「第二法人税」としての「直接税」だと前に書いた。

さらに、この税の「たちの悪さ」は、3%から5%への税率を上げる前に、つまり、税率は3%のままで「課税標準を下げる」という大増税をやった(官僚の「通達」でやった)うえで、「福祉目的税」だという欺瞞をもって労組の賛同を得るという詐欺までやっていることにある。

そもそも、消費税は消費者が負担する税、という説明すら、まったくのウソなのである。
平成2年(1990年)3月26日の東京地裁判決で、「消費税は価格に含まれる」とある。

その価格とは、販売者の自由設定なのだから、上に示した「第二法人税」であって、しかも、「法人税」が赤字企業に適用されないのに対し、消費税は「売上」があればたとえ「赤字」でも徴税される苛酷さがある。

経団連の歴代会長が、「消費増税」を言い続けてきたことの理由がわからなかった。

消費者が負担する税である、という前提でかんがえれば、消費を減衰させるので日本経済の中折れを招くことになるのをなぜに要求するのか?が納得いかなかったからである。

しかし、「第二法人税」であり、「直接税」なのだ、という前提にすると、大企業が集まった「経済界」が、「消費増税」を要求する意味がみえてくる。
これらの企業は、たいがい「輸出企業」なのである。

じつは、消費税は輸出品には課税されないので、製品になるまでに企業が支払った分は、全額「還付」の対象になるのである。
すなわち、5%だったのが10%になれば、単純計算で倍の還付金が得られる計算になる。

つまり、わが国の大企業は、国内景気よりも輸出に関わる消費税の還付金が欲しい、という驚くべき理屈になっている。
それもこれも、輸出価格にマイナス転嫁すれば、事実上の「ダンピング」が可能になる、という魂胆なのである。

しかし、これができるのは、輸出相手国が「消費税」あるいは「付加価値税」を、導入して「いない場合」に限る。
そんな国があるのか?と問えば、あるのである。

それが、アメリカ合衆国なのである。

つまり、アメリカからみれば、消費税を導入している国には、「非関税障壁」があるという意味となる。
なお、アメリカの一部の州で導入されている「小売売上税」は、日本の消費税とはちがって、消費者が負担した税分を、直接小売業者が納税する単純な仕組みなのである。

われわれ日本人のおおくも、上に指摘した「思い込み」によって、あたかも「小売売上税」のようにおもわされているが、「インボイス制度」ができたように、じっさいにはフランス発祥の「付加価値税」なのであると、ここでも強調しておきたい。

ところで、「税は罰金」という視点に立つと、「付加価値」に対して課税するということは、「経済活動に対する罰金」という意味で、深刻な経済成長への国家による妨害であることがわかる。

すべての民間企業は、付加価値を創造することで生きているからである。

もちろん、一般にいう「生産性」も、丁寧にいえば「付加価値生産性」のことである。
これを、労働力すなわち人数で割ったものを、「労働生産性」と呼んでいる。
つまり、「付加価値税」とは、経済の根幹に課税するという、じつは「暴挙」なのだ。

このために、アメリカ合衆国では、「付加価値税」を導入していない。

アメリカ人は、この点で、自由経済に関しての「哲学」があるのだし、その哲学をもって「税制」を採用しているといえる。

だから、わが国でも国内の政党を見分ける、「踏み絵」に消費税の取扱いがある。

賛成=増税派(「自・公・立憲」政権)と、反対=減税・中断・廃止派(その他の野党)、が対立していることは、けっこう重要な選択基準になるのである。
この意味で、「極左」のはずの、共産やれいわが消費税反対・廃止を主張しているのは、「筋論」からすると妙なのである。

そこで騙されてはならないは、政府財政のために消費税は必要という欺瞞だし、反対派だからといって安心できないのは、その他の立ち位置がまた別個だからである。

さて、トランプ政権2.0は、所得税を廃止し、むかしのように関税収入で政府支出をまかなうと公約している。
アメリカは、かつて所得税がない国だったし、政府財政は「関税」によって賄われていたから、そこへの回帰を政策としている。

さらに、「政府効率化省」によって、連邦政府自体の圧縮を行うこと(デフレ要因)がセットになっている。

当然ながら、関税は国内物価を上昇させるので、インフレ=ドルの価値低下、をきたす。

その相殺として、上に示した政府の縮小と、アメリカ人の可処分所得を増加させる所得税廃止もセットの複合的(ブレーキとアクセルの同時)な政策構造になっている。
これに、低所得者の多数が就業しているサービス業従事者に、日本にはない「チップ税」も無税化が公約である。

しかして、消費税(各国の「付加価値税」)は、アメリカ側から観たら「非関税障壁≒関税」という意味になるから、必ずや「対抗措置」がとられるとかんがえた方がよい。

これは、深刻な対立=貿易摩擦となるだろう。

はたして、「哲学論争」にしたいトランプ政権2.0と日本政府は話があうのか?
哲学なき日本政府が、どんな目にあうか?

ちなみに、再度カナダ併合を発言しながら、しっかり「減税」にも言及しているのは、カナダの「付加価値税(5%)」をターゲットにしているにちがいない。

さぁ、日本政府に向かってどういいだすか?ワクワクするのである。

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