暗殺未遂の後の大ニュースである。
結論から先にいえば、民主党バイデン政権による「司法の武器化」が失敗した。
大きな理由に、7月はじめにでた連邦最高裁の判決(「大統領免責特権」に関する新解釈)が効いてきたけれども、ぜんぶで4本の裁判うち、2本の裁判で起訴を担当した、連邦特別検察官の、ジャック・スミス氏の「身分」を今回の連邦地方裁判所が否定したことで、「機密文書持ち出し事件」が吹っ飛んだのと、おそらく同じ理由で「1月6日を首謀した事件」も消滅するはずである。
この連邦特別検察官の任命「人事」にあたって、裁判長は、「不適格」の理由に、「彼を特別検察官に任命するのに合法な、連邦司法長官の権限はない」という痛烈なものである。
この権限なしの判断根拠には、反トランプで有名な法律家の意見(政治信条とは別けて)が先にあって、さらに、保守派連邦最高裁判事も「意見書」として支持していたことが挙げられる。
なので、左派は裁判官を非難しているが、該当する法律がないことは事実なのだ。
アメリカの官僚制は、上級職と下級職とに分類できて、連邦特別検察官という上級職の場合は、大統領による指名と、それを受けた連邦上院議会の承認を要するのに、ジャック・スミス氏は、連邦司法長官による任命でしかないのに職務を遂行したことが違法とされたのだ。
ちなみに、下級職の場合は、上級職(大統領を含む行政官)が任意に任命する権限をもつ。
なので、すでに共和党の政権移行チームは、「政権交代」をみすえて、猟官制の上級職だけでなく、組織の手足となる下級職員の募集も開始している。
なお、終身制の高級官僚(SES=DS)について、共和党はどのように対処するのか?報道はまだない。
さて、今回の判決を、組織の「人事」としてかんがえたら、本人の責任よりも、その上位者にある者たちが責任を負うことになる「事件」なのである。
大統領とその政権にある司法長官の、重大な「チョンボ」について、法的に裁判所が認定したことの意味が重すぎる。
当然だが、これはアメリカ民主党のチョンボでもあり、民主党内の法務関係者が「知らなかった」で済まされるような話ではない。
なにせ、「政敵」の選挙活動を司法の権力で押さえ込もうとした、卑劣が、より鮮明になったのである。
ようは、この人事そのものが、司法の武器化であった。
また、こうした判決が、暗殺未遂事件の直後に出てきたのも因縁深く、トランプ氏への「神がかり」論の根拠にもなっている。
このブログでも書いてきたが、今回の判決で2本が消える(起訴した検事が無資格者だったことによる)から、残りの2本の方はどうなのか?を確認すれば、まず、有罪評決がでた「政治資金の帳簿誤記載裁判(いわゆる「元ポルノ女優への口止め料裁判」)」にまつわる「量刑」の言い渡しは、今月11日の予定から9月に変更されていることが挙げられる。
これには、担当裁判官(ニューヨーク州地裁)自身の違法な政治的活動問題が絡んでいて、また、この裁判官の指導した本裁判における「評決方法」に違法性があると指摘されているためである。
その違法性とは、陪審員裁判における評決は、「罪状ごとに」全員一致が要件なのに、本裁判では34もの罪状を「一括」してしまったのだ。
当然ながら、トランプ氏側はこれを上級審に問いただして、量刑の言い渡し日が延期された経緯となっている。
裁判官による違法な陪審員への介入(「一括評決」させたこと)だと、上級審が判断したら、裁判自体がすっ飛んで、別の裁判官と陪審員とによる、「やり直し」となる。
なお、当該裁判官の違法な政治的な行動(民主党への寄付)は、この裁判官の解雇も検討されることとなる重罪なのである。
もう1本の方は、州検事が自身の不倫相手を補佐官にして、不当な利益(州予算)を流用・共有した疑いから、検事自身の適格性と横領事件の立件がここでも争われているのだ。
ようは、トランプ氏を訴えた側の検察からして、グズグズなのが明らかになって、民主党支持者たちをも呆れさせているばかりか、こんなグズグズをひた隠してきたマスコミへの不信と批判が巻き起こっているのである。
暗殺未遂後の会場では、退場する参加者たちが取材に来ていたマスコミに、「お前たちのせいだ!どうしてくれる!」との大合唱になったことも、マスコミは伝えていないのが、SNSの映像で明らかになっている。
これはもう、バイデン政権の崩壊状態を晒しているのである。
なので、もう「バイデン降ろし」もなくなると予想できるのは、誰も負け戦に挑まないからで、連邦下院の民主党議員の一部には、「トランプ政権を受け入れる」発言すらでてきている始末なのである。
そんなわけで、小さなところでは、ガーランド司法長官の責任論が辞任へとつながる可能性は高いだろうし、お粗末な警護をやったシークレットサービスを管轄する、国土安全保障省のマヨルカス長官(2月の連邦下院で、2票差で弾劾否決された)が耐えられるのか?も含め、もはや火の車の状態にちがいない。
この事態に、16日から南シナ海では、ロシア海軍と中国海軍の共同軍事演習がはじまっているのに、日本のマスコミは無視して平気の平左なのだ。
そのロシアは一方でまた、プーチン氏が訪問したベトナムとあたらしい軍事協定を結んでいる。
もう、小学生以下の日本外務省の敵ではない高度さで、わが国周辺の状況も変化しているのである。
これも、第二次トランプ政権誕生の「確実さ」がさせている、各国がそれぞれ先手を打っていることのひとつだろう。